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体育の学とはなにか

著:林 洋輔

紙版

内容紹介

哲学者が問う、学問の未来。

「身体教育 Physical Education」としての「体育」を超え、人間の身体活動すべてを射程におさめる総合科学として、進化と成長を続ける体育学。

人文・社会・医科学におよぶその全16分野を眺望し、目指すべき未来を探る。

日本体育・スポーツ・健康学会(旧:日本体育学会) 学会賞 受賞論文をもとにした書き下ろし大著。


[序章より]
体育学の研究成果とは常に社会からの期待と吟味そして批判を受けることで、さらに鍛えられた成果を社会へと投げ返す。それゆえ、本書における「体育Taiiku」の実質解明は、体育学の研究成果の向かう先である社会へ今後どのような立ち位置で臨めば良いかについても、基礎となる知見を提供しうるだろう。

[本書で言及されている体育学の16の専門領域]
体育哲学
体育史
スポーツ人類学
体育社会学
体育経営管理
体育科教育学
体育・スポーツ政策
保健
体育心理学
バイオメカニクス
運動生理学
体育方法
アダプテッド・ スポーツ科学
発育発達
測定評価
介護予防・健康づくり

目次

はじめに/凡例

序章 体育学への道

1 総序――体育学とは
 
2 「体育」の実質が問われるまで
 (1)「体育 PE」から「体育 Taiiku」へ
 (2)「体育Taiiku」の意味と社会
 (3)先行史を見て回る

3 探求方法の問題
 (1)体育学概論の起動
 (2)資料の問題
 (3)構成および研究の限界


第1章 体育を生きる人間――体育学人文科学系

1 体育哲学
 (1)体育の原理と体育の哲学
 (2)体育原理と体育哲学の問い方
 (3)体育哲学の有用性?

2 体育史
 (1)広義の体育史へ
 (2)身体の歴史を歩く
 (3)オリンピックと社会

3 スポーツ人類学
 (1)スポーツの再発見
 (2)非-西洋を翔る
 (3)スポーツ人類学の射程


第2章 社会を見すえて――体育学社会科学系

1 体育科教育学
 (1)体育授業を究める
 (2)体育授業の創造
 (3)科学化をめぐる抗争

2 社会と産業、そして保健
 (1)社会への視線
 (2)問題と構想
 (3)社会のなかの身体活動、そしてスポーツ

3 「こころ」の問題
 (1)「こころ」を追って
 (2)競技者の「こころ」を考える
 (3)人間形成から生き方へ


第3章 より完成する方へ――体育学医科学系

1 体育の医科学系研究
 (1)人間を極める
 (2)人間を強化する
 (3)人間をよくする

2 身体とその動き、または健康
 (1)物理的な機構体、そして意識
 (2)自然科学と身体
 (3)健康を追って

3 「体育Taiiku」の未来?――学術会議提言の先に
 (1)さらなる問題群
 (2)「身体への配慮」に向けて
 (3)エビデンスとスポーツの未来


結章 体育学からの道


あとがき/参考文献一覧/人名・事項索引

著者略歴

著:林 洋輔
1982年,島根県生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程体育科学専攻修了。博士(体育科学)。筑波大学体育系研究員,国士舘大学体育学部附属体育研究所・特別研究員を経て,現在,大阪教育大学教育学部保健体育部門・准教授。著書に『デカルト哲学と身体教育』(道和書院,2014年),『たくましいこころとかしこいからだ――身心統合のスポーツサイエンス』(共著,大修館書店,2016年),主要論文に『学問における体育Taiiku概念:『体育学研究』総説論文の結集に観るその創出と変遷』(『体育学研究』第65巻,2020年,607-626頁)など。日本体育・スポーツ・健康学会学会賞,日本体育学会浅田学術奨励賞,日本体育学会・学会大会若手研究者奨励賞,身体運動文化学会若手研究者奨励賞。

ISBN:9784810521450
出版社:道和書院
判型:4-6
ページ数:456ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2023年08月
発売日:2023年08月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QD