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精神医療 96号

医療観察法~改めて中身を問う

編:中島 直
編:岡崎 伸郎
編:『精神医療』編集委員会

紙版

内容紹介

 ■医療観察法施行から14年を経た。同法が日本の精神科医療の中で一定の位置を持つようになったことは確かであるが、成立の過程から大きな反対を受け、今なお多くの問題点を有していることも明らかとなっている。
■法の施行を契機として精神科医と法律家、特にこれまで交流がきわめて乏しかった裁判官との対話がなされるようになったが、その協働の内実が種々の場面で問われるようになってきた。そもそもこの制度は、強い批判にあって本邦では実現しなかった「保安処分」とどこが異なるのか? また、本法成立時に「車の両輪」として一般医療の充実も約束されたが、それがどこへいってしまったのかという問題もある。
■相模原事件を契機とした措置入院をめぐる議論は、精神科医療が他害行為の予防に関連してどのような役割を有するのかという論点を改めて問うた。今こそ医療観察法の現状を確認し、法の存続の是非を問いかける。

目次

[巻頭言] やはり、医療観察法は廃止するしかない(中島直)
[座談会] 医療観察法~改めて中身を問う(池原毅和+稲村義輝+中島直+[司会]太田順一郎)
医療観察法と精神保健福祉法の根本問題 刑事手続と治療提供を再考する(吉岡隆一)
医療観察法再考――刑務所敷地内「指定入院医療機関」設置計画に寄せて(伊藤哲寛)
医療観察法をめぐる裁判所の判断(池田直樹)
医療観察法における「社会復帰」の意味について――『本法における医療』継続の担保措置としての『本法における医療』」の継続的提供状態としての「社会復帰」(樋澤吉彦)
協力医活動から見た医療観察制度の問題(大久保圭策)
医療観察法と人権をめぐる現場から(有我譲慶)
[コラム+連載+書評]
[視点57] 再び個別精神科病院の情報公開を!――630調査変更後の状況(木村朋子)
[連載 異域の花咲くほとりに12] 積み残した問題、姉歯先生の思い出そして異域の花(菊池孝)
[連載8] 精神現象論の展開(8)(森山公夫)
[コラム]入院依頼を通じて感じる地域支援の質(新井山克徳)
[書評]『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』佐藤光展著[講談社刊](氏家靖浩)
[紹介]『急性期治療を再考する』統合失調症のひろば編集部編[日本評論社刊](高木俊介)
[特別集中連載4] 袴田巌さんの主治医になって 最終回(中島直)
[編集後記](岡崎伸郎)

ISBN:9784826507059
出版社:批評社
判型:B5
ページ数:120ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月10日