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決断できる日本へ

3・11後の政治経済学

著:中尾 茂夫

紙版

内容紹介

問題は、3・11にあるのではない。3・11という未曾有の災害に見舞われながらも、それに対処できない日本という国の仕組みや、そうしたシステムを支えるわれわれ日本人のメンタリティ(「変われない日本」「決断できない日本」という掛け声にも通じる)にあるのではないか。本書では、2011年3月11日の東日本大震災以降、激動する日本を体感しつつ、著者の世界観や歴史観を書き下ろす。

目次

はじめに

第1章 3・11後の日本
   第1節 津波と原発の衝撃
     1 被災と避難
     2 3・11論
   第2節 〈原子力ムラ〉の政治経済学
     1 「大本営発表」の内幕
     2 分かれる評価
     3 現場と報道の温度差
     4 鳴らされていた警鐘
     5 〈原子力ムラ〉の構造
     6 東京電力とは何か
     7 犠牲は弱者

第2章 近代日本の内幕
   第1節 戦後とは何か
     1 歴史観の見直し
     2 チャルマーズ・ジョンソンの遺言
     3 メンタリティは続く
   第2節 官僚とは何か
     1 官僚という名の「お上」
     2 戦後官僚制の出自
     3 官僚の果たした役割
   第3節 日本の会社
     1 日本的雇用とは何か
     2 日本人の会社観
     3 M&Aはポピュラーに
     4 会社員の意識はどこへ
   第4節 日本という「和」の社会
     1 林芙美子論
     2 思考の系譜

第3章 マネーと権力
   第1節 東京というヒエラルヒー
     1 東京集中の歴史
     2 東京の階級都市化
     3 「総中流社会」の崩壊
     4 地方の疲弊
   第2節 マネーの内幕
     1 日本的金融とは何か
     2 未熟な流通市場
     3 情報戦の最前線
     4 アメリカのマネーパワーの変容
     5 アメリカ後の時代
   第3節 近代的価値とは何か
     1 近代の開始
     2 日本的近世と近代
     3 ガヴァナンス能力を失った戦時期
     4 100年(1911〜2011年)の回顧
     5 日本的近代をいかに認識するか

第4章 政治経済学的風土論
   第1節 風土と権力
     1 風土の考え方
     2 垣間見える日本的風土
     3 アイデンティティを決めるもの
     4 風土はハイブリッド
   第2節 日本の都市風土
     1 東京とは何か
       ① 首都という顔
       ② 品川高輪の風景
       ③ もうひとつの品川
     2 大阪とは何か
       ① 大阪論の意義
       ② 2つの大阪論
       ③ 大阪の民パワー
       ④ 釜ヶ崎の残照
     3 長崎とは何か
       ① 坂の街/長崎
       ② 長崎の「異国情緒」

結びにかえて

著者略歴

著:中尾 茂夫
1954年、長崎市生まれ。明治学院大学教授。経済学博士。京都大学大学院経済学研究科修了後、大阪市立大学経済研究所教授などをへて、2003年より現職。シカゴ、トロント、ロンドン、ロサンゼルス等の欧米や、上海、バンコク、北京、マカオ等のアジアで、講義や研究報告や調査を重ねる。
著書は、『ジャパンマネーの内幕』(岩波書店、1991年、第32回エコノミスト賞)、『ドル帝国の世紀末』(日本経済新聞社、1993年)、『ビッグバン 岐路に立つ日本マネー』(NHK出版、1998年)、『FRB ドルの守護神』(PHP新書、2000年)、『金融グローバリズム』(編著、東京大学出版会、2001年)、『ハイエナ資本主義』(ちくま新書、2002年)、『ニュースがすぐにわかる世界地図』(高野孟氏と共編著、小学館、2004年)、『トライアングル資本主義』(東洋経済新報社、2006年)、『円は沈むのか?』(春秋社、2009年)、『米ドルの内幕』(左右社、2011年)等々。

ISBN:9784822812546
出版社:七つ森書館
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2012年07月
発売日:2012年06月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB