これに増す悲しきことの何かあらん
靖国合祀拒否・大阪判決の射程
著:田中 伸尚
内容紹介
去る3月、9人の原告が提訴した靖国神社合祀取り消し訴訟が棄却されたが、即刻控訴した。全公判を傍聴した編著者が「いのちの底をさらう」を執筆。高橋哲也東大教授との対談、高橋哲也証言、胸に響く原告の陳述書などを収録。
目次
第1章 いのちの底をさらう──田中伸尚
プロローグ「合祀はイヤ」への道
(1)戦争と向き合わなかった司法
(2)欠落、すり替え、黙殺の果て
(3)戦後の国家神道体制への道開く司法
(4)マスメディアは訴訟にどう応接したか
第2章 対論 靖国合祀拒否・大阪判決の射程
靖国神社の特殊性
大阪判決の事実認定と法的対応
靖国神社の「信教の自由」とは
A級戦犯合祀と天皇参拝問題
合祀をめぐる「社会的通念」について
どうして遺族が訴訟に踏み込んだのか
問われるメディアの報道姿勢
「感情の錬金術」が蘇生し得る
映画「靖国神社」と「快傑ハリマオ」
既成事実の積み重ねが、憲法の空洞化につながる
第3章 陳述書
私自身の「尊厳」を取り戻したい──菅原龍憲
「死はいかなる意味でも賛美されてはならない──釋氏政昭
国のための死を名誉だとは思っていなかった父──冨樫行慶
悲しみと傷みと悔しさだけが残る間違った戦争の死──西山誠一
私と兄弟が傷ついた父の痛ましい合祀に終止符を打ちたい──西山俊彦
これに増す悲しきことの何かあらん──古川佳子
父や兄の了解なき合祀は「戦争動員への道」──古野竹則
侵略の兵士・叔父の英霊顕彰に心と身が震えた──吉田文枝
母と子の越えられぬ溝作った無断合祀──松岡 勲
第4章 証言 霊璽簿からの削除は靖国神社で行われるべきである──高橋哲哉
戦死者の弔い方の基礎にある思想
合祀が及ぼす影響と感情の錬金術
山口自衛官合祀拒否訴訟
遺族の意思を無視した〝顕彰〟
無視され続ける遺族の〝祀られない自由〟
戦後も変わらぬ靖国神社の戦争史観
第5章 判決要旨と控訴準備書面
判決要旨
控訴準備書面(総論)──原判決の根本的誤り
資料 主な信教の自由・政教分離訴訟と憲法判断