法蔵館文庫
江戸時代の官僚制
著:藤井 讓治
内容紹介
260年あまりに及ぶ徳川社会を運営した統治機構は、いかなる局面から生み出されたのか。そしてそれは、いかに運用されていたのか。
一次史料にもとづく堅実な分析と考察から、幕藩官僚=「職」の創出過程とその実態・特質を解明。また考察を通じて、武家社会を「身分や家格に縛られた閉鎖的な社会」とする理解にも再考を迫る。
日本近世史研究をリードしてきた著者が、幕藩官僚制の内実を明瞭かつコンパクトに論じた快著。
【目次】
凡例
読者へ
Ⅰ章 大久保長安と大岡忠相
1 大久保長安
2 大岡忠相
Ⅱ章 「人」から「職」へ
1 出頭人政治の時代
2 代替りの軋轢
Ⅲ章 「職」の形成とその特質
1 「職」の形成
2 「職」形成の諸相
3 「職」と武士身分
4 幕藩官僚制の運用と人的再生産
Ⅳ章 十七世紀中葉の幕府官僚たち
1 寛文四年の大名・旗本
2 寛文四年「職」の世界
3 昇進の諸相
4 家格の上昇
終章―まとめにかえて―
参考文献一覧
あとがき
文庫版あとがき
江戸幕府職名索引
※本書は1999年に青木書店より刊行された書籍の文庫版です。文庫化にあたって、「江戸幕府職名索引」を追加しました。
目次
凡例
読者へ
Ⅰ章 大久保長安と大岡忠相
1 大久保長安
長安の出自/直轄領支配/長安と金山/知行割/奉行長安/宿駅の整備/検地/信濃・越後支配と松平忠輝/駿府年寄としての長安/各地に現れる長安
2 大岡忠相
出自と家柄/一族の危機/家督相続と書院番就職/徒頭・使番・目付/山田奉行・普請奉行/町奉行忠相/寺社奉行忠相とその日常/忠相と長安
Ⅱ章 「人」から「職」へ
1 出頭人政治の時代
天下人・家康と秀忠/本多正純/所司代板倉勝重/小堀政一/出頭人政治の矛盾/秀忠大御所時代の幕政運営/本丸西丸年寄連署奉書
2 代替りの軋轢
西丸年寄制の解体/旧年寄衆の排除/稲葉正勝の取り立て/惣目付の監察/松平正綱・伊丹康勝の勘当/「六人衆」の成立
Ⅲ章 「職」の形成とその特質
1 「職」の形成
三つの法度/三つの法度の意味/松平信綱らの奉書加判/将軍諸職直轄制/将軍諸職直轄制の麻痺/老中制の確立
2 「職」形成の諸相
若年寄/寺社奉行/町奉行/勘定奉行/所司代と京都町奉行/表象としての役所
3 「職」と武士身分
身分・階層と「職」/「職」と朝廷官位/「御為第一」の原則
4 幕藩官僚制の運用と人的再生産
合議制と月番制/合議制・月番制の限定化/昇進の世界/役料制の導入/家禄を減じる世減制
Ⅳ章 十七世紀中葉の幕府官僚たち
1 寛文四年の大名・旗本
寛文四年という年/『寛政重修諸家譜』/幕府家臣団の概要/寛文四年の大名/寛文四年の旗本/旗本の知行・俸禄
2 寛文四年「職」の世界
弘化二年と寛文四年の職制/寛文四年の主要な職/人員の変化/知行高と職
3 昇進の諸相
大番の昇進/書院番の昇進/小姓組の昇進/三番の比較/新番・小十人の昇進/代官・蔵奉行・勘定の昇進/納戸・小納戸の昇進/桐間番の昇進/徒頭・使番・目付の昇進/留守居番・先鉄砲頭の昇進/遠国奉行の昇進/作事奉行・普請奉行の昇進/勘定奉行・町奉行・大目付の昇進/留守居・側・定火消の昇進/昇進ルートの概要
4 家格の上昇
大名への上昇/昇進による大名化/旗本内での家格の上昇/大番筋と両番筋/御家人から旗本へ
終章―まとめにかえて―
「職」の形成/幕藩官僚制の特質/寛文四年の世界
参考文献一覧
あとがき
文庫版あとがき
江戸幕府職名索引