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新天理図書館善本叢書 1

古事記道果本 播磨国風土記

編:天理大学附属天理図書館
他解説:野尻 忠
他解説:木田 章義

紙版

内容紹介

【古事記 道果本】重要文化財
 天武天皇の勅命により稗田阿礼が誦習した帝紀(皇室の系統譜)、および先代の旧辞(各氏族伝来の史書)を太安万侶が元明天皇の勅を奉じて撰録、和銅五年(七一二年)に献上された、日本における現存最古の説話的な史書である。上巻(神代)、中巻(神武天皇~応神天皇)、下巻(仁徳天皇~推古天皇)の三巻より成る。『日本書紀』と比べると伝本の数は非常に少なく、名古屋市真福寺蔵の応安四年(一三七一)写本を遡るものはない。
 所収本は、応安写本より約一〇年後の永徳元年(一三八一)、真言僧・道果によって書写されたと比定されているもの。序および上巻の前半、須佐之男命の八雲神詠までを収める袋綴一冊の零本だが、伊勢系統写本のうち現存第二の古写本として重要。真福寺本には存在しない句読点、訓、返点、傍注などが朱筆で施され、他の写本との校勘を試みた跡も見られる。このたび原寸大の高精細カラー版によってこれらが明瞭となることは、『古事記』研究の進展に資するものといえる。


【播磨国風土記】国宝
 風土記は、和銅六年(七一三)、元明天皇が諸国に勅し、地名や遺跡の由来、土地の沃痩、特産物、古老相伝の旧聞異事などを採録・編纂させた官撰の地誌である。成立当時は各国風土記が六〇巻ほど存したと言われるが、その殆どが散逸。まとまった形で伝存しているものは五か国のみで、「古風土記」と称される。『播磨国風土記』はこの古風土記のうちの一つ。原本は霊亀元年(七一五)以前に成立したと思われる。
 所収本は現存最古の写本にして、伝本中唯一の祖本として貴重。巻子装一巻、本文は速筆で錯綜。巻頭部分を破損し賀古郡総説の中途から本文がはじまるが、欠落部にはおそらく播磨国総説・明石・賀古郡の前半部があったものと思われる。錯簡をはじめとして未整備な部分が多いことから、播磨国庁における最終的な統一編集を受ける以前の古態を残しているといわれる。原本情報がカラーで再現されることにより、筆使いや墨継ぎ等も明瞭に判り、料紙・墨色など、平安末期の写本の様態を知る意味で重要といえよう。

ISBN:9784840695510
出版社:八木書店
判型:A4変
ページ数:200ページ
定価:26000円(本体)
発行年月日:2016年02月
発売日:2016年02月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ