出版社を探す

ひつじ研究叢書(言語編) 178

日本語における短縮外来語の形成とその仕組み

著:文 昶允

紙版

内容紹介

本書は、複合外来語を元にする短縮語形成(例えば「デジタル・カメラ」が「デジカメ」となる現象)の仕組みについて扱うものである。先行研究では、専ら理論的な分析がなされている一方で、その説明に実証的な裏付けは与えられていない。本書では、データベースの分析及び実験により、短縮語形成を制御する要因を明らかにする。具体的には、音韻的要因(音節構造や同音連続)に加え、言語使用者の選好傾向が影響していることを主張する。

目次

第1章 序章
1. 短縮現象の観察
2. 本書の目的と意義
3. 本書の構成および各章の概要

第2章 言語研究における短縮語研究の位置づけ
1. はじめに
2. 韻律形態現象と言語研究
3. 日本語における韻律形態現象
4. 本書の課題

第3章 第一要素に長音を含む複合外来語と短縮型
1. はじめに
2. 複合語由来の短縮語データベースについて
3. 第一要素に長音を含む複合外来語
3.1 複合外来語と短縮型
3.2 特殊モーラの種類と短縮型
3.3 特殊モーラの出現位置と短縮型
4. 短縮現象における2つのルール
5. おわりに

第4章 短縮型の決定に影響する音節構造
1. はじめに
2. 音韻論的観点から見た短縮現象
3. 複合語由来の短縮語データベースの分析
4. 仮想短縮語実験
5. シャーペン型の指向性に影響する要因
6. 第一要素の初頭2 音節による影響
7. おわりに

第5章 短縮型の決定に影響するOCP
1. はじめに
2. OCP と日本語の音韻現象
3. 複合語由来の短縮語データベースの分析
4. 外来語における有標性とOCP
5. 子音の調音位置と有声性に関するOCP
6. おわりに

第6章 短縮語の形成方法に観察される世代差
1. はじめに
2. 若者言葉としての短縮語
3. 複合語由来の短縮語データベースの分析
4. 仮想短縮語実験
5. 短縮語形の選好傾向に見られる世代差
6. 短縮語形成の世代差に見られる言語動態
7. おわりに

第7章 終章


参考文献
付録
あとがき
索引

著者略歴

著:文 昶允
筑波大学人文社会系助教。
主な論文に、「短縮語の形成方略に観察される世代差について―第一要素の2モーラ目に長音を含む短縮外来語とその選好傾向―」『日本語の研究』第13巻3号(2017年)、The Influence of OCP-place on word truncation: A study of modern Japanese abbreviation of compound loanword nouns with long vowels(Japanese/Korean Linguistics 25、2018)などがある。

ISBN:9784823410611
出版社:ひつじ書房
判型:A5
ページ数:164ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年02月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CJBG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:CFG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:2GJ