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考える花

進化・園芸・生殖戦略

著:スティーブン・バックマン
訳:片岡 夏実

紙版

内容紹介

子孫を残すため、花が昆虫に花粉を運ばせる秘策とは?
人は花本来の姿をどのように操作してきたのか?
植物の生殖器としての花がたどった進化や花粉媒介者とのかかわりから、
多様な花の栽培技術やグローバルな流通・貿易事情の歴史まで、
花をめぐる科学と文化のすべてがわかる。

目次

訳者まえがき
序章

第1部 生殖と起源
第1章 気を引くための技法
私は誰でしょう?/花の進化/花の秘密/重複受精という戦略/花の報酬――鳥やハチに何を与える?/花の香り――野外の香水/触覚のメッセージ――微小な点字を読む花粉媒介者/ハチは止まった花から充電されるか?/色彩の誘惑――色素と光の絵画/虹よりもカラフル――見えない色の隠れた世界/ライト、カメラ、(すばやい)アクション

第2章 花とその祖先
花の登場以前/裸子植物――裸の種を持つ植物/地球最初の花粉媒介者/ダーウィンの「忌まわしき謎」/粘土に閉じ込められたもの、琥珀に埋まったもの/最初の花/大きいことはいいことか?──その他の進化論的疑問/初期の花の訪問者たち――甲虫、ハエ、ハナバチ、そしてあれこれ/最初のハチ/現代──どこにでもある花

第3章 花粉媒介者たち
ランとそれに関わるハチ/花粉媒介者としての甲虫/ハエの魅力/罠を仕掛ける花とその獲物/ボルネオの腐肉花/狩りバチ/美しき不器用者/闇夜の翼/ダーウィンの予言/触手を持つガ/でもやはりハナバチが世界の花粉を運ぶ/ハナバチの経済──三口に一口/うなる翼/蜜食コウモリ、フクロミツスイ、ハネジネズミ/ベゴニアの中のトカゲ/花粉媒介者としての人間

第2部 花を育てる、品種改良する、売る
第4章 趣味の庭園今昔
アフリカを出て/世界最古の庭/古代中国の庭/庭園の神と女神/灰に埋もれた花──ポンペイとヘルクラネウムのローマ庭園/アステカのマリーゴールド/メキシコシティの浮かぶ庭園/天国の庭園/日本庭園/ローマ滅亡以降のヨーロッパ庭園/アメリカの愛国庭園/飽きっぽい庭師/

第5章 永遠の花
花と埋葬/死者への敬意か神の鎮撫か/花束、ミイラの花輪、花の首飾り/ハスへの情熱/バリ島の花/花の「改宗」/道ばたの記念碑の花/ビクトリア朝の葬儀の習慣/現代アメリカ人の死に方──花と死にゆく人々

第6章 人が創った花
植物の性の発見/罪深き雑種──Xの烙印/人気投票/世界一高価な花/長寿と繁栄を──切り花の命/花持ちのいい花を作る/ロサンゼルス・フラワーマーケット訪問記/現代の品種改良/観賞用植物の品種改良の現在/瓶の中の遺伝子は解き放たれるか?/小さな黒い花/聖杯探求──世界で最初の青いバラ/園芸家と花粉媒介者への警告/最高のイリュージョンに勝利あれ

第7章 ジャンボジェットで届く花
赤道へと移る花の栽培/ジャンボジェットで到着/春の花を求めて/ダッチ・コネクション――世界の花競り/二億本の赤いバラ/環境に優しい花/花栽培の未来

付録1 花に関する統計
付録2 切り花の世話のしかた
付録3 野草と花粉媒介動物保護団体のオンライン情報源

註・参考文献
写真クレジット
事項・生物名索引

著者略歴

著:スティーブン・バックマン
スティーブン・バックマン(Stephen Buchmann)
アメリカ、アリゾナ州在住。アリゾナ大学生命科学学部昆虫学・生態学・進化生物学の兼任教授で、ミツバチを専門とする受粉生態学者。ロンドン・リンネ協会フェロー。著書に『The Forgotten Pollinators(忘れられた受粉媒介者)』『Honey Bees(ミツバチ)』など多数。
訳:片岡 夏実
片岡夏実(かたおか・なつみ)
1964 年神奈川県生まれ。
主な訳書に、デイビッド・モントゴメリー『土の文明史』、トーマス・D・シーリー『ミツバチの会議』、デイビッド・ウォルトナー= テーブズ『排泄物と文明』、スティーブン・R・パルンビ+アンソニー・R・パルンビ『海の極限生物』(以上、築地書館)、ジュリアン・クリブ『90 億人の食糧問題』、セス・フレッチャー『瓶詰めのエネルギー』(以上、シーエムシー出版)など。

ISBN:9784806715429
出版社:築地書館
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WMPC