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世界の環境問題 8

著:川名 英之

紙版

内容紹介

商業伐採、焼畑、薪炭利用などで、熱帯雨林が消滅に向かう。豊かなマングローブ林が開発やエビなどの養殖池のために急速に失われていく。十分な排煙、排水浄化装置のない旧式な設備を日本企業などが輸出し、公害を引き起こす。都市化と排ガス対策の不十分な中古車中心のモータリゼーションが大気汚染と温暖化を加速させる。
さらには産業史上最大の被害者を出したインド・ボパールの化学工場爆発事故、ベトナム戦争で破壊されたインドシナ各国と戦後のメコン川ダム開発問題、仏ムルロア環礁などの核実験、ニュージーランドや豪・タスマニアの自然保護、グレートバリアリーフなどの温暖化で死滅するサンゴ礁……。
そして、それらの原因に、先進国、とりわけ日本やアメリカの浪費型経済と企業の無責任な活動がある。
第8巻は、中国を除くアジア、オセアニアの公害環境問題の歴史と現状を総括、最新の環境政策を追う。

目次

第1部 総説
第1章 消滅へ向かうアジアの熱帯林
アジア・太平洋の熱帯林は今
フィリピンの森林減少過程
インドネシアの森林減少と対策
マレーシアの森林減少過程
熱帯林伐採を阻むサラワク先住民
熱帯林保全を求める国際世論
伐採がサラワクからメラネシアへ
パーム油ブームと火災が減らす森林
激減したマングローブ林
熱帯林の違法な伐採・輸出の横行
[コラム] 文明論者ダイアモンド博士の「森食い虫・日本批判」
第2章 森林破壊と生物多様性喪失・洪水
アジアの森林破壊と生物多様性の危機
森林破壊と洪水・土砂災害の頻発
第3章 温暖化の影響─氷河・海面・サンゴ
融解進むヒマラヤ・チベットの氷河
大河川流量の減少見通し
海面上昇とサンゴ礁の島々、バングラデシュ
消えゆく太平洋のサンゴ礁
[コラム]消滅へ向かう世界のサンゴ

第2部 東南・南アジア
第1章 インドネシア
インドネシアの自然と歴史
インドネシアの環境行政
自動車公害の激化
水質汚染
第2章 マレーシア
マレーシアの国土と歴史
マレーシアの環境法と環境行政
マレーシアの大気・水質汚染
日系企業による放射性廃棄物汚染事件
ゴミ問題と廃棄物政策
第3章 フィリピン
フィリピンの国土と歴史
フィリピンの環境政策・環境行政
大気汚染の激化
廃棄物めぐる環境問題
第4章 ベトナム、ラオス、カンボジア
〈ベトナム〉
ベトナムの国土と略史
枯葉剤による人体被害と環境汚染
枯葉剤被害以外の環境汚染問題
〈ラオス〉
ラオスの国土と略史
ラオスの環境問題
〈カンボジア〉
カンボジアの国土と略史
カンボジアの環境問題
第5章 タイ
タイの自然と歴史
環境法制と環境行政組織の整備
工業開発と公害の激化
深刻なバンコクの大気汚染
水質汚染と海岸浸食
タイの森林減少問題
第6章 インド
インドの国土と自然
インドの独立運動
インドの環境政策
エネルギー需要の増加と環境問題
深刻化する水不足問題
水質汚染
世界産業史上最大、ボパールの惨事
減少する森林と薪の採取
野生動物の保護対策
ナルマダ・ダムの建設問題
有害廃棄物対策
第7章 ネパール、ブータン
〈ネパール〉
ネパールの国土と自然環境
環境政策と環境法の整備
自動車の増加に伴う大気汚染
森林を減らした人口増加
〈ブータン〉
ブータンの国土と自然
ブータンの環境問題と政策
第3部 東アジア
第1章 朝鮮半島の自然と歴史
韓国と北朝鮮の国土と自然
近現代朝鮮の歴史
第2章 韓国の環境問題・環境政策
公害問題と環境政策の経過
大気汚染
水質汚染と対策
自然保護問題と廃棄物行政
第3章 北朝鮮の環境の現状
環境問題と環境政策の推移
水質汚染と土壌の汚染・浸食
森林の減少と失われる生物種
第4章 台湾の環境問題
台湾の国土と自然・歴史
台湾の環境問題の歴史
大気、水質、土壌の汚染と防止対策
自然保護対策
核廃棄物と有害産廃の処理問題
第5章 モンゴルの環境問題
モンゴルの国土・自然
深刻化する地球温暖化の影響

第4部 オセアニア
第1章 オセアニア諸国と欧米・日本
欧米のオセアニア進出
太平洋戦争と太平洋諸国
第2章 オーストラリア
オーストラリアの国土・自然
オーストラリアの略史
地球温暖化と干ばつの頻発
超巨大大陸以来の固有種と森林減少
日本の調査捕鯨とオーストラリア
第3章 ニュージーランド
ニュージーランドの国土と歴史
ニュージーランドの自然
ニュージーランドの環境行政
第4章 パラオの非核化と「非核の海」運動
パラオの非核化の苦しみ
太平洋が米英仏の核実験場に
ムルロワ環礁の核実験
南太平洋の非核化運動

第5部 アジアの環境問題の総括
第1章 アジアの環境問題の経過と特質
アジアの経済成長と人口問題
都市環境公害とエネルギー問題の深刻化
第2章 インドシナ諸国のダム開発と環境
ダム建設問題とメコン委員会
相次ぐラオスのダム建設計画
タイ、ミャンマーでもダム建設
第3章 アジアの地下水砒素汚染と対策
アジアの砒素汚染
軍備拡張に向かうASEAN諸国

出典注記
参考文献

著者略歴

著:川名 英之
環境ジャーナリスト 津田塾大学国際関係学科非常勤講師。
1959年、東京外国語大学ドイツ語学科卒、毎日新聞社に入社。1963年、ウィーン大学へ文部省交換留学(西洋史)、社会部に所属し、環境庁、環境問題を長く担当、編集委員。この間、立教大学法学部非常勤講師、1990年、毎日新聞社を定年(55歳)退職し、環境問題の著述に専念、後に江戸川大学社会学部非常勤講師。
 主な著書に日本の公害・環境問題の初の通史『ドキュメント・日本の公害』全13巻(緑風出版、1987〜96年)を始め、『資料「環境問題」地球環境編』(日本専門図書出版、2000年)、『デイーゼル車公害』(緑風出版、2001年)、『杉並病公害』(緑風出版、2002年)、『検証・カネミ油症事件』(緑風出版、2005年)、『世界の環境問題』シリーズ(緑風出版)などがある。他に共著多数。

ISBN:9784846112165
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:592ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2012年09月
発売日:2012年09月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQ