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アファーマティブ・アクション正当化の法理論の再構築

著:茂木 洋平

紙版

内容紹介

アメリカ合衆国におけるAffirmative Actionの構造を解明し,日本でのアファーマティブ・アクションの議論に受容可能な部分を明らかにする。

日本の法学説は「構造的差別の是正手段」としてアファーマティブ・アクションに着目し,「マイノリティが社会的資源を獲得し,マジョリティが社会的資源を喪失し,その獲得のハードルを高められるという」枠組に基づき,アメリカにおけるAffirmative Actionの憲法適合性に関する議論を参照してきた。しかし,政治力の無いマイノリティはAffirmative Actionの対象者から外され,指導的地位において過小代表に陥り,このことにより偏見や固定観念が助長される場合があり,Affirmative Actionは「差別是正策」としての側面だけでは理解できない。合衆国最高裁は,Affirmative Actionが「人種的分断を防ぎ,統合を促進する」という観点からその措置を正当化しており,本書はこれらを精緻に検証し,日本での法的議論を再構築する必要性を主張する。

目次

目次
序章 問題の所在と本著の課題
第1章 マイノリティとAffirmative Action──マイノリティの政治力と人種グループ間の緊張関係
第2章 Affirmative Actionの対象者
第3章 Affirmative Actionとは何か──マイノリティ同士の関係の視点からの考察
第4章 Affirmative Actionの意味──Affirmative Actionはどのように翻訳すべきか
第5章 合衆国最高裁判所裁判官によるAffirmative Actionの評価
第6章 アファーマティブ・アクションの憲法上の評価
第7章 アメリカ合衆国における多様性の価値の意味──人種的分断の防止と統合の促進の視点から
結章 Affirmative Actionの理解の枠組の再構築とアファーマティブ・アクションの評価

著者略歴

著:茂木 洋平
桐蔭横浜大学法学部法律学科准教授
博士(法学)(東北大学)
1981年10月 神奈川県山北町生まれ
2000年3月 神奈川県立西湘高等学校卒業
2004年3月 東海大学法学部法律学科卒業
2006年3月 法政大学大学院法学研究科修士課程修了
2010年9月 東北大学大学院法学研究科博士後期課程修了
2011年4月 熊本学園大学経済学部リーガルエコノミクス学科助教
2012年4月 桐蔭横浜大学法学部法律学科専任講師
2017年4月 桐蔭横浜大学法学部法律学科准教授

ISBN:9784860311803
出版社:尚学社
判型:A5
ページ数:340ページ
定価:6200円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LND