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日本農業 前編

分析と提言

著:梶井功

紙版

内容紹介

本書は、1994年〜2003年の農業情報研究所で次年度の農業・農政展望を報告、講演を行なったものをまとめたもの。農業・農政と展望、2002年の農業・農政と展望、日本農業再生の基本課題、「食管制度改革の方向」提言について、など7編を収録。

目次

第1章 農業・農政を展望する(2003.1.1)1.「消費者に軸足を移す農政」とは?2.「生産者優先、消費者軽視の農政」だという認識が問題3.「生産費・所得補償方式」の米価を考える4.最劣等地で労賃の評価替えしたら高米価のはず5.「生産者優先」はあり得なかった6.WTO農業交渉で主張している方針を貫くこと7.工業優先、農業軽視の方向に動きだした中国8.「米政策再構築の基本方向」は対外的主張と大きなギャップ9.「効率的かつ安定的な経営体」は矛盾した概念10.大型の経営体がふえる展望は暗い12.NIRA提言の妄説13.理解できない株式会社の農業参入論14.食料の安定供給の保障はどこへ行ったのか第2章 2002年の農業・農政の課題(2002.1.1)—充実した価格・所得政策の再構築が急務1.アメリカ、2001年農業法案の波紋2.稲作経営安定対策(経営所得安定対策)の行方3.基準価格を変えるというが4.豊作への対処は、「生産者団体の調整保管」で5.備蓄米が価格形成に影響6.生産調整をネガからポジに変えること7.自給力強化の観点からみた生産調整政策8.高単収別、府県別米生産量累積曲線が意味するもの9.基準価格設定する場合の政策判断10.価格政策と構造政策11.効率的・安定的とされる5ha以上層の耕作農地は12%12.不安定な5ha以上層の農家13.規模拡大、経営上昇意欲の喚起に必要な価格条件14.借地代が兼業零細農の所得を上回る条件15.「多様な担い手」をどう活かすか16.耕地分散を回避する地域集団としての取組み17.飼料米を本格的に位置づけること第3章 21世紀を迎えて日本農業・農村を展望する(2001.1.1)—老齢化・耕地減など「暗」の要因への対処1.さらに進む農業就業人口老齢化2.耕地の減少、耕作放棄、不作付地の増大3.都府県の5ha以上層が増加4.東日本で大経営がふえる5.心もとない「自給率の向上」6.カロリーの算出基礎に問題7.「耕地減、人口増、農業就業人口減」の展望ではおぼつかない8.WTO交渉—「基本計画」実現にはWTO協定の改定が不可欠9.不可解な中国のアメリカヘの譲歩10.ミニマム・アクセス米の問題点11.農地法の改正・株式会社への門戸開放12.認定農家に限定しての所得政策とは?第4章 2000年の農政展望(2000.1.1)—新農基法が、未来への架け橋になるか1.日本農業再建は可能か2.「食料需給の見通し」での「新農政」の警鐘3.農水産省の機構改革に注目4.苦労した浜頓別・池田牧場5.酪農には、牛・草・土の総合化が必要6.持続型農業の確立には時間がかかる7.大経営では単収が落ちる持続型農業8.エサ米と麦・大豆の本作化を評価9.米、麦、大豆などの所得バランスが鍵10.集落営農が前提11.集落営農の確立と農政12.不足払い政策とWTOへの政府の態度第5章 食料・農業・農村基本問題調査会の「中間取りまとめ」について(1998.3.1)1.「はじめに」を読んで——甘い事態認識2.農業の役割の基本的視点は評価できるが3.食料の安定供給には、平常時と異常時とを区別すべき4.高齢化社会の食料需給への影響を5.「生命科学の進歩」を「経済の動向」に取り上げた意図は?6.国際収支の展望も、もっと深刻なはず7.農法の転換が求められていること8.「消費者・国民のニーズ」についての判断9.個別経営より地域での営農組織の強化を10.農用地拡大、環境問題=現状維持もむずかしい11.問われる「国内生産と輸入の組み合わせの中身」12.「国民の選択」より「政策の選択」が大きい13.国際協調を言うのならアメリカの輸出管理法こそ問題14.担い手の確保には「生活条件をつくること」15.食品産業の発展を手放しで評価してよいか16.個別経営育成、営農組織強化を重視する17.法人化には「一戸一法人の中身の充実」こそ必要18.農地は「公共性の高い財」という認識の欠如19.おかしい価格政策の認識20.回転備蓄は市場圧迫の要因21.内外価格差の縮小はできない22.中山間地対策は峡谷型山村に焦点を第6章 日本農業再生の基本課題(1997.1.1)1.いささかお粗末・「基本法研究会」の報告2.資本の要請は「農業労働力動員」3.総兼業化は、労働市場のあり方4.地価問題の対応策がなかった5.農地法をテコに土地利用を規制すべきだった6.旧地主への補償問題で対応遅れた農地行政7.総生産拡大に消極的な研究会報告8.混牧林活用のための利用権設定を9.基礎的食料自給率アップ政策を10.米価政策=所得政策は間違い、歪められた地代の算定11.統制小作料なしでもおかしくした地代算定12.農政の基本目標は食料の安定供給に13.ウルグアイ・ラウンドで出した食料安保のステートメント14.高能率・高生産よりも持続型農業への転換を15.企業型経営より、家族型経営を16.自立経営とは質的に違う「経営体」概念17.集落営農組織でバックアップ18.基礎的食料の自給目標を確立する19.経済白書が米増産を強調したとき20.WTOへの対応の明示を21.農産物の輸入自由化政策への批判を第7章 「食管制度改革の方向」提言について(1994.9.1)1.形骸化した食管法に対する不信2.細部は具体化の過程で検討3.ウルグアイ・ラウンド合意の特別措置後の対策4.特別措置の継続より関税化移行を5.高関税を消費者が容認するか6.250万トンもの自由米が生れるはず7.放置できない価格体系の乱れ8.食生活の中での米のウェイト低下9.平時と非常事態を一本の法律で対処できない10.平時は需給調整を基軸に11.減反は選択制、参加者だけに不足払いを12.詰めるべき問題は多々あるが

著者略歴

著:梶井功
1926年、新潟県生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。東京農工大学前学長、東京農工大学名誉教授。主な著書に『梶井功著作集』全7巻(筑波書房)、『農業基本法制-問題点と改正試論』(編集、家の光協会)、『日本農業のゆくえ』(岩波書店)、『新基本法と日本農業』(家の光協会)、『もう一つの農政論』(農林統計協会)『WTO時代の食料・農業問題』(家の光協会)など多数。

ISBN:9784811902418
出版社:筑波書房
判型:A5
ページ数:200ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2003年09月
発売日:2003年09月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TV
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:NH