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10分でできる認知行動療法入門

著:Lee David
訳:竹本 毅

紙版

内容紹介

患者の不安を除いてあげられる医療人になろう!
多忙な外来診療でも10分あればCBTは実践できる。

認知行動療法(CBT)は、患者が抱えている様々な身体や感情の問題を理解し、乗り越えることを支援するための方法です。

本書はプライマリ・ケアの現場で認知行動療法を実践するための入門書です。
抑うつ、不安、不眠などの症状がある患者だけでなく、日常診療のあらゆる場面で応用できる認知行動療法のコツを紹介しています。

患者とのコミュニケーション能力に優れた医師は、正式なトレーニングを受けていなくても、経験的にCBTのスキルを身に付け活用している場合が多いのです。本書を活用すれば、今までよりもっと、不安を抱えた患者の力になることができます。

本書は外来を担当する医師向けに書かれていますが、つらい思いを抱えている患者を理解し支援する技術でもあることから、看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリテーションに関わる全ての医療職種にもお役立ちいただけます。

【主な内容】
 01章 CBT概論
 02章 日常診療でCBTを適用するために
 03章 認知行動モデル
 04章 患者へのCBTアプローチの紹介
 05章 CBTに必要なコミュニケーション技能
 06章 否定的思考への対応
 07章 行動変容;役に立っていない行動を変える
 08章 ゴールの設定と、変化への抵抗の克服
 09章 実際の問題の克服;問題解決アプローチ
 10章 より深層の信念;中核信念と人生ルール
 11章 マインドフルネスと受容
 12章 うつ病
 13章 不眠
 14章 不安症
 15章 不定愁訴ならびに健康不安
 16章 慢性的な身体疾患
 17章 機能性身体症状症
 18章 低い自己評価
 19章 「滅入る」ことへの対応

目次

セクションA:導入

01章 CBT概論
A. CBTとは?
B. なぜプライマリケアでCBTが重要か?
C. CBTへのアクセス
D.「 10分間CBT」とは?
E. CBTの基本原則
  同じ状況に対する異なった見方
学習の要点

02章 日常診療でCBTを適用するために
A. 短時間の外来にCBTを組み込むための実用的側面
B. 患者の選別
  どのような患者では避けるべきか?
C. 時間的制約の管理
  GPとしての行動の内省
D.「 パンドラの箱」を開ける
E. 現実的な態度を保つ
F. 一般外来でのCBTスキルの学習と適用
学習の要点

03章 認知行動モデル
A. 認知行動モデルの概論
B. 思考と認知を理解する
  1. 思考とは何か?
  2. 思考の連鎖
C. 感情と情動
  感情の強さを評価する
D. 思考と感情の関連性
  1. 思考と感情を分けて考える
  2. 思考と感情の結びつき
  3. CBTと前向き思考
E. 行動の役割
行動変容による悪循環の打破
F. 身体的な反応および症状
G. 環境、社会的状況、文化
  1. 幼少期の経験
  2. 社会的および環境的な状況
  3. 人生の出来事
  4. 文化的因子や他の社会因子
H.「 症例定式化」を展開する
学習の要点

04章 患者へのCBTアプローチの紹介
A. 手始めに
B. 認知行動モデル表の使用
文書記録の活用:何を言うべきか
C. 認知行動モデルを介した対話
  1. 思考について話し合う
   ソクラテス式質問法の活用
  2. 感情について話し合う
  3. 行動に目を向ける
  4. 身体症状
  5. 社会・環境因子
D. 聴取したことをまとめる
学習の要点

05章 CBTに必要なコミュニケーション技能
A. CBTにおける効果的なコミュニケーション
  1. CBTにおける治療的な関係性
  2. 協同的な関係の構築
  3.「 何かしなければ」という圧力からの解放
  4. ガイド付き発見を活用した協同関係確立
  5. 共感の表明
B. CBTコミュニケーション技能
C. 問題焦点型アプローチ
  問題焦点型アプローチ:何を言うべきか
D. 鍵となる問題に関する具体例の同定
  具体例の同定:何を言うべきか
E. 認知行動モデルを用いた具体例の探究
F. 情報の要約と、関係性の強調
  関係性の強調
G. 思考切替型の質問
H. 力づける説明
  力づける説明:何を言うべきか
I. 宿題の設定と振り返り
  1. 宿題の設定
  2. 宿題を行う際の障害を克服する
J. 患者からのフィードバックと、患者の理解の確認
学習の要点
セクションB:様々なスキル

06章 否定的思考への対応
A. 思考/認知の変容はどの程度役立つか?
B. 役立たない思考様式
C. 否定的に考えないようにすることの問題点
D. 注意転換
  注意転換の難点
E. 困難な状況に対する視野を広げる
F. 否定的思考の評価
  1. 否定的思考を同定する
  2. 思考の根拠を評価する
  3. 思考記録表を用いる
  4. 思考記録表を用いて、役立たない思考に挑む
  5. 思考記録表をうまく活用できない場合の克服方法
学習の要点

07章 行動変容:役に立っていない行動を変える
A. 行動変容の重要性
B. 行動変容に患者を関与させるには
C. 改善に向けた現実的な予想を設定
D. 行動活性化
E.「 行動実験」の活用
F. 関連性のある行動実験の同定
G. 効果的な行動実験の計画と実行
  1. 問題の同定
  2. 行動変容の計画
  3. 新たな行動の試行と、生じた事象の観察
  4. 振り返りと省察
学習の要点

08章 ゴールの設定と、変化への抵抗の克服
A. ゴールの設定
  1. 変化することに関する価値と個人的利点
  2. 報酬の計画
  3. ゴール到達への自信を高める
  4. 変化への障壁の克服
  5. ゴールに関する振り返り
  6. 挫折への対処
B. ペース調整
  1.「 好況/不況」型の悪循環
  2. ペース調整;好況/不況型の代わりとして
C. 動機づけ面接
  1. 動機づけ面接で鍵となるコミュニケーション技能
  2. 矛盾を生じさせる
  3. 変化の重要性について話し合う
  4. 損益(費用対効果)分析
  5.「 変化の話」への着目と奨励
  6. 自主性を重視する
学習の要点

09章 実際の問題の克服:問題解決アプローチ
A.「 問題解決」とは何か?
B. いつ問題解決アプローチを活用するか?
C. 患者への問題解決法の紹介
D. 問題解決の8ステップ
  1. 問題点リストを作成する
  2. 取り組む問題を1つ選ぶ
  3. 問題を明確に定義づける
  4. 問題に対する解決策を複数考え出す
  5. 解決策を1つ選ぶ
  6. 活動計画を立てる
  7. 計画を実行する
  8. 何が起きたか振り返る
    うまくいかなかった点を振り返る
E. 問題解決サイクル
学習の要点

10章 より深層の信念:中核信念と人生ルール
A. 思考の種別
B. ルールや中核信念はどこから来るのか?
C. 役立たないルールと中核信念
D. ルールや中核信念の「自己実現」
E. なぜGPが中核信念やルールについて知る必要があるのか?
  感情面における安全性の維持
F. 中核信念やルールの同定
G. 役立たないルールを変える
  役立たないルールを克服するための行動実験の活用
H. 中核信念を変える
学習の要点

11章 マインドフルネスと受容
A. マインドフルネスとは?
B. マインドフルネスへのアプローチ
C. Acceptance & Commitment Therapy(ACT)
  経験の回避
D. マインドフルネスの涵養
  1. 今この瞬間との接触
  2. 受容
  3. 認知的脱融合
  4. 自己観察者としての発見
  E. 価値観に基づいた生活を送るための、同意・選択と行動
  F. その他のマインドフルネス練習法
学習の要点
セクションC:臨床への応用

12章 うつ病
A. うつ病の概要
B. うつ病に対するCBT
  プライマリケアにおける、うつ病への複合的アプローチ
C. うつ病を理解する
  1. うつ病に典型的な思考と思考様式
  2. うつ病における感情と情動
  3. うつ病における生物学的因子と身体症状
  4. うつ病における行動の変化
  5. うつ病における環境因子や社会因子の役割
D. うつ病における悪循環
E. うつ病患者への10分間CBTの活用
    うつ病における「力づけるような」説明
F. うつ病における行動変容
  1. うつ病における行動活性化
  2. 身体を動かす
G. うつ病の否定的思考への対処
  1. 注意転換
  2. 否定的思考の探究と再構成
  3. マインドフルネス
学習の要点

13章 不眠
A. 不眠とは?
  1. 正常睡眠のステージは?
  2. 実際にはどの程度の睡眠が必要なのか?
B. 不眠の原因
  1. 背景因子、人生上の出来事、物理的環境
  2. 身体的問題、薬物
  3. 思考および思考様式
  4. 感情、情動
  5. 役立たない行動
C. 不眠への対応
  1. 睡眠衛生
  2. 良好な睡眠環境をつくる
D. 睡眠日記の活用
  睡眠効率を改善するための睡眠日記の活用
E. 不安な思考への対応
  1. 寝ようとするのをやめる
  2. 不安事をひとまず脇へ置く
  3. 役立たない思考を評価する
F. 問題解決
G. 瞑想とリラクセーション
学習の要点

14章 不安症
A. パニック症
  1. パニックにおける思考と認知的因子
  2. パニック症における感情
  3. パニック症における身体症状
  4. パニック症における行動の役割
  5. パニック発作の引き金
  6. パニック症における悪循環
  7. パニック症における力づける説明の提供
  8. パニック発作に対処するための認知的方略
  9. パニック症における行動変容
  10. パニック軽減のための身体的方略
B. 全般不安症
  1. 全般不安症の典型的特徴
  2. 全般不安症に対するCBTアプローチ
C. 社交不安症
  1. 社交不安症の典型的特徴
  2. 社交不安症に対するCBTアプローチ
D. 強迫症
  強迫症のためのCBT介入
学習の要点

15章 不定愁訴ならびに健康不安
A. 概論
  1. 不定愁訴
  2. プライマリケアにおける不定愁訴および健康不安
  3. 不定愁訴や健康不安に対するCBT
B. 健康不安を理解するためのCBTアプローチ
  1. 背景/環境因子
  2. 健康に関する役立たない中核信念やルールの形成
  3. 健康不安における思考
  4. 感情・情動
  5. 身体症状・反応
  6. 行動の役割
C. 不定愁訴や健康不安への対応
  不定愁訴に対するCBTアプローチのためのステップ
  1. 患者と信頼関係を築く
  2. 患者の診療録を振り返り、要約する
  3. 長めの「特別面接」を行う
  4. 鍵となる症状について、患者を力づける説明を行う
  5. 検討事項の幅を広げる
  6. 次の段階について相談する
  7. 患者の理解を確認する
D. 不定愁訴に取り組むためのCBT方略
  1. 健康不安に対する行動的方略
  2. 健康不安に対する認知的方略
学習の要点

16章 慢性的な身体疾患
A. 慢性疾患の心理的影響
  慢性疾患への順応における健康信念の役割
B. 身体疾患や機能障害を抱える人への10分間CBTの活用
  身体疾患に対する心理学的アプローチの受容性
C. 身体と感情の複雑な問題を扱う
  問題点リストを書く
D. 不確実性への対処
  不確実性へ対処するための方略
E. 外見の変化
F. 不快な身体症状への対処
  呼吸器系の病態における息切れ
学習の要点

17章 機能性身体症状症
A. 慢性痛
  1. 慢性痛とは?
  2. 慢性痛をきたしやすい人とは?
  3. 慢性痛の発症
  4. 慢性痛の認知行動モデル
  5. 慢性痛における悪循環
  6. 慢性痛の管理
B. 慢性疲労症候群
  1. 慢性疲労症候群の認知行動モデル
  2. 慢性疲労症候群の管理
C. 過敏性腸症候群
  1. 過敏性腸症候群の認知行動モデル
  2. 過敏性腸症候群の管理
学習の要点

18章 低い自己評価
A. 自己評価が低いとは?
B. 自己評価の低さに関する認知行動モデル
  1. 自己評価が低い場合の思考・信念
  2. 感情
  3. 行動
  4. 身体症状
  5. 環境・社会因子
C. 低い自己評価の形成
D. 自己評価の低さを克服する
  1.「自分いじめ」を発見する
  2. 理性的な心
  3. 思いやる心
E. 否定的思考と自己批判に反論する
  1. 思考記録表の活用
  2. 個人的資質を同定する
  3. いいこと日記
F. 自己評価が低い場合の、役立たない行動を変える
  1. 活動度を高める
  2. 行動実験
G. 自己主張の方法を身につける
  1. 自己主張する際の発言や要求の内容を構成する
  2.「ノー」と言うことを学ぶ
  3. 批判に取り組む
学習の要点

19章 「滅入る」ことへの対応
A.「滅入る」とは?
B. どんな人が「滅入る」のか?
C. 滅入る反応に対して責任を持つ
D. 滅入る場合の、認知行動モデルによるアプローチ
  1. 滅入る反応に付随する感情
  2. 思考
  3. 行動
  4. 身体症状
  5. 環境因子
E. 滅入る反応に変化を起こす
  1. 思考の評価と、役立たない思考の再構成
  2. 役に立つ思考と態度
  3.「 中々良い」状態でいること
  4. より広い視野で捉える:滅入ることを大局的に把握する
  5. 不確実性へ対処する
F. 滅入る場合の行動変容
G. 認知行動モデルを教育・訓練・指導に活用する
学習の要点

引用文献と推奨文献
医療従事者向けトレーニング
付録:印刷用ワークシート
訳者あとがき
索引

ISBN:9784822200770
出版社:日経BP
判型:B5
ページ数:332ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2016年06月
発売日:2016年06月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM