八犬伝をみちびく糸
馬琴と近世の思考
著:西田 耕三
紙版
内容紹介
全98巻108冊、28年をかけて書かれた日本最大の長篇小説『南総里見八犬伝』。作者・滝沢馬琴が篭めた理想や創作上の技法について、中国の史書や儒教・仏教などの文献に照らして検証する。稗史小説という俗の場において馬琴が描かんとした儒学的人間観は、当時の読者にも共有されていた。その相互作用こそが『八犬伝』の拠って立つ大衆性であった。「天機」「造化」「勧懲」などのキーワードを基に、馬琴の並外れた創意と広大な『八犬伝』の世界を読み解いていく。
目次
はじめに
第一章 馬琴の天機
第二章 『八犬伝』と造化
第三章 君子の戯言――『八犬伝』の発端
第四章 故旧を求める人々
第五章 身と心
第六章 勧懲の主人公
第七章 名詮自性と拆字――思想と遊び
第八章 『八犬伝』の自注
あとがき
索引