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狂歌百人一首泥亀(すっぽん)の月を読む

戯劇(どうけ)百人一首闇夜礫(やみよのつぶて)への改作

著:山本 広子

紙版

内容紹介

小倉百人一首をもじった『狂歌百人一首泥亀の月』。
江戸庶民の哀歓を詠い上げた江戸のもじり歌には、現代社会にも通じる面白味がある。著者は狂歌と戯画を見比べながら、巧みなうがちを見抜き、作者・越谷山人の戯の世界を読み解く。
東京都立中央図書館特別文庫室蔵『狂歌百人一首泥亀の月』とその改作『戯劇百人一首闇夜礫』の影印を全篇掲載
『近世の狂歌は機知と笑いを生命線とするパロディーの文学であり、歌のどこに面白いがあるかといった点を解明することは狂歌研究にとってはもっとも本質的な問題であると思われる。山本さんはご自身で狂歌の面白さを感じ、その面白さを多くの人に伝えたいという思いが強く、そのためにこの書を執筆したと聞いている。 その成果は直接には本書の第一部「評釈篇」にまとめられているが、それにとどまらず、見られる限りの伝本をみて作品の成立過程を考察し、また本作品の位置についても狂歌史の流れの中で把らえようとしている。 更に作者「越谷山人」についても、文献の上で考えるだけでなく越谷の地に何度も赴き、手を尽くして研究を深めている。それらの成果をまとめたものが山本さんのこの『狂歌百人一首泥亀の月を読む』である。』<序 大取一馬より抜粋>

目次

序 大取一馬
はじめに

第一部、 評釈篇
『狂歌百人一首泥亀の月』評釈


第二部、 研究篇
第一章、 研究対象とした伝本
一、 『狂歌百人一首泥亀の月』の伝本
二、 『闇夜礫』の伝本

第二章、 『狂歌百人一首泥亀の月』および『戯劇百人一首闇夜礫』の成立
第一節、 『泥亀の月』および『闇夜礫』の著者とその成立年
一、 著者 越谷山人鱗斎一魲
二、 「丙子春日」と記された成立年
三、 『泥亀のつき』から『闇夜礫』への改題・改作
第二節、 版本『闇夜礫』の序者並びに画工兼版元と著者の関係
一、 序者の四方瀧水
二、 画工の眉山竹孫兼版元の竹内孫八
三、 四方瀧水および竹内孫八と著者の関係

第三章、 江戸狂歌史における作品の位置
第一節、 江戸狂歌の展開
一、 明和期
二、 安永期
三、 天明期
四、 寛政・享和期
五、 文化・文政期
第二節、 『泥亀の月』および『闇夜礫』両作品の位置
第三節、 その他のもじり百人一首における両作品の位置

第四章、 両作品の特徴
第一節、 狂歌の特徴
一、 多様な技巧による狂趣
1、 本歌取りの面白さ
2、 かけ詞、縁語、またその複合の面白さ
3、 見立ての面白さ
4、 対比の面白さ
二、 多様な主題による狂趣
1、 庶民の生活や風俗を詠んだもの
2、 恋人、夫婦、親子の心の機微を詠んだもの
3、 傾城や遊郭を詠んだもの
4、 四季の景物を詠んだもの
5、 生き物の世界への情を詠んだもの
6、 そのほか、人生にまつわる述懐を詠んだもの
第二節、 戯画の特徴
一、 写本の彩色戯画
二、 版本の墨色戯画


第三部、 翻刻篇
凡例
一、 『狂歌百人一首泥亀の月』【東京都立中央図書館特別文庫室蔵】翻刻
二、 『戯劇百人一首闇夜礫』 【東京都立中央図書館特別文庫室蔵】翻刻
三、 『狂歌百人一首闇夜礫』序・跋の翻刻
1、『狂歌百人一首闇夜礫』 【東洋大学図書館蔵(ア)本】序の翻刻
2、『狂歌百人一首闇夜礫 完』【西尾市岩瀬文庫蔵】序・跋の翻刻

第四部、 影印篇
凡例
『狂歌百人一首泥亀の月』【東京都立中央図書館特別文庫室蔵】影印
『戯劇百人一首闇夜礫』 【東京都立中央図書館特別文庫室蔵】影印

初句索引
あとがき

著者略歴

著:山本 広子
家庭裁判所調査官(補)として神戸・大阪・京都などに勤務し、定年退職。
後、同志社大学文学部に学士入学し、卒業。
現在、家事調停委員として家事事件にかかわりながら、同志社大学大学院文学研究科に聴講生として学ぶ。
ほか、家庭問題情報センター・大阪ファミリー相談室、児童虐待防止協会に所属

ISBN:9784838602339
出版社:武蔵野書院
判型:A5
ページ数:297ページ
定価:3333円(本体)
発行年月日:2009年03月
発売日:2009年02月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ