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経済学入門コース

経済の不思議に答える

著:名和 隆央

紙版

内容紹介

経済は不思議なことに満ちている。市場経済では、自分中心に動いているのに、社 会的には皆がそれなりに生活している。経済成長をしているにも関わらず、失業は減少しないし、繰り返し不況に襲われる。本書はこのような経済現象に含まれるさまざまな不思議さをテーマにすえ、経済学の基本を分かりやすく解説する。現代の不況を解明するための経済の入門書である。

目次

まえがき

Ⅰ 市場経済の社会
第1章 日本経済の現状をどう見るか
年代日本の長期不況/経済不況の長期化要因/新自由主義的経済政策

第2章 経済は何から成り立つのか
生産とは何か/人間労働の二面性/労働の生産力と生産関係/経済調整の二つの原理

第3章 市場経済とはどのような仕組みか
私的所有と市場の発生/商品交換を規制する基準/使用価値と交換価値との区別

第4章 需要供給の法則に任せて大丈夫か
需要供給の法則とは何か/商品価値は何で決まるのか/需要供給の法則と市場の不安定性

第5章 お金の持っている不思議な力
商品交換の困難と貨幣の発生/価値を表示し商品を流通させる機能
価値を保存し債務を決済する機能

Ⅱ 資本主義システム
第6章 等価交換なのにお金が儲かる
前近代的資本と価値差額/賃労働者の形成と資本主義システム/剰余価値はどこから生まれるのか
可変資本と不変資本との区別

第7章 市場経済なのに企業組織が拡大する
取引コストと企業組織/チーム生産と情報コストの節約/契約説的企業論への批判

第8章 なぜ物質的豊かさを追求するのか
剰余価値を増大させる方法/生産システムの歴史的段階

第9章 どうして耐久消費財が普及するのか
大量生産とフォードシステム/多品種少量生産とトヨタシステム

第10章 給与はどうやって計算されるのか
賃銀は何で決まるのか/賃銀形態の歴史的展開

第11章 経済が成長しても失業が増える
厳しい雇用環境/失業問題のとらえ方/資本構成というとらえ方
有機的構成の高度化と失業の増大

Ⅲ 資本主義的競争と所得分配
第12章 競争しているのに均衡価格が成立する
利潤率とは何か/部門間競争と均衡価格/部門内競争と市場価値

第13章 資本が増えると利潤が減る
資本利潤率の傾向的低下/反対に作用する諸要因/損益分岐点売上高比率

第14章 商人は安く買って高く売る
商人の役割とは何か/商業資本の自立化の根拠/なぜ安く買って高く売れるのか
商業マージンと流通費用

第15章 銀行はどこまでお金を貸せるのか
利子と企業者利得/商業信用の役割 銀行信用の役割/株式会社の成立

第16章 国民所得はどのように使われるのか
国民所得とは何か/消費財部門と生産財部門との連関/投資・貯蓄による所得決定理論
国民所得の成長率/日本経済のマクロ的不均衡

第17章 デフレ不況をどう克服するか
拡大再生産の社会的条件/景気変動の基本的要因/貿易黒字とドル債権の累積
デフレを克服する構造転換

経済学を学ぶ参考文献 基本用語の解説

著者略歴

著:名和 隆央
1952年大分県生まれ。立教大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。現在、立教大学経済学部教授。日本型産業組織の構造的特徴について、マルクス経済学と新制度派経済学との対話可能性という視点から、理論的実証的研究を進めている。そのほか、技術論や再生産論についての理論的論文があり、小著のなかのそれぞれの部分的にその成果が反映されている。

ISBN:9784846104023
出版社:緑風出版
判型:A5
ページ数:144ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2004年03月
発売日:2004年03月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCA