書くことの戦場
後藤明生 金井美恵子 古井由吉 中上健次
著:芳川 泰久
紙版
内容紹介
小説(家)たちは、自らの有機体化(テマティスム)にいかに抗い、いかに身を浸したのか。—誰よりもあたたかな視線を持つ批評家の、誰よりも真摯な思考の集成。
〈方法や理論を新たに求めても、書かれたものを「図式」化して回収する構造はついて回る。私は、そうしたもどかしさを解き放つきっかけを、批評理論や現代思想のなかにではなく、小説のうちに見いだしたのである〉(序)より
目次
序 〈テクスト表象〉性から顔をそむけて
Ⅰ 不参戦者の〝戦い〟— 後藤明生の出発
Ⅱ 一九六八年の文学場 —〈近親愛〉と〈もう一つの部屋〉
Ⅲ 母=語の脱領土化 — 一つの長い後藤明生の〝戦い〟
Ⅳ 献立・列挙・失語 — 表象の基底へ/からの金井美恵子の〝戦い〟
Ⅴ 動物になる 動物を脱ぐ — 金井美恵子的〈強度〉の帰趨(1)
Ⅵ 分割・隣接・運動 — 金井美恵子的〈強度〉の帰趨(2)
Ⅶ 有機体のポリティーク — テマティスム言説批判
Ⅷ 水による音・声・言葉の招喚 — 古井由吉を聴く中上健次
Ⅸ 浸透・共鳴・同一化 — 中上健次のアポリア
あとがき
初出一覧