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身体・歴史・人類学 III

批判的人類学のために

著:渡辺 公三

紙版

内容紹介

マルセル・モースからレヴィ=ストロースにいたる人類学に、個体と集団の「幸福への思考」の大切な筋道をたどろうとしてきた著者の、早すぎる遺作となった第Ⅲ論文集。
序 不肖の隠し子からの手記―族的範疇の可能性
Ⅰ 身体・歴史―国民国家と個体認証
Ⅱ 歴史・人類学―マルセル・モースの「幸福への意志」をかんがえる
Ⅲ レヴィ=ストロースの方へ―個体を超える「他者」と「他者の思考」にいかに相対するか

目次

Ⅰ 身体・歴史
 Ⅰ―1 指紋の社会思想史―ライプニッツからキパンデへ 
Ⅰ―2 犯罪者の顔写真と指紋
 コラム◎所属・規律・身体 
Ⅰ―3 人類学の知と植民地支配の技術―一九世紀西欧から「満洲国」へ
Ⅰ―4 国民国家批判としての文明論
Ⅰ―5 バントゥ・アフリカ
     1.バントゥ・アフリカの広がりと移動/2.バントゥ集団の多様化/3.大西洋岸諸社会の動態:コンゴ王国とその周辺/4.内陸サバンナの動態:クバ王国、ルバ‐ルンダ王国群/5.移動する社会――カメルーン、ガボンのファン系集団

Ⅱ 歴史・人類学
 Ⅱ―1 パリ人類学会―帝政から共和制への変化のなかで問われた「人間」とは 
Ⅱ―2 マルセル・モース―快活な社会主義人類学者の肖像
 Ⅱ―3 モース人類学あるいは幸福への意志
Ⅱ―4 レヴィ=ストロースからマルセル・モースへ―自然・都市・協同組合
    
Ⅱ―5 モースにおけるマナそしてあるいは循環する無意識―「モースの呪術論」への    素描
   
Ⅲ レヴィ=ストロースの方へ
 Ⅲ―1 世界はリズムに満ちている
Ⅲ―2 もうひとつの豊かさの思考―レヴィ=ストロース一〇〇年シンポジウムに向けて
Ⅲ―3 エピグラフの楽しみ―『食卓作法の起源』を読みながら 
Ⅲ―4 書評『ブラジルへの郷愁』 
Ⅲ―5 知の巨星、レヴィ=ストロース
    1.はじめに――哲学とは異なった問いへ/2.体験から構造へ―『親族の基本構造』まで/3.神話論理への模索――『野生の思考』に向かって/4.結び――『神話論理』における世界との交歓
Ⅲ―6 『神話論理』の反言語論的転回―一九五〇年代のレヴィ=ストロースの人類学的探究
1. はじめに/2.『親族の基本構造』と音韻論の直感/3.言語体系・親族体系・神話体系/4.プエブロの神話体系と神話の構造/5.『野生の思考』へ/6.おわりに――他者としての生物
Ⅲ―7 冷戦期における構造の生成―レヴィ=ストロースの探究
 Ⅲ―8 『やきもち焼きの土器つくり』訳者あとがき 
 Ⅲ―9 『神話論理Ⅲ 食卓作法の起源』訳者あとがき
 Ⅲ―10 『神話論理Ⅳ 裸の人』訳者あとがき
 Ⅲ―11 『大山猫の物語』訳者あとがき
    コラム◎構造主義
    古典紹介◎『野生の思考』
渡辺公三・略年譜

著者略歴

著:渡辺 公三
1949年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。国立音楽大学助教授、立命館大学文学部教授を経て、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授、立命館大学副学長、学校法人立命館副総長を歴任。博士(文学)。2017年12月16日逝去。
専攻:文化人類学、人類学史、アフリカ研究。
著書:『司法的同一性の誕生』(言叢社、2003)、『レヴィ=ストロース―構造』(講談社、1996; 2003)、論文集『身体・歴史・人類学Ⅰ・Ⅱ』(言叢社、2009年)、『闘うレヴィ=ストロース』(平凡社新書、2009年)、『マルセル・モースの世界』(モース研究会著・共編著、平凡社新書、2009年)、『異貌の同時代―人類・学・の外へ』(退職記念論文集、以文社、2017年)。
訳書:レヴィ=ストロース『やきもち焼きの土器つくり』(みすず書房、1990)、同『神話論理Ⅲ・Ⅳ-2』(共訳、みすず書房、2007・2010)、同『大山猫の物語』(共訳、みすず書房、2016)、デュモン『ホモ・ヒエラルキクス』(共訳、みすず書房、2001)、同『個人主義論考』(共訳、言叢社、1993)他。

ISBN:9784862090706
出版社:言叢社
判型:4-6
ページ数:520ページ
価格:3518円(本体)
発行年月日:2018年09月
発売日:2018年09月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC