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宝石 欲望と錯覚の世界史

著:エイジャー・レイデン
訳:和田 佐規子

紙版

内容紹介

宝石をめぐる歴史、ミステリー、人々の熱狂と欲望。

なぜ人はこれほどまでに宝石に惹き付けられるのか、
そもそも宝石の価値とは一体なにで決まるのか。

これまで宝石の鑑定からデザインまで関わってきた、
宝石を愛してやまない著者が、
時間と空間を越えて、縦横無尽に語る。

目次

まえがき

第Ⅰ部 WANT 欲望――思い込みと希少性
石が宝石になるための「価値の幻想」とは

第1章 マンハッタンを買い上げたガラスビーズの物語
騙したのか、騙されたのか
チューリップ・バブルの顛末
欲望にあやつられる脳
マンハッタンの適正不動産価格
スパイス戦争の勃発
ローマ教皇に分割される世界
島を買う
全ての光るもの 牡蠣の島
ネイティヴ・アメリカンと銀行
新世界の通貨
もう一つの島

第2章「永遠の輝き」は本物か?――婚約指輪の始まり
帝国設立までの道のり
他人の欲望が決定するもの
デビアスの印象操作
増え続けるダイヤモンド
ダイヤモンドについての不都合な真実
指先を飾るもの
私と結婚してくれますか?
指輪という束縛
聖なる結婚
カットで生まれ変わるダイヤモンド
婚約指輪という神話
翻弄される女達
お金で愛は買えない?
デビアスの戦略
ひとかけらの原石

第3章 エメラルドのオウムとスペイン帝国の盛衰
エメラルドが権力だった時代
緑色の力とは
お金、私が欲しいもの
地球の造山運動
スペイン帝国誕生前
「まさかの時のスペイン異端審問」
招かれざる隣人
いちかばちか
手ぶらでは帰れない
天国への階段を買う
?から出たまこと
インカ帝国とエメラルドの都市
エメラルドのオウム
崇拝されるエメラルド
妬みの感情
デウス・エクス・マキナ機械仕掛けの神
天与の幸い
思考を停止して未来に賭ける
エメラルドバブルの崩壊
「服用量が毒を作る」

第Ⅱ部 TAKE 獲得――歴史を動かすもの
私達の行動を形作る宝石の意味

第4章 フランス革命を起こした首飾り
女王の駒となって
ベルサイユを牛耳る者
ロックな王妃
「パンがないなら、お菓子を食べさせなさい」
簡素な生活
王妃を追って
汚れきったフランスを洗濯
悲劇の王国
関係の悪化
首飾り事件
世論という名の裁判所
二つの裁判
幻の首飾り
この世で最も価値あるもの
一個の石の価値を決めるもの
悪意ある妬み
第三身分の台頭
王妃の誤算
増幅する憎しみ
呪いの言葉
フレンチ・ブルー・ダイヤモンド
ただ一つの呪い

第5章 姉妹喧嘩と真珠
異教徒と海賊のパトロン
ファザコンの娘達
えこひいき
継母と怪物達
血まみれのメアリと処女女王
二人の女の子と一粒の真珠
真珠――女神が流した涙
メアリの真珠
最悪の三つの道
憎しみ
あの世まで持っていけなくても、人から取り上げることはできる
真珠の力
女王と海賊達
あなたのものは私のもの、スペインのものも私のもの
政治的手腕と自己演出力
開戦の狼煙があがる
私の敵の敵は私の海軍
真珠と帝国

第6章 ソヴィエトに資金を流す金の卵
腐った卵
より詳しい調査
芸術家ファベルジェ
ストーリーを売る
ロマノフ帝国の崩壊
もう一つの血塗られた日曜日
それでも楽団の演奏は続く
必需品の値段
新興都市炎上
一番いい球を打て
ツァーリの最期
共産主義の理想と現実
ドイツに仕組まれたロシア革命
略奪の限りを尽くす
ニヒリスト達の革命
働かない労働者達
レーニンの失敗
嘘つきハマー
スターリンのエージェントだったハマーの秘密工作
裏切り者
「ロマノフ王朝の宝」展
偽物まみれの帝国

第Ⅲ部 HAVE 所有――誰でも手に入れられるもの
真珠と腕時計――一個の宝石が社会変革を起こす

第7章 真珠と日本――養殖真珠と近代化
五粒の真珠
大量生産のスタート
鎖国の時代
日の出と落日
黒船来航
開港
クジラから真珠へ
御木本と明治維新
養殖真珠の作り方
真珠養殖に挑戦した人々
真珠文化と養殖真珠
真珠のツナミがやってくる
混乱する西欧諸国
宣伝マンの御木本
唯一無二の「大将連」ネックレス
完全なる養殖真珠
私も真珠が欲しい

第8章 タイミングが全て――第一次世界大戦と最初の腕時計
時計の歴史
最先端技術
印象を決定づける
天体の運行を身につける
最初の時計
腕時計は女のもの
戦場と時間
外部取り付け式
腕時計のイメージチェンジ
時限爆弾
戦争と技術革新
腕時計VS懐中時計
腕時計の地位向上
モダンタイムズ
男の必需品

宝石は人の心の中で造られる――あとがきにかえて
謝辞
引用文献
索引
訳者あとがき

著者略歴

著:エイジャー・レイデン
エイジャー・レイデン(Aja Raden)
シカゴ大学で古代史と物理学を学ぶ。
在学中に著名なハウス・オブ・カーン・エステート・ジュエラーズのオークション部に部長として勤務。
また、ロサンゼルスに拠点を置く宝飾ブランド、タコリ社で7年以上にわたってシニアデザイナーとして働いた経験を持つ。
経験豊かなジュエラーであり、研鑽を積んだ科学者でもある。カリフォルニア州ビバリーヒルズに住む。
訳:和田 佐規子
和田佐規子(わだ・さきこ)
岡山県の県央、吉備中央町生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。
夫の海外勤務に付き合ってドイツ、スイス、アメリカに合わせて9年滞在。
大学院には19年のブランクを経て44歳で再入学。専門は比較文学文化(翻訳文学、翻訳論)。
現在は首都圏の3大学で、比較文学、翻訳演習、留学生の日本語教育などを担当。
翻訳書にポール・キンステッド著『チーズと文明』(2013 年)、
フランク・ユケッター著『ナチスと自然保護』(2015 年、以上築地書館)がある。
趣味は内外の料理研究とウォーキング。

ISBN:9784806715481
出版社:築地書館
判型:4-6
ページ数:384ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFJ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WFD