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円安と補助金で自壊する日本

2023年、日本の金利上昇は必至!

著:野口悠紀雄

紙版

内容紹介

経済学の第一人者が、日銀の金融緩和政策に警鐘を鳴らす、緊急出版。
このところ円安が止まらない。円の価値は、今年春から数カ月で25円程度も下落した。これは、アメリカをはじめ世界が金利を上げる政策に転換しているのに、日本だけが低金利を維持しているためだ。日本は、金融緩和政策でインフレを起こし、経済を活性化するというのが、アベノミクス以来の方針だった。しかし、円安で物価は上昇しても、労働者の賃金は上がらない。このままでは生活がひっ迫する。それ以上に問題なのは、日銀が投機筋から狙われていることだ。日銀はいつか政策を転換し、金利を上げざるを得ない。そうなると、国債の価格は下落する。それを見越して、世界中の投機筋が国債の先物を大量に売りさばいているのだ。日銀は国債を買い支えて価格の下落に対抗しているが、それにも限界がある。日銀は、本来ならば金利を上げる政策に転換すべきなのだが、それを行うと、大量に購入した国債の価格が下落し、債務超過に陥る。そのために、日銀は動きが取れなくなっているのだ。しかし、日銀が債務超過に陥っても、日常業務に直接の支障が出るわけではない。円安がこのまま進むと、円を売ってドルで運用する「円キャリー取引」が激しさを増し、日本の円資産が国外へ流出することになる。これは国力の低下につながるから、絶対に阻止しなければならない。
日銀は、いますぐ低金利政策を転換し、長期金利上昇を認めるべきである。

目次

はじめに 世界経済の大混乱に翻弄され、漂流を続ける日本 
第1章 円安で物価高騰 ~原材料価格高騰の破壊的効果~
第2章 円安で日本が衰退した ~経常収支赤字化で円安スパイラルの危険~
第3章 日銀と国際投機筋の壮絶な戦い ~進めば地獄、退くも地獄。金利抑制策の末期症状~
第4章 金融政策の転換が必要なのに、なぜ日銀は動けないか? ~日銀はいますぐ、長期金利上昇を認めるべきだ~
第5章 補助依存体質になる日本産業 ~官主導で衰退した日本の製造業~
第6章 デジタル化はどこに向かうか? ~いとも不思議な「デジタル田園都市」~
第7章 高等教育の充実が新しい日本をつくる ~日本は国際的に見て低学歴国である~

著者略歴

著:野口悠紀雄
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書は、『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、1980年、サントリー学芸賞)、『土地の経済学』(日本経済新聞社、1989年、東京海上各務財団優秀図書賞、不動産学会賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、1992年、吉野作造賞)、『リモート経済の衝撃』(ビジネス社)等多数。

ISBN:9784828424453
出版社:ビジネス社
判型:4-6
ページ数:248ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2022年09月
発売日:2022年09月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ