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北海道大学大学院法学研究科研究選書 7

《法と文学》の法理論

著:林田 清明

紙版

内容紹介

前著『《法と経済学》の法理論』において伝統的法学の論理と制度を批判的に検証した著者の新機軸! 法のテクスト性や物語性,社会文化的コンテクストに着目する《法と文学》の観点から文学作品を自在に読み解き,法の背後に潜む権力の問題,法と社会規範の関係性,法解釈の主体たる読者の位相,法的価値づけの根拠等,法の根幹にまつわる諸問題を鋭く問い直す。司法改革が進められて10年以上が経過した現在,あらためて求められる繊細にして強靭な批判的思考がここにある。

目次


はしがき  
初出一覧  

第Ⅰ部 《法と文学》とは何か
第1章 《法と文学》の諸形態と法理論としての可能性
はじめに / 「法と文学」 / 「法と文学」の諸形態 / 「法と文学」の法理論としての可能性 / おわりに

第Ⅱ部 《法と文学》と法
第2章 法による文学規制と《法と文学》――チャタレイ裁判再考
はじめに / チャタレイ裁判再考 / リーガル・ディスコースとしてのわいせつ / 「法と文学」としてのチャタレイ裁判 / おわりに

第3章 私的空間という装置と法――《法と文学》による日本プライバシー前史
はじめに / 時代のエートス / 市民を作る / 私的空間という装置 / おわりに

第4章 「理性と正義」の劇場としての法
  ――夏目漱石『門』と掟――
はじめに / 法・社会規範とスティグマ / 理性と正義の劇場としての法 / 掟の基礎 / おわりに

第5章 文学的フィクションと法の現実―― F. カフカ『審判』,A. カミュ『異邦人』,H. メルヴィル『ビリー・バッド』を素材に
はじめに / カフカの「絶望の法学」 / 法と不条理 / 法と秩序 / おわりに

第Ⅲ部 《法と文学》と法的推論・法解釈
第6章 ポストモダンと法解釈の不確定性
はじめに / 伝統法学とは何か / ポストモダンとは何か / 法学のポストモダンと民法の不確定性 / おわりに

第7章 法のナラティヴと法的推論――志賀直哉『范の犯罪』を素材に
はじめに / ナラティヴとしての法 / 法の物語と隠された物語 / 物語を裁く / おわりに

第8章 意味の所有権――《法と文学》の法解釈論・法的推論
はじめに / 客観性フェティシズム / 意味の所有権 / 「読者の死」とリーガリズム / 「法と文学」の法的推論 / おわりに

主要事項・人名索引 / 引用判例索引(年代順)

著者略歴

著:林田 清明
林田 清明

1951年生まれ
1980年 九州大学大学院法学研究科修了
1982年 大分大学経済学部助教授
1985年 北海道大学法学部助教授
1988~90年 イェール大学ロー・スクール客員研究員
1991年 北海道大学法学部教授
現在 北海道大学大学院法学研究科特任教授

主 著
『《法と経済学》の法理論』北海道大学図書刊行会,1996年
『法と経済学――新しい知的テリトリー(法学の泉)』信山社,1997年

ISBN:9784832968110
出版社:北海道大学出版会
判型:A5
ページ数:414ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LA