ビデオカメラで考えよう
映像フィールドワークの発想
著:山中 速人
内容紹介
撮って観るだけではもったいない。いつものホームビデオが見違える撮影のコツや、映画やテレビの真実を読み解くキーワード、映像を使った自己分析の方法などを紹介。もっと新しい自分に出会える、メディアの教材にも最適なビデオカメラ活用ハンドブックです。
目次
考えるための「ビデオカメラ」への招待
第1話 真実はカメラフレームの隅にひそかに滑り込む 考えるためのビデオカメラ論
映像が人間の知覚を変える
リュミエール映画が撮った大衆の姿
ジガ・ヴェルトフとエイゼンシュテイン
ヴェルトフと視覚の同盟
亀井文夫の「戦ふ兵隊」と戦争の真実
フレームの隅に記録された事実
つくり手の意図を超える映像の力
*今日も繰り返されるリュミエール・フィルムの衝撃
第2話 自分を撮る サモアで感じた、自分ってこんな変なヤツだった
時間と空間の制限を受ける人間の思考
「己を知れば百戦危うからず」
サモア体験とセルフビデオ
崩れ去った自己イメージ
想像を超えた村での体験
イントラ・コミュニケーションという対話
セルフビデオの撮影テクニック
映像を見返して分かること
セルフビデオは思考のホワイトバランス
*ビデオ・ジャーナリストに接近するテレビ番組が語りかけること
第3話 広角レンズでだらだらと撮る ビデオカメラを手にもって街と暮らしを覗く
小型ビデオカメラが拓いた世界
タイ中流階層のライフスタイル調査に応用
ビデオテープから紡ぎ出された事実
タイ中流階層の新しいライフスタイル
防振ステディカムという装置
撮影で明らかになった地域の性格
地図と映像のマッチング
映像が明らかにしたコリアタウンの姿
シームレス映像の特性
フッテージフィルムという概念
映像がもたらす思いがけない発見
*イヌイットをめぐる三つの映像が語る過去、現在、未来
第4話 会話をビデオで撮る 人は身体で話をするということ
演出されるテレビインタビュー
カメラの角度で尊敬が決まる
話された会話を記録する映像
ハワイ日系二世たちの生活史調査への活用
日系一世の語りを記録する
とりとめのない語りのインタビュー
ノンバーバル・コミュニケーションの重要性
会話を記録する撮影テクニック
市民がインタビューを映像で記録する利点
R教授の言説データベースの制作
三つの方法で動画を検索
あるテレビディレクターとの論争
思想は相互作用のなかで読み解かれる
サバルタンの声を聴くには
プレゼンの装飾部分を削ぎ落とす
*メディアが先住者を語るということ
第5話 ビデオカメラは小さな試写室 ビルマで映画「ビルマの竪琴」を見せてみた
ビデオカメラの再生機能を使う
映像の解釈はどこから仕入れたのか
撮影対象に直接映像を見せ、意味を問う
映像人類学の方法
ビルマで「ビルマの竪琴」を一般市民に見てもらう
フィールドノートから
*映像メディアは「正統」なるフラを伝承できるか
第6話 映像を読み解く イコン、インデックス、シンボル
イコンを読み解く
インデックスを読み解く
シンボルを読み解く
レッスン コリアタウンの街頭映像を読み解く
当事者と専門家が読み解くコリアタウン
*メディアは伝えない
第7話 表現と思想、その撮影の極意 目的が異なればテクニックも違う
撮影の極意
カメラが存在するだけで対象を圧迫する
光と影の両方に注目せよ
光のコントラストがつくりだすイメージ
思考の道具としての映像は十五秒では足りない
映像表現で重要なのは音声だ
「思考のための構図」は「表現のための構図」の逆に
フィールドワークでのメディア管理の心得
最後に
参考文献
索引
ISBN:9784822809829
。出版社:七つ森書館
。判型:4-6
。ページ数:192ページ
。定価:1700円(本体)
。発行年月日:2009年02月
。発売日:2009年01月26日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。