世紀末オーストリア1867~1918
よみがえる思想のパノラマ
著:アルベルト・フックス
訳:青山 孝德
内容紹介
ウィーンを中心として史上まれにみる文化の爛熟を示した19世紀末オーストリア。その社会ではどんな生き様や思想が交錯したのか。当時の知的交流の世界を活写する、パノラマ思想史。当時ブルジョワの家に生まれ、爛熟した文化の世界に生きたアルベルト・フックスの自伝とともに、内側からみた世紀末オーストリアの文化的息づかいが蘇る。
目次
序文 フリードリヒ・ヘール
■第Ⅰ部 自伝 アルベルト・フックス
ウィーンのブルジョア家庭/一九一〇年/変転/現実の世界
■第Ⅱ部 オーストリアにおける精神の諸潮流 一八六七~一九一八
1 自由主義
(自由主義政党とそのイデオロギー/エルンスト・フォン・プレーナー/ハインリッヒ・フリートユング/モーリッツ・ベネディクトと『ノイエ・フライエ・プレッセ』紙/カール・メンガーの限界効用論/ベーム=バヴェルクの企業者利得論/限界効用論批判/自由主義「反対派」/自由主義「反対派」とその代表者たちアルフレート・ベルガー)
2 カトリック主義
(教会と国家/「ホーエンヴァルト党」/カール・フォン・フォーゲルザングとその説/キリスト教社会党の興隆/カール・ルエーガー/ヨーゼフ・シャイヒャー/意図を達成したキリスト教社会党イグナーツ・ザイペル/カトリック文化運動/リヒャルト・フォン・クラ-リク/カトリック文学論争/カトリック改革運動/「ブレナー」グループ)
3 労働運動
(分派闘争/ハインフェルト/ハインフェルトから一九一八年までの社会民主党/ヴィクトール・アードラー/エンゲルベルト・ペルナストルファー/ルード・モーリッツ・ハルトマン/フェルディナント・ハーヌッシュ/オーストロ・マルクス主義者/文化運動)
4 社会改良(急進主義)
(改革論の基本思想/急進主義と自由主義、アナーキズム/急進主義の歴史的重要性/社会政策家/婦人運動/国民教育家/倫理運動/フリードリッヒ・ヨードル/ヨーゼフ・ポパー)
5 ドイツ民族主義
(大ドイツ思想とハープスブルク国家/ドイツ民族主義運動の発展/ゲーオルク・フォン・シェーネラー/ドイツ民族主義グループ/ドイツ民族主義の文化的影響)
6 観念論哲学
(唯物論と観念論/エルンスト・マッハの経験批判論/マッハの二人の弟子、ベールとアードラ/観念論の批判者ふたり、ボルツマンとヨードル/フランツ・ブレンターノとその学説/ブレンターノとその後の観念論哲学/フランツ・ブレンターノ像)
7 精神分析
(ジークムント・フロイトの重要性及び人となり/『精神分析入門講義』/精神分析批判/現代の精神世界におけるフロイトの位置)
8 平和主義
(国際平和運動の発展/平和主義のイデオロギー的基礎/ベルタ・フォン・ズットナーとオーストリアの平和主義/アルフレート・ヘルマン・フリート/ハインリッヒ・ラマシュ/カール・クラウスと世界大戦一九一四~一八)
付録(注 人名索引 文献)