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隠徳のひじり 玄賓僧都の伝説

著:原田 信之

紙版

内容紹介

法相六祖の一人、平安時代の興福寺の高僧・玄賓僧都。世俗を厭い名利を離れて隠棲した「隠遁聖の祖」として、『発心集』、能「三輪」のワキに登場するなど、中世以降、様々な伝承が生まれていった。
鴨長明や良寛が憧れてやまなかった玄賓僧都。大和の国(奈良県)、備中の国(岡山県)、伯耆国(鳥取県)をはじめ、全国に伝わる、その誕生から終焉までの多数の魅力的な伝説を一書に収載。玄賓僧都没後1200年記念出版。

目次

序 章 玄賓僧都伝説の魅力と意味
     Ⅰ 隠徳のひじり玄賓僧都と法相宗僧侶の社会事業
     Ⅱ 隠遁者のあこがれ――玄賓僧都説話の成立と展開――
     Ⅲ 玄賓僧都「伝説」の魅力と意味 

◆備中国(岡山県)編
 第一章 備中国における玄賓生誕地伝説と臍帯寺
     はじめに 
Ⅰ 地名「高僧屋敷」と行者様
Ⅱ 広大山縁起と行基・玄賓伝承
Ⅲ 臍帯寺と玄賓の母
     Ⅳ 郡神社と玄賓
     結  語

 第二章 備中国湯川寺における玄賓僧都伝説
     はじめに
Ⅰ 玄賓の来訪
Ⅱ 玄賓の呪力
Ⅲ 帝との交流
     Ⅳ 玄賓湯川寺を去る
     結  語

 第三章 新見市の玄賓僧都伝説――湯川寺・大椿寺・四王寺――
はじめに
Ⅰ 土橋の湯川寺
     Ⅱ 哲多の大椿寺
Ⅲ 哲西の四王寺
     結  語

 第四章 「湯川寺縁起」と玄賓僧都伝説
はじめに
Ⅰ 玄賓の生没年と備中国来訪年次
     Ⅱ 「湯川寺縁起」と出典の検討
Ⅲ 「湯川寺縁起」成立の背景
結  語

 第五章 玄賓僧都伝説と四王寺の文物
はじめに
     Ⅰ 玄賓伝承と四王寺
     Ⅱ 四王寺の「当山世代年譜」
     Ⅲ 四王寺の大般若経
     Ⅳ 四王寺の文物と末寺
結  語

 第六章 高梁市中井町の玄賓僧都伝説――定光寺・光林寺・柴倉神社――
     はじめに
Ⅰ 西方の定光寺
     Ⅱ 柴倉の光林寺
     Ⅲ 柴倉の柴倉神社
     Ⅳ 大草の如意輪観音堂
     結  語

 第七章 備中国における玄賓僧都伝説の諸相――「哲多郡」の意味するもの――
     はじめに
Ⅰ 高梁の松林寺と深耕寺
     Ⅱ 吉備中央町の袈裟掛岩と僧都川
     Ⅲ 玄賓僧都伝承の広がり
     Ⅳ 「哲多郡」の意味するもの
     結  語

 第八章 備中国における玄賓終焉地伝説ー大通寺・山野神社
はじめに
     Ⅰ 地名「僧都」と玄賓の墓
     Ⅱ 大通寺と玄賓庵
     Ⅲ 倉見池と山野神社
     結  語

◆大和国(奈良県)・伯耆国(鳥取県)編
 第一章 大和国三輪の玄賓僧都伝説――大神神社・玄賓庵――
はじめに
     Ⅰ 三輪と玄賓
     Ⅱ 謡曲「三輪」と大神神社
     Ⅲ 玄賓庵と「玄賓庵略記」
結  語

 第二章 伯耆国の玄賓僧都伝説と阿弥陀寺 ・・・・・・・・・・・・・
はじめに
     Ⅰ 阿弥陀寺伯耆大山建立説
     Ⅱ 『伯耆民諺記』の玄賓伝承
     Ⅲ 『伯耆志』の玄賓伝承
     Ⅳ 秦家文書と賀祥建立説
結  語

〔付1〕玄賓僧都伝説関係地図
〔付2〕玄賓僧都関係年譜
初出論文一覧
あとがき
索  引

著者略歴

著:原田 信之
1959年、広島県に生まれる。1990年、立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。 現在、新見公立大学教授。博士(文学)。 著書に、『今昔物語集南都成立と唯識学』(単著、勉誠出版)、『唱導文学研究 第1~11集』(共著、三弥井書店)、 『日本の民話を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)、『民話の原風景─南島の伝承世界─』(共著、世界思想社)、『日本説話伝説大事典』(共著、勉誠出版)、 『天皇皇族歴史伝説大事典』(共著、勉誠出版)、『社寺縁起伝説辞典』(共著、戎光祥出版)他多数。

ISBN:9784831862495
出版社:法藏館
判型:A5
ページ数:288ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2018年06月
発売日:2018年06月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB