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自然により近づく農空間づくり

著:田村 雄一

紙版

内容紹介

高知県佐川盆地で、乳牛を育て、米・ニラ・サツマイモなどを栽培する著者が、自然を最大限に利用し、収量が安定的に確保できる技術力の高い農業を目指すべく、良好な農空間を整備し周辺の自然により近づく農業を本書で初めて提唱する。

目次

はじめに

序章
ポジとネガ/近自然河川工法とは/近自然農業について/
景観生態学的視点から見た牧場/自然農への憧れ/近自然農業とNNF/
本当に大事なものは見えにくい

第1章 見える世界に目を向ける
1 いい土を探す
いい土とは/土ができるまで/土の肥沃度と雑草/土を触ってみる
2 いい風を探す
風の通り道を見る/強風への備え/標高と風
3 いい光を探す
日照の過不足に気を配る/平面受光か立体受光か/光と同じくらい陰も必要
4 いい水を探す
どこから来た水か/灌水と排水/十分な湿度はあるか
5 いい動植物を探す
どんな草が生えているか/害虫以外にも目を向ける/希少な生物を守る
6 作物を観察する
作物データを取る/生理障害を見る/葉の大きさ、匂いに注目
7 ネットワークを作る
地域独自の農法はあるか/産地を支える組織/異業種との連携

第2章 見えない世界を見る
1 系を意識する
地因子を考える/夏に冬を見る、冬に夏を見る/見えない種の役割/なぜ虫が集まるか
2 土の物理性
際と中央の違い/化学性・生物性と物理性のバランス/地力(ぢりき)/農機と肥料
3 土の化学分析値の活用
無機質と有機質の相互変化/土の肥満/施肥の見直し/土壌分析値の信ぴょう性/理想は天然林の林床
4 流れと淀み
農地と川の共通点/溶ける土/農地に淀み空間を作る/鉱物(砂・粘土)と糊(有機物)
5 自然に近い農空間
慣行農業と有機農業/無難に作る農業へ/自然により近づく

第3章 NNFの実践
1 強い繊維を作る
害虫・病原菌に克つ/繊維の厚みと匂い/繊維の味/太陽エネルギーを摂取する
2 炭素と窒素の比率と土
土は安定を求める/有機農業に適した堆肥/肥料の濃度/施肥のバランスをとる
3 土の許容量を見る
CEC(塩基置換容量)とPHの関係/露地とハウスの土の太さ/自然の復元力を利用/
好適PH範囲に応じた作付け
4 農地生態系を複相化する
鉛直方向の親和性の向上/水平方向の親和性の向上/森の生態システムを農地に活かす/
分解者不在の圃場/雑食性の土づくり/微生物の衣食住

第4章 自然により近づく農空間づくり
1 自然の成り立ちにならえ
地質と植生の密な関係/深層へのアプローチ/地中の酸素を増やす/地下貯蔵アルコール/
脆弱な表土の改善/馴染みの良い有機物マルチ/堆肥マルチと有機物マルチ
2 菌の住処を第一に考える
堆肥の醸成/暴走菌を利用したぼかし/エレベーター理論
3 一に水分、二に水分
熱帯雨林農法/表土を常に湿潤に/太陽熱養生処理
4 肥料の作用スピード
肥料の減少スピード/減肥の難しさ/肥料のアクセル系、ブレーキ系、クラッチ系/
糖蜜と酢、にがりなどの活用/瞬発的な肥料と持続的な肥料/施用回数と順序
5 土壌構造を整える
土を外科的に治す、三つのメス/後は自然に任せる/深根性緑肥
6 自然のものを有効活用
大雨と水やり/資源となるゴミを探す/農場周辺の落葉樹を活かす/堆肥舎の有用性

おわりに
参考図書

著者略歴

著:田村 雄一
1967年、高知県生まれ。
愛媛大学工学部電気工学科卒業後、株式会社西日本科学技術研究所入所。
1995年、高知県くらしと農業懸賞論文金賞受賞。
翌年、父親の跡を継ぎ、農業を始める。
2006年、佐川町農村環境計画策定委員長に就任。
2008年に、近自然農業の実践を目指して、さかわオーガニック&エコロジーラボラトリー(SOEL)発足。
同年、佐川町有機農業推進事業を受託。2016年に土壌医の資格を取得。TAMファーム合同会社代表。

ISBN:9784806715757
出版社:築地書館
判型:4-6
ページ数:244ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2019年01月
発売日:2019年01月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TVK