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核被害の歴史

著:稲岡 宏蔵

紙版

内容紹介

人類は、広島・長崎への原爆投下以来、何度も核戦争による破滅の危機に遭遇してきた。またビキニをはじめとする核実験やチェルノブイリやフクシマの原発事故は、甚大な被害と膨大なヒバクシャを新たに生み出してきた。本書は、ヒロシマからフクシマまで核時代の歴史の変遷の中で、核による「被害」と「人権」、「加害」と「責任」、具体的には、核被害者の人権と加害者の責任に焦点をあてて歴史を総括。ヒバクシャをはじめとする世界の人びとが、反核平和・反原発のたたかいを通じて、核廃絶のためにどのように苦闘してきたかを考察した労作。(2020.12)

目次

はじめに
Ⅰ部 原爆被害──人権と責任
 1 原爆被害──人権と責任、被爆者の訴え
 2 原水禁運動と被団協の結成、原爆「医療法」と「原爆裁判」東京地裁判決
 3 被爆者の「平和に生きる権利」と「生命権」、「三つのホショウ」と国の責任
 4 被爆者援護法要求と孫振斗最高裁判決、「基本懇」による核被害の「受忍論」
 5 国家補償に基づく被爆者援護法要求と被爆者援護法制定
 6 被爆者援護法制定後も、持続する被爆者の闘い
 7 平和人権教育、被爆二・三世運動から、未来世代への被爆体験の継承へ
Ⅱ部 世界の核被害──グローバルな人権と責任
 1 核の健康・環境影響と科学者の証言─環境権、健康権の確立をめざして
 2 被爆者からヒバクシャへヒバクシャの国際連帯
 3 世界の核被害者の人権確立、連帯をめざして
 4 核時代──グローバルな人権確立に向けて
 5 核兵器の非人道性と法的禁止をめざして
 6 チェルノブイリ事故と人権、責任
Ⅲ部 フクシマ核被害──人権と責任、被曝の「受忍」
 1 深刻かつ甚大なフクシマ核被害と人権侵害
 2 ICRP の被曝強要、「受忍論」とグローバー勧告の健康権
 3 子ども・被災者支援法と被曝を避ける権利、国の責任
 4 甚大、深刻なフクシマ事故被害──補償・賠償責任と新たな「受忍論」
 5 菅民主党政権──「復興再生構想」と「東日本大震災復興基本法」
 6 野田政権による事故「収束宣言」と避難区域再編
 7 福島県の原発に依存しない「復興ビジョン」「復興計画」から「福島特措法」へ
 8 安倍政権の「復興の加速化」──帰還促進と基本的人権の侵害
 9 「本格的復興」へ─国の責任放棄とフクシマ切り捨て、中央経済・産業の振興
 10 被害の受忍、被害者の切り捨て・分断に対する被害住民の闘い
 11「 人格権」による原発運転停止、再稼動阻止、原発ゼロへ
 12 原発被曝労働者の健康と人権を守る闘い
 13 甲状腺ガン発症と医療・健康の保障、被爆者援護法に準じた法整備を
 14 教育における人権の実現・回復の闘い
 15 まとめ─原発災害における被害と加害、核時代の人権と責任
年表 核時代の変遷と反核平和運動
おわりに

著者略歴

著:稲岡 宏蔵
1941年1月長崎市に生まれる。原爆投下8月9日の直前に現在の諫早市に疎開して被爆を免れる。
1960年4月大阪大学入学、理学博士(素粒子)。大阪在住。
学生・大学院生の自治会活動、科学者の反核平和活動に取り組む。
大学非常勤講師をしながら反核平和、反原発運動を行ってきた。最近の取組は、非核平和のひろば、地球救出アクション97、連れ合いの稲岡美奈子と共同の活動が多くなっている。

ISBN:9784846120245
出版社:緑風出版
判型:A5
ページ数:376ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年12月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS