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サイコ・クリティーク 26

発達障害をめぐる世界の話をしよう

よくある99の質問と9つのコラム

著:関 正樹
著:高岡 健

紙版

内容紹介

発達障害のサインは? 発達障害の子どもはどう育てる? 自閉スペクトラム症の大人とどう付き合ったらいい? 自分で発達障害か判断できる? 周りに隠しておいたほうがいい?
発達障害を抱える子どもの親や先生、大人の発達障害当事者が生きていくなかでぶつかる疑問・困難に、経験豊富なベテランとネット・ゲームにも詳しい若手の児童精神科医二人が回答!発達障害に初めて直面する人から、家庭や教育・仕事の現場で彼らを支援する人へまで向けた一問一答形式の入門書。

児童精神科を訪れる親子の悩みはさまざまです。幼児期ですと、「言葉がでない」とか「発達が遅い」などの発達の相談や「保育園と幼稚園どちらに入園したらよいか」や「小学校の就学先」などの進路から「子どものかんしゃく」や「トイレトレーニング」などの日常の子育てまで多岐に渡ります。学童期になれば学校での学習のことやインターネットやゲームとの付き合い方まで様々です。
本書が発達障害を有する子どもの子育てをしているお母さんやお父さんにとって、少しだけ子育てが楽になるようなヒントのようなものになればとてもうれしく思います。
(まえがきより:関正樹)

知っておいていただきたい大前提は、「障害」は人間の内部にはないということです。子どもの場合でも大人の場合でも、人間の内部には、たとえば「足が動かない」だとか「ことばが出ない」といった状態があるだけです。しかし、その人間と周囲の社会とのあいだに壁が存在すると、その人間は生きにくくなります。それが「障害」にほかなりません。つまり、人間の内部の状態+周囲の壁=障害ということです。(本文より:高岡健)

目次

はじめに

第1章 総論
Q1#発達障害とは?
Q2#自閉スペクトラム症の症候は?
Q3#自閉スペクトラム症に関する相談先は?
Q4#インターネット上の情報
Q5#自閉スペクトラム症は増えているか?
Q6#精神障害と自閉スペクトラム症の違いは?
Q7#自閉スペクトラム症の診断は消える?
Q8#不器用な子ども
Q9#知的障害と学習障害の違いは?
Q10#ADHDの症候は?
Q11#ADHDの有病率は?
Q12#ADHDの相談先は?
Q13#場面緘黙とは?
Q14#知的障害とは?
Q15#境界知能とは?
Q16#田舎で子育て、都会で子育て
[コラム1]注意欠如・多動症の「・」の意味は?
[コラム2]病院で診断を受ける意味はあるのか?

第2章 乳幼児期
Q17#自閉スペクトラム症――入学までに出来ること
Q18#診断名を隠す?
Q19#集団活動に無理に引っ張るのはよくない?
Q20#診断名を聞いた親の気持ち
Q21#ダウン症との併存
Q22#電車を見たいというこだわり
Q23#特定のセリフを何度も言わせたい
Q24#発語がない
Q25#かんしゃく
Q26#療育ってなんだろう?
Q27#保育所で気をつけたいこと
Q28#偏食
Q29#運動会
Q30#衣服へのこだわり
Q31#自閉スペクトラム症とADHDの併存
Q32#保育所でのADHD
Q33#毎日の朝の支度
Q34#ADHDの子育て
Q35#通常学級か特別支援学級か?
Q36#知的障害と療育
Q37#就学にあたって
Q38#就学先の選択
[コラム3]アスペルガーの治療教育

第3章 学童期
Q39#「出来た」にこだわり、「出来ない」とパニック
Q40#こだわりが強い
Q41#友だちとのトラブル――鬼ごっこ
Q42#自閉スペクトラム症の子どもはいじめられやすい?
Q43#友達に興味がない
Q44#友だちとのトラブル――「規則違反」が許せない
Q45#授業中のひとりごと
Q46#ADHDの子どもと宿題
Q47#通常学級へ戻るとき
Q48#兄弟姉妹のきもち
Q49#立ち歩き
Q50#祖父母が気をつけることは?
Q51#忘れ物のオンパレード
Q52#忘れ物を少なくする方法は?
Q53#ADHDの子どもと片付け
Q54#ゲームとうまく付き合う方法は?
Q55#動画とうまく付き合う方法は?
Q56#友だちとのトラブル――しぶしぶサッカーに付き合ってくれる友だち
Q57#ADHDの薬物療法は?
Q58#習い事
Q59#知的障害(知的発達症)とインクルーシブ教育
Q60#知的障害(知的発達症)と中学進学
Q61#学習障害と音読
Q62#書字障害
Q63#学習障害と診断されて二年
Q64#場面緘黙は過保護だから?
Q65#場面緘黙の重症度?
Q66#場面緘黙の子にしてはいけないこと
Q67#場面緘黙の子への支援
Q68#学校のトイレが使えない
Q69#他の子どもへの説明
Q70#医療機関との関わり方
[コラム4]インクルーシブ教育について
[コラム5]オンラインゲームと従来のテレビゲームって何が違うの?

第4章 思春期・青年期
Q71#自閉スペクトラム症とLINE
Q72#自閉スペクトラム症と恋愛
Q73#自閉スペクトラム症といじめ
Q74#自閉スペクトラム症と高校進学
Q75#知的障害(知的発達症)と自傷
Q76#行動障害と薬物治療
Q77#オンラインゲーム
Q78#テスト勉強と睡眠
Q79#インターネット
Q80#自閉スペクトラム症の二次障害とは?
Q81#ADHDの二次障害とは?
Q82#自閉スペクトラム症と職業
Q83#就職活動
Q84#場面緘黙の経過
Q85#性教育のテキスト
Q86#保健室登校
Q87#てんかんと自閉スペクトラム症
Q88#境界知能と学習
[コラム6]思春期と青年期
[コラム7]発達障害と不登校と犯罪
[コラム8]発達障害とゲーム障害、インターネット依存

第5章 成人期
Q89#自閉スペクトラム症の大人
Q90#発達障害と運転免許
Q91#会社での人間関係
Q92#自閉スペクトラム症の自己判断?
Q93#コミュニケーションが苦手な部下
Q94#片づけが出来ない
Q95#ADHDは改善する?
Q96#診断名を隠したがる同僚
Q97#こだわりの強い社員
Q98#余暇の過ごし方
Q99#仕事で忘れ物が多い
[コラム9]自閉スペクトラム症を有する人の自伝

【補論】発達障害を有する子どもへのサポート
●「障害」「障碍」「障がい」
●発達障害の歴史的起源は?
●発達障害とは何でしょうか?
●発達障害支援の原則は?
●自閉スペクトラム症の診断とは?
●自閉スペクトラム症の起源は?
●自閉スペクトラム症のサポート(1):「人を変えることはできない」
●自閉スペクトラム症のサポート(2):ドナ・ウィリアムズ
●注意欠如・多動症の目印は?
●注意欠如・多動症の起源は?
●注意欠如・多動症のサポート
●子どもの状況を把握するための手立て
●サポートの際に注意すること
●発達障害を有する子どもへの理解を周囲に広めるためには

あとがき

著者略歴

著:関 正樹
1977年生まれ。児童精神科医。福井医科大学医学部卒。 
岐阜大学医学部附属病院、土岐市立総合病院精神科を経て、現在は大湫病院に勤務。
岐阜県東濃地方の地域の児童精神科医として、発達障害や不登校の診療にあたるとともに地域における発達障害の啓発活動や地域の療育施設の座談会などに出席し、家族支援を行っている。
著作に、「ゲーム×病気・障害」『おそいはやいひくいたかい107号 特集 ゲームのやりすぎを心配するとき』(分担執筆、ジャパンマシニスト社)
著:高岡 健
1953年生まれ。精神科医。岐阜大学医学部卒。岐阜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター。日本児童青年精神医学会理事。雑誌「精神医療」(発行批評社)編集委員をつとめる。
著書に、『別れの精神医学』『新しいうつ病論』『人格障害論の虚像』『殺し殺されることの彼方』(芹沢俊介氏との共著)『自閉症論の原点』(以上、雲母書房)、『発達障害は少年事件を引き起こさない』『精神鑑定とは何か』(以上、明石書店)、『引きこもりを恐れず』『時代病』(吉本隆明氏との共著)(以上、ウエイツ)、『16歳からの〈こころ〉学』『不登校・ひきこもりを生きる』(以上、青灯社)、『やさしいうつ病論』『続・やさしい発達障害論』(以上、批評社)「いかにして抹殺の〈思想〉は引き寄せられたか」(ヘウレーカ)。
編著書に、『孤立を恐れるな!―もう一つの「一七歳」論』『MHL9学校の崩壊』『MHL11 人格障害のカルテ〈理論編〉』『MHL12 メディアと精神科医』『MHL23 うつ病論』(以上、批評社)、『こころ「真」論』(宮台真司氏との編著)(ウェイツ)ほか。

ISBN:9784826507066
出版社:批評社
判型:4-6
ページ数:252ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年02月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MJ