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東洋医学古典 鍼灸資生経 下巻 下巻

編:淺野 周

紙版

内容紹介

 『東洋医学古典 鍼灸資生経 下巻』は、黄龍祥(こうりゅうしょう)によると1180~1195年ごろに書かれたと『鍼灸名著集成』に書かれている。本書には『素問』や『霊枢』の引用は勿論のこと、『鍼灸甲乙経』、『備急千金要方』、『千金翼方』、『外台秘要』、そして同時代の『銅人腧穴鍼灸図経』までが引用されている。ということは『銅人』が出版された後に本書が出版されたことになる。執筆者は南宋の太監(たいかん)(宦官)だった王執中である。ちなみに『鍼灸名著集成』に編纂された『鍼灸資生経』は誤字や脱文が多く、翻訳の参考程度に参照した。なお本書には、原文に小文字で書かれた部分があるが、それは()で括り、翻訳した部分は[ ]で括るようにした。また訳の部分は書体を変えた。『甲乙経』は「こういつきょう」でなく「こうおつきょう」、『銅人腧穴』でなく「どうじんしゅけつ」ではなく「どうじんゆけつ」とした。そしてフリガナは燎原の『漢方用語大辞典』と学研の『漢字源』を参考にした。現在はオリエント出版の『鍼灸資生経』が入手困難なので、本書に原文を付けた。下巻は、巻四から巻七までを収載した。

目次

上巻

鍼灸資生経巻一
●頭部、中行十穴   
●偃伏第二行、左右十四穴   
●偃伏第三行、左右十二穴   
●側頭部、左右二十六穴   
●正面部、中行六穴   
●面第二行、左右十穴   
●面第三行、左右十穴   
●面第四行、左右十穴   
●側面部、左右十四穴、更二穴   
●肩髆部、左右二十六穴   
●背兪部、中行、十三穴   
●背兪、第二行、四十四穴   
●背兪、第三行、左右二十八穴   
●側頸項部、左右十八穴   
●膺兪部中行、七穴   
●膺兪第二行、左右十二穴   
●膺兪第三行、左右十二穴   
●膺兪第四行、左右十二穴   
●側腋左右八穴   
●腹部中行、十五穴   
●腹第二行、左右二十二穴   
●腹第三行、左右二十四穴   
●腹第四行、左右十四穴   
●側脇、左右十二穴   
●手太陰肺経、左右十八穴   
●手陽明大腸経、左右二十八穴   
●手少陰心経、左右十八穴   
●手太陽小腸経、左右十六穴   
●手厥陰心主脈、左右十六穴   
●手少陽三焦経、左右二十四穴   
●足厥陰肝経、左右二十二穴   
●足少陽胆経、左右三十穴   
●足太陰脾経、左右二十二穴   
●足陽明胃経、左右三十二穴   
●足少陰腎経、左右二十穴   
●足太陽膀胱経、左右三十六穴   

鍼灸資生経巻二
●鍼灸須薬[鍼灸には薬が必要]   
●鍼忌[鍼の禁忌]   
●孔穴相去[穴位の距離]   
●定髪際[髪際を定める]   
●論同身寸[同身寸を論じる]   
●審方書[医学書の審査]   
●穴名同異[穴名の異同]   
●点穴[穴位を定める]   
●論壮数多[灸の壮数]   
●艾炷大小[艾炷の大きさ]   
●点艾火[艾への点火]   
●治灸瘡[灸瘡を治す]   
●忌食物[避ける食品]   
●避人神等[人神などを避けること]   
●相天時[天の時]   

鍼灸資生経巻三
●虚損[慢性衰弱]   
●灸二十種骨蒸[二十種の内熱に施灸する]   
●労瘵(伝尸、骨蒸、羸痩)[結核]   
●腎虚   
●消渇(消腎、消中)[咽喉が渇いて痩せる]   
●陰痿縮(両丸騫)[インポテンツ]   
●陰挺出[子宮脱]   
●転胞[妊娠による排尿困難]   
●陰茎疼[陰茎痛]   
●膀胱気[鼠径ヘルニア]   
●陰汗(湿癢)[陰部に発汗するもの]   
●陰腫(陰瘡)[陰部の腫れ]   
●小腹痛[下腹部痛]   
●小腹脹満[下腹部の膨満]   
●㿗疝(諸疝気、胎疝、寒疝、卒疝)[鼠径ヘルニア、下腹部の激痛]   
●疝瘕(餘見痃癖)[子宮筋腫]   
●淋癃(淋瀝、餘見小便不通)[尿が出にくかったり、出ない]   
●小便難(不通、不利)[尿が出ない]   
●小便五色[尿の変色]   
●治夢遺失精(白濁)[遺精と無意識に精液が出るもの。そして尿の白濁]   
●大便不通[便秘]   
●大小便不通[大小便が出ない]   
●小便不禁(遺尿附)[尿漏れ]   
●大便不禁(餘見泄瀉)[大便を漏らす]   
●泄瀉(餘見吐瀉)[下痢]   
●飧泄[消化不良による下痢]   
●溏泄[水様便]   
●痢(餘見瀉)[下痢]   
●便血(餘見痢、腸風)[血便]   
●痔(瘻、漏、餘見瘍瘻)   
●腸風[切れ痔]   
●腸澼[腹下し]   
●腸痛(餘見腸澼)[腹痛]   
●腸鳴(腹鳴)   
●脱肛   
●霍乱転筋(筋緩急、餘見手足攣)[コレラによる痙攣]   
●霍乱吐瀉(餘見転筋)[コレラによる嘔吐と下痢]   
●嘔吐[又見喘嗽]   
●乾嘔[えづき]   
●噫[げっぷ]   
●傷寒嘔噦(諸噦)[悪寒のする伝染病によるえづき]   
●唾[透明で水っぽい痰]   
●胃痛(寒熱)   
●反胃[嘔吐]   
●食不下(不化)[食べ物が咽を通らない]   
●不能食[食べられない]   
●不嗜食[食欲不振]   
●食気(無味)   
●食多[食べ過ぎる]   
●瘧(脾寒)[マラリア]   
●脾疼[餘見心腹痛]   

下巻

鍼灸資生経巻四
●心痛[胃痛]   
●心恍惚(餘見肺中風)   
●心驚恐   
●心喜笑怒[笑ったり怒ったり]   
●心気(健忘、無心力、失志)[気力がない]   
●心憂悲(哭泣、餘見癲邪)[憂鬱、泣く、ほかは鬱を参照]   
●歎息(太息)[溜息]   
●心煩悶(心痹、胆風熱、餘見心気)[心痹、胆風熱、ほかは心気を参照]   
●胆虚(胆熱)   
●嗜臥[横たわりたがる]   
●不臥[眠れない]   
●夢魘(雑夢)[悪夢]   
●癲邪(鬼邪。扁鵲、鍼邪病、十三穴。見千金)[精神疾患]   
●癲狂(狂走、狂言)[気違い]   
●癲癇瘈瘲(小児瘈瘲)[子供のヒキツケ]   
●癲癇(癇附。餘論見風癇)   
●癲疾(餘論見風癇)[頭の病気]   
●驚癇[小児驚癇、急驚風、慢驚風][驚いて癲癇となる]   
●風癇(五癇)   
●風労(餘見労)[ほかは労を参照]   
●風痙(角弓反張)   
●風眩(餘見頭目眩、餘論見風癇)   
●風痹(餘見肩髃穴)   
●中風(中風寒熱、餘論見偏風)[脳卒中]   
●中風不語(中風口噤、附餘見口啞、口眼喎)[脳卒中の失語症]   
●偏風(偏枯、半身不遂)[脳卒中による半身不随]   
●痰涎(痰飲、吐沫、餘見唾)   
●唾血(嘔血、吐血、餘見唾)[唾に血が混じる]   
●喘(餘見欬嗽)   
●肺気(肺風)[風邪]   
●欬嗽(餘見欬逆)[咳]   
●欬逆(餘見欬逆上気、喘、傷寒嘔噦)[咳]   
●欬逆上気(上気、又見欬逆)[咳して喘ぐ]   
●少気(短気、乏気、結気)[微弱呼吸]   
●賁豚気(伏梁気、息賁)[気塊が、下腹から胸や咽喉に突き上げてくるもの]   
●痃癖[腹部や脇肋部のシコリ]   
●癥癖(餘見疝瘕)[腹腔内にできたシコリ]   
●積聚[腹中のシコリ]   
●積気[気が固まったシコリ]   
●腹痛(餘見心痛)   
●腹満(心満脹)[腹部の膨満感]   
●腹脹(胸脇脹、附心脹、餘見心腹満脹)[腹が膨れる]   
●心腹堅大(餘論見腹満)[上腹部が堅くて大きい]   
●鼓脹(餘見腹脹)[腹の膨れ]   
●水腫(雑腫、四支腫、石水)
   
鍼灸資生経巻五
●臍痛   
●膺痛[前胸部の痛み]   
●胸満(胸脇満、亀胸)[胸の膨満感]   
●胸脇痛(胸痹痛、餘見胸満)   
●鬲痛(五噎、気哽)[噴門の痛み]   
●背痛(胸背、背脊、餘見肩背労瘵)   
●肩背酸痛(肩髆肩臂、餘見背痛)[肩背の痛だるさ]   
●肩痹痛(不仁不挙)[肩の痛み]   
●臂痛(臂無力)[前腕痛]   
●腋痛(腋腫)   
●腕労[腱鞘炎]   
●肘痛(肘攣、不仁)   
●手麻痹不仁(不挙)[手の麻痺や知覚障害]   
●手指攣(手掣痛、餘論見手麻)[指の痙攣]   
●手熱(手寒、手清、手心熱)[手が熱い]   
●足麻痹(不仁)[足の麻痺]   
●足不能行(不能立、不収)[歩けない]   
●足寒熱(脛寒、又見足雑病)[足の寒熱]   
●足雑病(跟股、䯒脛、腨腿、髀枢、餘見脚膝攣)[足の様々な疾患]   
●脚気[この脚気は、現代中国で脚気と呼ぶ水虫ではなく、日本の脚気と同じ]   
●脚弱(脚痹)[足が弱いもの]   
●脚腫[脛のむくみ]   
●四支厥(手足不挙、餘見手足麻痹)[手足の冷え]   
●尸厥[仮死状態]   
●脚膝痛(攣急、不収、不仁)   
●膝痛(餘見脚膝)   
●腰脚痛(餘見腰脚)   
●腰痛(腰強、腰屈)   
●腰脊痛(餘見背痛)   
●脊痛(餘見腰脊、風痙反張)   
●腠理[皮膚]   
●骨疼(骨髄)   

鍼灸資生経巻六
●耳鳴   
●耳痛   
●耳聾[難聴]   
●聤耳(生瘡)[耳だれ、耳から膿水が流れるもの]   
●目痛(目瞑)   
●目上視(眼目瞤動)[眼球が上を向く。白目を剥く]   
●目涙出   
●目眩[めまい]   
●目不明(又目䀮䀮、目暗、目眇)[はっきり見えない]   
●目翳膜(白翳、睊目、目)[角膜が翳膜で覆われるもの]   
●目赤(目黄、目青)[結膜炎]   
●青盲(雀目、疳眼)[視神経萎縮や緑内障]   
●口眼喎(餘見中風、偏風不語)[顔面麻痺]   
●口瘖瘂(舌不能言、餘見中風失音)[声が出ない。失語]   
●舌強(自吐舌、重舌)[舌の強ばり]   
●口緩(頻欠伸、失欠)[口が緩む]   
●歯齲[虫歯]   
●口舌乾苦(口熱臭)[口舌の乾燥と苦味]   
●口歯疳瘡(牙歯齦腫、牙関急)[口内炎]   
●歯噤(口噤、餘見中風)[歯を食い縛る]   
●牙疼[歯の痛み]   
●鼻塞不利(鼻不聞香臭)[鼻詰まり]   
●鼻有息肉(孔生瘡)[鼻茸]   
●鼻涕出(鼻乾、鼻嚔)[鼻水が出る]   
●鼻痛(其餘見鼻瘡)   
●鼻衂[鼻血]   
●咽喉腫痛(生瘡)[咽喉の腫痛]   
●喉咽鳴(雑病)[咽喉からゴロゴロ音がする]   
●咽喉乾[咽喉のイガイガ]   
●喉痹[咽喉の痛み]   
●唇頬腫痛(頤頷腫)[唇や頬の腫痛]   
●頸項強(急腫)[頸項部の強ばり]   
●頭風(頭眩、又見頭旋)[慢性頭痛]   
●頭痛(偏頭痛、餘見傷寒頭痛)   
●脳痛(脳風)[外邪による激しい頭痛]   
●頭旋(頭重)[めまい]   
●頭腫[頭が腫れぼったい]   
●頂腫痛[頭頂部の腫痛]   
●面腫(餘見水腫)[顔面のむくみ]   
●面痛(面赤、面黒)[顔の痛み]   

鍼灸資生経巻七
●傷寒(熱病 陰証 陽証)[寒けを伴う伝染病]   
●黄疸   
●傷寒頭痛(其餘見頭痛)[伝染病による頭痛]   
●傷寒寒熱(餘見自汗 傷寒無汗)[伝染病による悪寒発熱]   
●寒熱(又見傷寒寒熱 中風寒熱)[悪寒発熱]   
●腹寒熱気(冷気 又見労)[腹の寒熱の気]   
●身寒痹(湿痹不仁、又見手足痹不仁)   
●自汗(傷寒自汗、盗汗)[多汗]   
●汗不出[汗が出ない]   
●傷寒無汗[伝染病で、汗をかかない]   
●発背(癰疽、瘍瘻、餘見痔漏)[背中のデキモノ]   
●癭瘤(肉瘤)[甲状腺腫]   
●瘰癧[リンパ結核]   
●風疹(癮疹)[ジンマシン]   
●歴節風[リウマチ]   
●丁瘡(瘍瘻、魚臍瘡、窩瘡、疳瘡)[疔]   
●癬疥瘡(白癜風、疣目)[疥癬]   
●蠱毒[寄生虫による疾患]   
●犬傷(蛇傷)[狂犬のカミ傷]   
●乳癰[乳腺炎]   
●乳腫痛(乳少、吐嬭)[乳房の腫痛]   
●婦人無子[不妊症]   
●婦人血気痛[子宮痛]   
●血塊(瘀血)[子宮筋腫]   
●血崩(崩中漏下、悪露不止)[不正出血]   
●産後餘疾(産前)[産後の余病]   
●難産(胞衣不出、子搶心、落胎)   
●月事[月経]   
●赤白帯[血液や膿の混じった帯下]   

あとがき   

著者略歴

編:淺野 周
淺野 周(あさの しゅう)中国鍼灸翻訳家 鍼灸師(北京堂鍼灸)
出版書籍
『完訳鍼灸大成』『刺鍼事故』『超初心者用・鍼灸院治療マニュアル』『最新鍼灸治療165病』『美容と健康の鍼灸』『頭皮鍼治療のすべて』『火鍼マニュアル』『東洋医学概論の解説書 図説・霊枢現代語訳(鍼経)』、『淺野周校正 霊枢 原文(鍼経)』『全文ふりがな付き・素問現代語訳』(三和書籍)、『全訳経絡学』『全訳中医基礎理論』『全訳中医診断学』『全訳鍼灸治療学』『全訳鍼法灸法学』『全訳鍼灸医籍選』『実用急病鍼灸学』『鍼灸院開業マニュアル』『鍼灸院開業マニュアルDVDⅠ・Ⅱ』(たにぐち書店)、『経外穴110選』『鍼灸実技71選』『急病の鍼灸治療』『難病の鍼灸治療』(源草社)
略歴
 1956年 島根県生まれ 1985年 学生時代に三寸三番を使った大腰筋刺鍼を開発
 1987年 明治東洋医学院鍼灸科卒 1990年 北京中医学院針推系進修生終了
 1990年 自宅で北京堂を開業
 1992年 松江北京堂を開業 翌1993年閉店 1995年 北京…

ISBN:9784862514998
出版社:三和書籍
判型:A5
ページ数:480ページ
価格:5200円(本体)
発行年月日:2023年01月
発売日:2023年01月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ