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失われた日本の景観

「まほろばの国」の終焉

著:浅見 和彦
著:川村 晃生

紙版

内容紹介

古来、日本の国土は「まほろばの国」と呼ばれ、美しい景観に包まれていた。しかし、高度経済成長期以降、いつのまにかコンクリートによって国土は固められ、美から醜へと変わっていった。
日本の景観破壊はいつまで続くのか。いつになったら、われわれは景観の重要性に気付くのだろうか。それともこのまま社会は進み続けるのだろうか。そんな状況に警鐘を鳴らしたいという思いから、この本は書かれた。

目次

はじめに
序 章
五重塔はなぜ美しいのか
第一章 海浜
親不知、子不知──消えた北陸道の難所
九十九里浜──ヘッドランドに侵蝕される砂浜
御宿海岸──失われた「月の砂漠」の詩情
原子力発電所──破壊された祈りの場
田子の浦──コンクリートの柱が林立する海
第二章 山野
鬼泪山──伝説の山が消える
伊豆半島──知られざる巨大風車による受難
南アルプス──巨大トンネルで貫くリニア中央新幹線
高尾山──山を殺していいのか!
嵯峨野──照らし出された竹林
第三章 湖沼と川
寒霞渓──ダムに壊される渓谷美
琵琶湖岸──開発に泣く古典のふるさと
巨椋池──失われた月見の名所
川の流れる風景──心のオアシス
第四章 都市
平城京──朱雀門・大極殿復原の問題点
新宿御苑──高層ビルの景観破壊
甲府駅前──ちぐはぐな駅前開発
慶応義塾──文化と芸術に無頓着な大学
第五章 生活
雀──お宿はどこに?
ナラ枯れ──山のミドリが消えていく
静かさと暗さ、そして貧しさ──日本文化の基調
地震と犯土──土を「犯す」ということ
終 章
対談「景観はなぜ損なわれたか」
神を畏れぬ人々
景観の力とは何か
あとがき

著者略歴

著:浅見 和彦
1947年東京都生まれ。東京大学文学部卒。同大学院博士課程満期退学。成蹊大学文学部教授を経て、2013年退職。現在、同大学名誉教授。日本古典文学、地域文化論、景観保護の観点から環境日本学を提唱。
[著書]『壊れゆく景観─消えゆく日本の名所』(共著。慶應義塾大学出版会、2006年)『日本古典文学・旅百景』(日本放送出版協会、2008年)、『方丈記』(ちくま学芸文庫、2011)『東国文学史序説』(岩波書店、2012年)ほか。
著:川村 晃生
1946年山梨県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学教授を経て2012年定年退任。同大学名誉教授、博士(文学)。日本文学、環境人文学専攻。リニア・市民ネット代表、全国自然保護連合代表、日本景観学会副会長。
日本文学の研究をベースに、文学研究の観点から環境問題に取り組む。
[著書]『日本文学から「自然」を読む』(勉誠出版、2004年)『壊れゆく景観─消えゆく日本の名所』(共著。慶應義塾大学出版会、2006年)ほか。

ISBN:9784846115012
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2015年01月
発売日:2015年01月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WM