「表現の自由」の社会学
差別的表現と管理社会をめぐる分析
著:伊藤 高史
紙版
内容紹介
童話『ちびくろさんぼ』絶版問題と筒井康隆著『無人警察』教科書掲載問題に関わる、差別的表現を巡る論争などをとりあげ、「表現の自由」という「概念」がどのように「機能」したのかを問題にする。主に法律学の観点から論じられてきた「表現の自由」の問題を、社会学的な観点からアプローチ。マスメディアの発達した社会にあって、国家/社会/マスメディア/個人、という関連の中でこれらの問題をとらえることは、今日の政治社会そのものを考察することである。
目次
序章:表現の自由への新たなアプローチを目指して 第1章:「表現の自由」と人権および社会秩序 第2章:差別的表現規制と表現の自由の「共和主義的」理解について 第3章:公的領域としての思想の市場と管理社会論 第4章:知識社会学、イデオロギー研究と「表現の自由」論 第5章:アルチュセールの徴候論的読解とディスクール分析 第6章:筒井康隆「無人警察」論争—表現の自由の空洞化 第7章:『ちびくろサンボ』の絶版—表現の自由のゆらぎ 第8章:人間の複数性と「表現の自由」 第9章:表現の自由の保守的価値