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古人骨を測る

著:日下 宗一郎

紙版

内容紹介

遺跡から考古遺物とともに発掘される古人骨。その骨や歯に含まれる元素の安定同位体を分析することによって,当時の人々が食べていた物や,生まれ育った場所を調べることができる。本書では,縄文時代に生きた人々の食性や移動を,個人の性別や抜歯風習,年代と照らし合わせることにより,縄文時代の社会組織の解明に迫る。

目次

口  絵
はじめに
図表一覧

序章 縄文時代を解き明かす――考古学からの研究史
1. 縄文時代とは
2. 縄文時代人の食性
3. 縄文時代人の集団間移動
4. 儀礼的抜歯とは
5. 縄文社会に迫る
6. 研究の目的

第 1章 古人骨に地球化学的手法を組み合わせる
1. 二つの原則
2. 炭素・窒素同位体比を測る
3. ストロンチウム同位体比を測る

第 2章 縄文時代人の食性を復元する
1. 古人骨を選ぶ
2. 性別と死亡年齢の推定
3. 炭素・窒素同位体分析の方法
4. 炭素・窒素同位体比から分かること

第 3章 食性の新たな側面に光りを照らす
1. 歯のエナメル質の炭素同位体比を測る
2. 歯のエナメル質はエネルギー源の記録
3. 混合モデルによる食物摂取割合の復元

第 4章 縄文時代人の集団間移動を復元する
1. ストロンチウム同位体分析のための溶解度プロファイル
2. 縄文人骨のSr同位体分析
3. 大田人骨の分析結果
4. 津雲人骨のSr同位体比の測定結果
5. 吉胡人骨のSr同位体比の結果
6. 稲荷山人骨の分析結果
7. 稲荷山人骨の結果についての考察

第 5章 時を調べる
1. 放射性炭素年代測定とは
2. 古人骨の年代を測る

第 6章 縄文社会を解き明かす――同位体分析による帰結
1. 食性の変異
2. 食性の性別による違い
3. エネルギー源が示すもの
5. 抜歯系列と集団間の移動
6. 食性分化と抜歯風習

附表A 縄文人骨の炭素・窒素同位体比
附表B 歯のエナメル質の炭素同位体比
附表C 縄文時代と現代の資料のSr同位体比

あとがき
初出一覧
謝  辞
引用文献
索  引

コラム
1 デルタ表記について
2 江戸時代人の食性
3 現代人の食性
4 古人類の食性
5 カンティス遺跡の古環境解析
6 歯冠計測値とSr同位体比

著者略歴

著:日下 宗一郎
1982年 岡山県生まれ.
ふじのくに地球環境史ミュージアム・学芸課・准教授.
京都大学理学部,京都大学大学院理学研究科,日本学術振興会特別研究員(DC1・PD), 総合地球環境学研究所プロジェクト研究員,龍谷大学非常勤講師等を経て,現職.
理学博士. 専門は自然人類学・同位体人類学.
平成21年度Anthropological Science 論文奨励賞(日本人類学会).

主な著書に,『生き物たちのつづれ織り[上]』(共著,京都大学学術出版会),『環境史をとらえる技法 (シリーズ日本列島の三万五千年―人と自然の環境史)』(共著,文一総合出版)がある.

ISBN:9784814001323
出版社:京都大学学術出版会
判型:A5
ページ数:260ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2018年01月
発売日:2018年01月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSX