学術選書 077
集成材
〈木を超えた木〉開発の建築史
著:小松 孝平
内容紹介
集成材は、天然の木材を原料としながらも、天然の木材以上の安定した力学的性能を有する優れた材料であり、いまや木造建築に欠かせない存在として注目を集めている。しかしそれが誕生し、現代のような高い信頼性を獲得するまでには様々な人々の工夫と試行錯誤の歴史があった。16世紀のヨーロッパで発明された積層アーチ屋根を出発点に、現代的集成材の誕生から最近の大規模建築物への応用まで、紆余曲折の道筋を描く。
目次
第Ⅰ章 木造建築と集成材
1 日本の木造建築と適材適所な木材の利用
2 集成材とは:構造と特性
3 集成材の製造
第Ⅱ章 縦使い厚板構法の誕生
1 デロームの大発明:円弧状縦使い厚板による屋根構造
2 ヨーロッパでのその後の発展
第Ⅲ章 水平積層アーチの誕生
1 橋梁分野における機械的積層アーチ構造の発展
2 エミー大佐による水平積層アーチ屋根構造の提案
第Ⅳ章 現代的集成材の幕開けとその発展
1 ヘッツアーによる接着積層集成材の発明
2 ヘッツアー型集成材の発展
3 現存するヘッツアー型集成材建築物について
第Ⅴ章 ヨーロッパから海を渡った集成材
1 アメリカ合衆国に伝わった集成材
2 日本における集成材の始まり
3 アメリカの強み
第Ⅵ章 世界最初の集成材建築にまつわる二つの謎
1 バーゼルで建てられた音楽堂
2 現存最古の集成材建築:英国サザンプトンの結婚式場の謎
第Ⅶ章 日本おける集成材構造建築物の発展
1 初期から最盛期までの一般的な状況
2 通直集成材を用いた集成材ラーメン構造の開発
第Ⅷ章 最近の集成材構造物
1 実大火災実験に供試された学校校舎
2 ノルウェーの木橋
3 大きくて美しい集成材建築物
おわりに
引用・参考文献
索引