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徹底検証 日本の三大銀行

著:奥村 宏

紙版

内容紹介

三大メガバンク──三菱UFJ・みずほ・三井住友もついに!? 銀行はどうあるべきか。問われているのは「良い銀行」とは何か、である。

目次

はじめに

第1章 三菱UFJフィナンシャルグループ

 1 世界最大銀行の大赤字
   「世界最大の銀行」が生まれた
   五年ぶりの赤字決算
 2 三菱の歴史
   国有企業の払下げで大きくなる
   財閥解体と復活
   陽和不動産株買占め事件
 3 ビジョンなき合併
   東京三菱銀行の誕生
   対等合併という虚構
   「資金量世界一の銀行」
 4 UFJとの統合
   「三菱東京が乗っ取られる」というデマ
   三井住友とのUFJ争奪戦
   三和と東海──合併の繰り返し
 5 三菱UFJ証券
   銀行と証券のあいまいな関係
   銀行による証券支配へ
 6 信託、生保、損保との関係
   信託銀行を傘下に
   迷走する明治生命と東京海上
   サラ金へ触手
 7 解体する企業集団
   六大企業集団の時代は終わった
   三菱グループと三和グループは融合するか
 8 混迷する戦略
   三菱UFJ証券とモルガン・スタンレーの関係
   銀行による証券支配がもたらすもの


第2章 みずほフィナンシャルグループ

 1  「世界最大のメガバンク誕生」
   不吉なスタート
 2 三菱─第一銀行合併の挫折
   「三菱に飲み込まれる」──第一グループの反対
 3 第一=勧銀の合併へ
   「一つ屋根の下の二つの銀行」
 4 安田財閥から富士銀行へ
   芙蓉グループの中核
   山一証券でつまずく
 5 興銀→みずほコーポレート銀行
   存在理由がなくなった興長銀
   〝ツーバンク制〟
 6 合併の相手を間違える
   誰が決めたのか
   興銀は良いパートナーだったのか
 7 芙蓉グループ+第一勧銀グループになるか?
   雑多な企業の集まり
   みずほグループは形成されたか
 8 〝混成チーム〟──みずほ証券
   準大手+銀行系
   銀行による証券支配はうまくいくか?
 9 大きすぎる銀行
   弱さが目立つみずほフィナンシャルグループ
   「規模の不経済」


第3章 三井住友フィナンシャルグループ

 1 政商から財閥へ──三井
   政治家に取り入る
   戦後斜陽化した原因
 2 銅からいもづる式に発展──住友
   三井と対照的
 3 暴走する住友銀行
   「住友神話」──磯田一郎頭取
   「向こう傷を恐れるな」
   イトマン事件で挫折
 4 住友銀行とさくら銀行の合併
   山陽特殊鋼事件と神戸銀行
   「世界第二位の巨大銀行」
   なぜ、さくらと住友なのか?
 5 孤立する住友信託
   二度にわたる合併の失敗
 6 証券戦略
   大和証券との微妙な関係
   日興を買収
   大和と日興を統合できるか
 7 三井と住友の奇妙な関係
   三井の弱さ
   住友の強さ
 8 赤字転落、大幅増資
   〝住友神話〟の亡霊


第4章 問われている銀行のあり方──大きい銀行」(ルビ:グレイト・バンク)から「良い銀行」(ルビ:グッド・バンク)へ

 1 銀行合併──失敗の歴史
   合併という奇術
   合併とは何か?
   持株会社による統合
   日本の〝話し合い合併〟
   合理的判断だったのか
 2 「大きいことは良いこと」か?
   規模の経済と不経済
   大きくなりすぎた銀行
   内部対立
   銀行の社会的責任
 3 銀行と証券の垣根
   証券取引法六五条による分離
   変化する関係
   歴史に逆行
 4 野村証券という会社
   〝ノルマ証券〟
   〝証券スキャンダル〟
   「引受部門を分離せよ」
   転機に立たされた野村証券
 5 銀行国有化とは何か
   国有化=社会主義か?
   日本の公的資金投入
   誰のための低金利政策か?
   誰のための規制緩和か?
 6 りそな銀行のケース
   奇妙な〝国有化〟
 7 銀行による株式所有
   危険な株式所有
   アメリカとの違い
   株式相互持合いという背理
 8 金融持株会社
   持株会社──禁止から解禁へ
   株主が一人の会社が株式会社といえるのか
 9 職業としての銀行員
   西川善文と島村大心
   天職とは何か
   マルクスの職業
   〝貪欲餓鬼道〟
   銀行に就職を希望する学生たち
 10 金融資本主義の末路
   サブプライム恐慌の原因
   「日本は矛盾の先進国」である
   銀行を救済したあとどうするのか
 11 「大きい銀行」から「良い銀行」へ
   「大きい銀行」は「良い銀行」ではない
   大きい銀行を小さくする
   銀行から証券を分離する
   「良い銀行」が求められている
   「良い銀行」とは

著者略歴

著:奥村 宏
1930年生まれ。岡山大学法文学部卒業。産経新聞記者を経て、日本証券経済研究所主任研究員、龍谷大学・中央大学教授を歴任。会社学研究家。商学博士。
著書に『株式会社に社会的責任はあるか』(岩波書店)、『企業買収』(岩波新書)、『会社とはなにか』(岩波ジュニア新書)、『粉飾資本主義』(東洋経済新報社)、『株のからくり』(平凡社新書)、『会社はなぜ事件を繰り返すのか』『会社はどこへ行く』(以上、NTT出版)、『会社事件史』(佐高信との共著)、『会社学入門』『世界金融恐慌─1929年の世界恐慌が再来するのか?』『徹底検証 日本の五大新聞』(以上、七つ森書館)他。

ISBN:9784822809997
出版社:七つ森書館
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2009年10月
発売日:2009年10月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFF