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日本佛教学会叢書

人間とは何か 1

編:日本佛教学会

紙版

内容紹介

古来より宗教は、「人間とは何か」と問い続け、人間を定義づけてきた。そしてそれは、各文化圏における伝統的な人間観の基盤とされてきた。しかし近代においては、一方で宗教を基盤とした人間観を必要とせずに「人間」が語られ、人間定義が揺らいでいる。
また、生産技術・医療・通信・情報等の分野において飛躍的に科学技術が進歩した近代以降、「移植・延命の問題」「人口知能」「クローン」「人間と自然の関係」等、従来の人間定義ではうまく解けない事態が生じている。
様々な問題を抱える現代社会で、人間観が揺らぎ、伝統的な人間定義は疑問視されている。しかし、問題の多くが「より便利で豊かに暮らしたい」という欲望追求の帰結であるならば、欲望の本質を問い続け超克あるいは昇華への道を示してきた仏教こそ、人間の新たな可能性と未来への希望を生み出す機縁となれるのではないだろうか。
これまで仏教が示してきた人間観の具体像を多面的に探究し、現代社会が抱える諸問題に如何に答えるのか。第一線で活躍する研究者たちによる最新の研究成果をまとめた一冊。

目次

はしがき
【論文】人間と阿弥陀仏の時間・空間における関わり――親鸞浄土教における人間観――(新井俊一)/法然における凡夫救済の原理(伊藤真宏)/源信の人間観(ロバート F. ローズ)/證空にみる人間の理解(中西随功)/密教における「人間」定義(乾 龍仁)/弘法大師空海における「人間」定義――仏と人間の平等という観点から――(佐々木大樹)/曹洞宗の人間観――その伝統と今後の展開について――(菅原研州)/法華経の人間観(則武海源)/中国唯識学派の人間観――『成唯識論』のアーラヤ識説を中心に――(吉村 誠)/慈恩大師基の教学における人間観について(水谷香奈)
【セッションコメント】セッション№1の発表に対するコメント(藤嶽明信)/セッション№2の発表に対するコメント(狩野 恭)/セッション№3の発表に対するコメント(伊藤真宏)/セッション№4の発表に対するコメント(松本峰哲)/セッション№5の発表に対するコメント(宮下晴輝)/セッション№6の発表に対するコメント(石井清純)/セッション№7の発表に対するコメント(藤井教公)/セッション№8の発表に対するコメント(早島 理)
【論文】身心論の観点からみた瑜伽行派の人間観――アーラヤ識説を中心に――(山部能宜)/「六師外道」の人間観(原田泰教)/禅における成仏論(中島志郎)/『沙門果経』阿闍世説話に見る初期仏教の人間観(福田 琢)/アビダルマの法体系の基礎をなす仏教的な人間理解――存在の分析における五蘊の意義をめぐって――(横山 剛)/ツォンカパの人間観(根本裕史)/修道論 から見た仏教の人間観(吉田 哲)/一切智者論から見た「人間」(佐藤智岳)

ISBN:9784831877185
出版社:法藏館
判型:A5
ページ数:280ページ
定価:6600円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDT