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パウロ書簡にこだまする聖典の声

パウロは「旧約」聖書をどう読んだか

著:リチャード・B・ヘイズ
訳:東 よしみ

紙版

内容紹介

パウロ書簡における「旧約」引用は読者を戸惑わせる。なぜこの箇所が、このような文脈で引用されているのだろうか? 本書は間テクスト性の観点から「旧約」とパウロ書簡の間に生まれる響きに耳をすませ、パウロに内在する論理を明らかにする。

【目次】
第1章 パウロによる解釈法の難題
第2章 ローマ書における間テクスト的な反響
第3章 約束の子どもたち
第4章 キリストからの手紙
第5章 「言葉はあなたの近くにある」──終末論的共同体における解釈法

目次

まえがき

第1章 パウロによる解釈法の難題
 聖典の読者かつ誤読者であるパウロ
 パウロによる解釈法への諸々の批判的なアプローチ
 パウロによる聖典解釈:議論の現状
 ミドラシュとしてのパウロによる釈義?
 間テクスト性:提案するアプローチ
 フィリピ書1:19における間テクスト的な反響
 解釈学的な考察と制約
 反響の場:5つのオプション
 反響を聞く:7つの評価基準
 防御柵を越えて

第2章 ローマ書における間テクスト的な反響
 予示された義と怒り(ローマ書1–2章)
 神の義の啓示
 裁き、苦難、苦悩
 異邦人の中で汚されている
 神の義の証人としての律法と預言者(ローマ書3–4章)
 「すべての人が間違っているとしても神は真実であるとせよ」(ロマ3:4)
 律法と預言者に立証されて
 ユダヤ人と異邦人の父であるアブラハム
 屠られる羊(ロマ8:18–39)
 神の言葉は倒れたのか(ローマ書9–11章)
 「イサクのうちにあなたの子孫が呼び出される」(ロマ9:7b)
 神は御自分の民を退けたのか(ロマ11:1; サム上12:22; 詩94:14)
 異邦人よ、主の民と共に喜べ(ロマ15:10; 申32:43)
 「信仰に依拠する義は語る」(ロマ10:5–10)
 議論におけるロマ9:30–10:21の位置づけ
 律法のテロス(ロマ10:4)
 「あなたの口、あなたの心に」(ロマ10:8)
 隠喩としての言葉

第3章 約束の子どもたち
 教会中心的な解釈法
 荒野におけるイスラエル(Ⅱコリ8:8–15; Ⅰコリ10:1–22)
 わずかしか集めなかった者も不足することはなかった(Ⅱコリ8:15; 出16:18)
 私たちは主にねたみを起こさせるのか(Ⅰコリ10:22)
 イスラエル/教会の予型論(Ⅰコリ10:1–22)
 これらのことは予型として起こった(Ⅰコリ10:6)
 かの人々の物語は我らを叙述し、我らを規定する
 聖典が異邦人の祝福をあらかじめ示す(ガラ3:6–9, 4:21–31)
 聖典は福音をアブラハムに予告した(ガラ3:8)
 アブラハムには2人の息子があった(ガラ4:22)
 多くの者は捨てられた女の子どもたちである(イザ54:1; ガラ4:27)

第4章 キリストからの手紙
 新しい契約の解釈法?
 Ⅱコリ3:1–4:6―1つの読み
 肉的な心の板
 覆いをかけられた栄光
 覆いを取り除くこと
 変容されたテクスト

第5章 「言葉はあなたの近くにある」──終末論的共同体における解釈法
 パウロによる聖典の読み
 主の霊があるところには、自由がある
 「ならば私たちは律法を無効にするのか」──改変と連続性
 パウロにおける解釈学的な方法と制約
 語りかけの言葉としての聖典
 時の転換点における解釈法
 結論──間テクスト的反響の諸戦略
 解釈学的モデルとしてのパウロの手紙



用語・人名解説

訳者解説

著者略歴

著:リチャード・B・ヘイズ
デューク大学教授。イェール大学で英文学を修める。同大学神学部修士課程(M. Div.)、エモリー大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。2010−2015年にデューク大学神学部長を務める
訳:東 よしみ
関西学院大学准教授。国際基督教大学卒業、東京大学大学院修士課程修了、エモリー大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。

ISBN:9784818411265
出版社:日本キリスト教団出版局
判型:A5
ページ数:368ページ
定価:6200円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRMF