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原子力政策大綱批判

策定会議の現場から

著:伴 英幸

紙版

内容紹介

2005年10月に日本の原子力政策の基本的考えである「原子力政策大綱」がまとまった。その新計画策定会議の委員に就任して議論に加わった脱原発NGOメンバーの孤軍奮闘記。1年半の審議のなかで対等に渡り合ったわけだが、国策に異議を唱え続けた貴重な記録である。

目次

はじめに──新計画策定委員になって

第1章 原子力委員会の任務
    公平な人選を求める

第2章 「原子力長期計画」から「原子力政策大綱」へ
    改名はなぜ行なわれたか
    閣議決定の必要性
    少数意見を提出

第3章 原子力政策大綱の構成
    基本目標と共通理念
    強調された安全確保の重要性
    少数意見の概要

第4章 三割から四割を原子力発電に依存し続ける
    結論にあわせる条件設定
    将来の予測はあたったためしがない
    二○三○年のエネルギー需給展望
    原発は温暖化防止に役立たない
    放射性廃棄物も二酸化炭素も削減しよう
    老朽原発を苛酷に利用するための危険な諸施策
    欠陥原発の運転を許す維持基準
    高経年化対策の危険性
    見直すたびに下方修正の原子力発電計画

第5章 「夢」の高速増殖炉
    かつても今も「夢」の原子炉
    一周遅れのトップランナー
    机上の空論、二○五○年の実用化
    組織維持のための「実用化戦略調査研究」
    高速増殖炉が有利になる条件とは
    高速増殖炉の時代に燃料プルトニウムが不足する
    プルトニウムの倍増時間
    高速増殖炉か高速炉か
    もんじゅ運転再開の空疎な目的
    「もんじゅ」改良工事で安全は確保できるか

第6章 焦点の核燃料サイクル
    抽出された四つの選択肢
    六ヶ所再処理工場の稼働の是非が焦点
    プルトニウムはプルサーマルで消費
    総合評価とその結果
    安全規制に従うのだから選択肢に大差はない?
    地層処分技術はどちらも未熟
    査察を受けるのだから選択肢に差はない?
    ニューヨークで六ヶ所再処理工場の無期延期を求める
    プルトニウムの多国間管理構想
    「余剰プルトニウム」を持たない国際公約が崩れる
    放射性廃棄物による被ばく評価
    放射性廃棄物に関する新たな提案
    直接処分コスト
    隠していた過去のコスト試算
    技術検討小委員会の設置
    直接処分コスト
    シナリオ間のコスト比較
    スティーブ・フェター氏を招いて
    政策変更コスト
    再処理は既得権
    再処理積立金制度の導入

第7章 斜陽化すすむ原子力産業
    斜陽化すすむ原子力産業
    立地地域との共生
    「国民の信頼」と「国民参画」

あとがき

参考資料
1 新計画策定会議の構成員
2 高経年化対策で惨事の危険性が増す
  ──原子力資料情報室 山口 幸夫
3 高速増殖炉原型炉「もんじゅ」事故
4 要請書と署名
5 経済産業省虚偽答弁と隠匿された報告書の内容の問題点
  ──社会民主党党首 福島 みずほ

著者略歴

著:伴 英幸
伴 英幸(ばん・ひでゆき)
原子力資料情報室共同代表
1951年 三重県生まれ
1975年 早稲田大学卒業。生活協同組合専従を経て、
1989年 脱原発法制定運動の事務局スタッフ
1990年 原子力資料情報室スタッフとなる
1995年  同 事務局長
1998年  同 共同代表
共著書 『原子力市民年鑑』(七つ森書館)『JCO臨界事故と日本の原子力行政』
    (七つ森書館)『検証 東電トラブル隠し』(岩波ブックレット)ほか、
    原子力資料情報室パンフレットに執筆。

ISBN:9784822806187
出版社:七つ森書館
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2006年03月
発売日:2006年03月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THK