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危機の時代に立ち向かう「共同」の教育

「表現」と「方法としての政治」で生きる場を切り拓く

著:佐貫浩

紙版

内容紹介

今、社会を覆う危機を前に、問われているのはまさに「共同の力」ではないだろうか。グローバル資本企業の目的を自らの目的として競争に生きる人間ではなく、人々の生存と安全と自由と平等と持続のための共同をつくり出すことのできる主体的人間を教育の目標としなくてはならない。表現、自治、民主主義、方法としての政治を、人間の主体化にとって決定的に重要と考え、教育的価値として位置づけ直す。

目次

第Ⅰ部 世界と子ども世界の平和の危機の中で
 第1章 平和を回復するための思いをつなげあう場を教室の中に取り戻す
 ──ロシアのウクライナ侵略戦争の中で、教育を考える      
 第2章 社会・世界・自らの生活世界を平和の方法で作り出す
 ──主権者を「現れさせる」民主主義の空間をつくりだす
 第3章 個を切り拓く方法として民主主義をとらえる  
 ──教育における民主主義の意味と役割  
 第4章「方法としての平和」再論
 ─―平和と表現・民主主義の関係を考える 
 第5章  気候・人権の危機と教育の課題
 ――システムチェンジを引き起こすSDGsの取り組みを

第Ⅱ部 学力と人格の関係をめぐって──「資質・能力」論批判
 第6章  コロナパンデミックと新自由主義
 ──危機の中から教育の未来を切り拓くために― 
 第7章 「学力と人格の結合」論と「資質・能力」論
──今、学力問題はどこに存在しているのか
 第8章 評価と「資質・能力」論
──高校における観点別評価をどう考えるか
 第9章 GIGAスクール・AIと知の構造変容
 ──学びの危機と民主主義教育の課題
 
第Ⅲ部 方法としての政治と新自由主義による人間管理
 第10章 「危機の時代」の教育と教育的価値としての政治
 ──学びと発達の場に「自治と共同のための政治」を
 第11章 M・フーコーの新自由主義把握の検討
――競争を生み出す統治技術と「生政治」
 第12章  新自由主義と「ホモ・ポリティクス」vs「ホモ・エコノミクス」
  ──ウェンディ・ブラウン著『いかにして民主主義は失われていくのか─新自由主義の見えざる攻撃』の提起するもの
 第13章 道徳の教科化による公教育の質の転換
  ──勝田守一の道徳教育論の把握にかかわって
 第14章 道徳的価値を教育はどう扱うべきか
  ──道徳性の教育の方法と「政治」の方法の関係を軸に

著者略歴

著:佐貫浩
法政大学名誉教授。教育科学研究会常任委員。平和・国際教育研究会会長。著書に『新自由主義と教育改革  なぜ、教育基本法「改正」なのか』(旬報社、2003)、『学力と新自由主義 「自己責任」から「共に生きる」学力へ』(大月書店、2009)、『品川の学校で何が起こっているのか 学校選択制・小中一貫校・教育改革フロンティアの実像』(花伝社、2010)、『現代をどうとらえ、どう生きるか 民主主義、道徳、政治と教育』(新科学出版社、2016)、『学力・人格と教育実践 変革的な主体性をはぐくむ』(大月書店2019)、『「知識基盤社会」論批判 学力・教育の未来像』(花伝社2020)、『恵那の戦後教育運動と現代 「石田和男教育著作集」を読む』(花伝社、2021)他多数。

ISBN:9784845118366
出版社:旬報社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN