元素創造
93~118番元素をつくった科学者たち
著:キット・チャップマン
訳:渡辺 正
内容紹介
核と核をぶつけ、新しい元素を合成する現代の錬金術
原爆のプルトニウム、理研が合成したニホニウム…
周期表を拡張した発見の物語
周期表の93~118番、超ウラン元素と呼ばれる元素は、多くの人になじみがない。天然には存在せず、原子炉や加速器をもつ特別な施設でしか扱われない。そういう特殊な元素が、原爆コア物質として人類史を変えたばかりか、宇宙の秘密に迫ろうとする科学者たちを魅了した。約80年におよぶ米・露・独・日の熾烈な合成レースがくり広げられ、26種の超ウラン元素がつくられた。十分に重い元素は予測と異なる性質を示し、近い将来、化学の土台を揺さぶるという見方まである。
超ウラン元素はどうやってつくられたのか? 119番以降も合成は続くのか? 関係者への広範かつ綿密な取材をもとに、周期表の果てをめざした元素ハンターたちの挑戦をあざやかに描き出す。
目次
はじめに
プロローグ
Ⅰ ウランの子たち
第1章 現代の錬金術【1787~1938年】
第2章 カリフォルニアの若者たち【1939~41年、93番・94番】
第3章 原子爆弾と新元素【1941~43年、95番・96番】
第4章 スーパーマン対FBI【1945年、95番・96番】
第5章 元素四つで大学名?【1946~51年、97番・98番】
第6章 ある飛行兵の死【1952年、99番・100番】
第7章 大統領とカブトムシ【1955年、101番】
Ⅱ 超フェルミウム戦争
第8章 ノーベリウムか、ノービリービウムか【1957年、102番】
第9章 ソ連の参戦【1950年代】
第10章 東西対決【1959年~70年代、混迷の102~105番】
第11章 長寿の島へ【1950~70年代】
第12章 先端科学の鼓動【1970~75年、106番】
第13章 ドイツの猛追【1969~84年、107~109番】
第14章 ルール変更【1980~91年、101~109番の出自】
第15章 命名論争【1990年代、101~109番の確定】
Ⅲ 化学の果てへ
第16章 壁の崩壊【1989年~90年代、110~112番】
第17章 元素詐欺【1999~2002年、幻の114~118番、本物の110~112番】
第18章 米露の祝宴【1999~2012年、114番・116番】
第19章 日いづる国のビーム【2015年、113番】
第20章 既知の終点【2015年前後、117番・118番】
第21章 未知の始まり【2017年】
エピローグ――元素ハンターたちのその後
謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引