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杉並病公害

著:川名 英之
著:伊藤 茂孝

紙版

内容紹介

閑静な住宅が広がる東京杉並区のど真ん中に都の廃プラスチック中心の不燃ごみ圧縮施設「杉並中継所」が稼働した。直後から付近一帯で原因不明の呼吸困難、頭痛などの被害が多発、死亡者まで出る騒ぎとなった。だが都は施設を発生源と認めず、住民は闘いに立ち上がる。本書はその記録!

目次

はしがき

第一章 「杉並病」の大発生
大気汚染の発端
夜間、開けていた窓から毒物
ホルモン異常で男性化
勤務辞めても続く重症
保育園の閉園、学生の退寮
家族・動物襲った健康被害
「杉並病」とはどんな病気か

第二章 被害者・支援者の運動
アンケート調査とその結果
内科医大谷育夫の活動
「杉並病をなくす会」の活動
「科学者グループ」結成と活動
杉並病の原因究明でシンポジウム

第三章 問題多い行政の対応
積極的だった初期の杉並区
相関認めた杉並区の疫学調査
矛盾多すぎる「硫化水素説」
無意味な調査を繰り返す東京都
杉並区議会の質疑――杉並病の大発生
杉並区議会の質疑――疫学調査
杉並区議会の質疑――公調委裁定まで
東京都議会の杉並病質疑
杉並病問題と環境省
放置続く被害者救済

第四章 公調委での活動
公調委に申請するまで
始まった本格的な審問
相次ぐ優秀な参考人の証言
新型公害・杉並病の準備書面
新たな因果関係論の構築
なぜ六年もかかったのか

第五章 被害者自ら原因究明
闘病の傍ら原因究明に成功
曝露された物質
行政はどう分析したか
分析で分かった空気汚染の実態
曝露物質と病態との関係

第六章 杉並病の原因裁定
認められた中継所との因果関係
健康被害の認定に期限
原因裁定の意義と問題点

第七章 今後の課題
化学毒物出す中継所・破砕施設の総点検
毒物なきプラスチックの開発
活かそう、過去の公害経験

公害等調整委員会
「杉並区における不燃ごみ中継施設健康被害原因裁定申請事件」の裁定
杉並病問題年表
あとがき

著者略歴

著:川名 英之
環境ジャーナリスト。
1959年、東京外国語大学ドイツ語学科卒、毎日新聞社に入社。1963年、ウィーン大学へ文部省交換留学(西洋史)、社会部に所属し、環境庁、環境問題を長く担当、編集委員。この間、立教大学法学部非常勤講師、1990年、毎日新聞社を定年(55歳)退職し、環境問題の著述に専念、後に江戸川大学社会学部、津田塾大学国際関係学科非常勤講師。
 主な著書に日本の公害・環境問題の初の通史『ドキュメント・日本の公害』全13巻(緑風出版、1987〜96年)を始め、『資料「環境問題」地球環境編』(日本専門図書出版、2000年)、『デイーゼル車公害』(緑風出版、2001年)、『杉並病公害』(緑風出版、2002年)、『検証・カネミ油症事件』(緑風出版、2005年)、『世界の環境問題―第1巻 ドイツと北欧―』(緑風出版、06年)『世界の環境問題―第2巻 西欧―』(緑風出版、07年)、『実は危険なダイオキシン』(緑風出版、2008年)、『世界の環境問題』シリーズ(緑風出版)などがある。他に共著多数
著:伊藤 茂孝
1974年生まれ。1997年、上智大学法学部法律学科卒。2001年司法研修所卒(54期)。司法研修所卒業後、思うところありアルバイトをしながら生計を立てていたが、その間に杉並病問題にボランティアとして携わるようになる。杉並病裁判の原告弁護団に加わるため、2002年12月中に弁護士登録予定。

ISBN:9784846102173
出版社:緑風出版
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2002年12月
発売日:2002年12月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS