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いのちのとりで裁判に学ぶ わたしたちの「生活保護」

編:石黒好美
監:白井康彦

紙版

内容紹介

いつか、あなたのくらしを救い、未来を守ってくれることも。そんな希望に満ちた法律を、もっと身近に知るために。
2020年6月25日、名古屋地方裁判所で出された生活保護費の引き下げの是非を問う裁判の判決は大きな議論を引き起こしました。生活の「最低限度」を引き下げることの重大さ、そして引き下げに至る過程にも重大な疑義があることを争った裁判でした。角谷昌毅裁判長は生活保護基準の引き下げは厚生労働大臣の裁量権の範囲内であるとして、原告の訴えをすべて棄却しました。生活保護基準は生活保護を受けている人だけに関わるものではありません。地方税の非課税基準や、国民健康保険や介護保険の保険料の減免、就学援助の給付対象、そして最低賃金も生活保護基準を参考に決定されています。基準が引き下げられれば減免や給付が受けられなくなる人も増えるのです。何よりも「健康で文化的な最低限度の生活」の基準を定めることは、日本に住む人の生活をどう保障するかということに他なりません。それは、私たちが「どんな暮らしができる国でありたいか」を考えることなのです。

目次

はじめに◉石黒好美
苦闘が続く「いのちのとりで」裁判◉白井康彦
インタビュー◉内河惠一(生活保護基準引き下げ反対訴訟・名古屋弁護団長)
生活保護法は「希望に満ちた法律」です ─今こそ、その原点に立ち返る時
コラム 時代の傍観者になってはならない 井手英策(財政学)
インタビュー◉天池洋介(岐阜大学・日本福祉大学非常勤講師)
「あの人たち」の生活保護から「私たち」の社会保障へ
インタビュー◉小池直人(元・名古屋市 福祉事務所生活保護ケースワーカー)
誰もが必要なときに使える制度にするために ─職員、研究者、市民が信頼関係を築ける仕組みを
コラム 名古屋地裁判決の問題 木村草太(憲法学)
インタビュー◉山田壮志郎(日本福祉大学社会福祉学部教授・NPO法人ささしまサポートセンター事務局長)
「生活保護基準の引き下げ」を求める「国民感情」は本当にあるのか 116
コラム 名古屋地裁判決に思う─朝日訴訟・浅沼裁判長の仁慈との比較 水野哲也(「いのちのとりで裁判」原告)

インタビュー◉楠木ゆり子(「いのちのとりで裁判」原告、[仮名])
いつでも誰でも、困ったときに頼りにできる ─生活保護はそんな制度であってほしい
コラム 生きる希望の最後の砦が裁判所 大山小夜(社会学)
インタビュー◉白井康彦
生活保護費は国による「物価偽装」によって大幅に削られた
泥沼の裁判闘争に希望の光◉白井康彦

著者略歴

編:石黒好美
フリーライター/社会福祉士。1979年、岐阜県生まれ。岐阜大学地域科学部卒。印刷会社、IT関連会社勤務の後、障害者・生活困窮者の相談支援などに携わる。日本福祉大学福祉経営学部(通信教育部)を経て社会福祉士に。現在は主にNPO、福祉、医療などの分野で執筆。
監:白井康彦
フリーライター/社会活動家。1958年、名古屋市生まれ。1984年に一橋大学商学部を卒業して中日新聞社に入社。ほぼ一貫して新聞記者生活を送り、若い頃は主に経済部、後半は主に生活部に所属。2018年に定年退職。その後は、物価偽装問題に関連する記事執筆や裁判支援活動に全力投球。YouTubeチャンネル〈白井康彦〉にて情報配信中。

ISBN:9784833111416
出版社:風媒社
判型:A5
ページ数:172ページ
定価:1400円(本体)
発行年月日:2021年09月
発売日:2021年10月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS