出版社を探す

現代産業選書企業法務シリーズ

企業の価値を向上させる実効的な内部通報制度

著:山口 利昭

紙版

内容紹介

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
不祥事は必ず起きる
内部通報・内部告発の実態を知り、早期発見・早期対応の仕組み作りでリスクに備える!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎消費者庁「公益通報制度実効性向上検討会」委員が執筆
◎内部通報制度の充実は企業にとって多大なメリットあり
◎社員が活用しやすい内部通報制度とは
◎改正目前の「公益通報者保護法」を踏まえた制度設計・運用
◎法改正の動向と11年ぶりに改訂された「ガイドライン」の解説
◎内部告発の脅威に企業はどう対処すべきか

 マスコミで報じられる企業の不祥事の多くは、発覚の端緒が内部通報と言われています。こうした不祥事は企業の信用低下に繋がりますが、適切に対応できれば評判を落とさず価値を向上させることも可能となります。そのためには、自社の不祥事を早期発見できる内部通報制度を充実させることが必要です。

 本書では、最近の内部通報・内部告発の実態に加え、不祥事を早期に発見し対応できる仕組み作りについて解説されています。また、内部通報ではなく社外への不正事実の情報提供(内部告発)された場合に対して、企業が取るべき適切な対応についても言及されています。

 一方で、不正事実を通報した従業員は、解雇等の不利益を受ける場合があります。これまで、通報者保護の必要性から、消費者庁の公益通報者保護制度実効性検討会では議論が行われてきました。本書では、この検討会の委員である著者が、法改正の方向性、ガイドラインの改定についても解説しています。

目次

はしがき 
序 章 内部通報制度、内部告発を取り巻く環境の全体像を理解する

第1章 企業社会には適切な内部通報制度が求められている
1 内部通報、内部告発、公益通報とは? 
2 企業に内部通報制度が要請される社会的背景 
3 レポートラインの健全化こそ究極の目的 
4 企業グループにおける内部統制整備の補完 
コラム 誠実な企業こそ内部通報制度は必要である 
コラム 企業グループの内部通報制度が機能しないと内部告発に発展する 

第2章 企業社会に警鐘を鳴らす内部告発 
1 内部告発の脅威(具体的な事例からの教訓) 
2 公益通報者保護法が保護する内部告発 
3 内部告発代理人からみた効果的な告発手法 
4 なぜ通報者は内部通報ではなく内部告発へ向かうのか 

第3章 内部通報制度の現状を知る 
1 内部通報制度に関する実態調査 
2 他社の取組みについて 
3 なぜ社員は通報・告発を決断するのか 
4 変容する告発者の動機・行動(集団通報、支援者の存在) 
5 通報事実の調査こそ重要(職場環境配慮義務との関係) 

第4章 内部通報制度と公益通報者保護法との懸け橋 
1 内部通報制度を法的に理解するための整理 
2 内部通報制度と内部告発との関係を整理する 
3 公益通報者保護法改正審議の概要 
4 公益通報者保護法のどこが変わるのか 

第5章 公益通報者保護制度の実効性を向上させるために 
1 法改正とガイドラインの関係 
2 民間事業者向けガイドライン改訂版とは 
3 行政機関向けガイドライン改訂版とは 
コラム 社内リニエンシー(不正に関する自主申告者優遇制度)の推奨について 

第6章 内部通報制度を適切に運用するためのヒント―窓口担当者の視点 
1 内部通報、内部告発の「影」を考える 
2 不誠実な通報、告発で窓口担当者は疲弊する 
3 秘密を守ることはむずかしい(秘密を守るための工夫)
4 通報窓口担当者が通報処理の実効性を上げるためのポイント 
5 窓口対応の留意点?―改正個人情報保護法への対応 
6 窓口対応の留意点?―改正刑事訴訟法(日本版司法取引)への対応 
7 窓口対応の留意点?―海外不正リスクへの対応 

第7章 内部通報制度を適切に運用するためのヒント―経営者の視点 
1 トライアル&エラーで活用度を高める 
2 外部窓口を活用する 
3 通報者の気持ちを斟酌する―「仏作って魂入れず」にならないために 
4 適切な調査活動が「安心できる通報制度」を形成する 
5 内部通報制度と健全なコーポレートガバナンスの構築 
6 パワハラ問題への感度を高める 
7 内部通報制度の運用と会社役員のリーガルリスク 
コラム 蛇の目ミシン工業株主代表訴訟 

第8章 内部告発と向き合う企業・経営者の姿勢(内部告発への対応) 
1 事業者が内部告発に向き合うために理解すべきルール(ガイドライン)の改訂 
2 労働者通報に関する行政機関向け改訂ガイドラインのポイント 
3 消費者裁判手続特例法の施行 
4 内部通報に関する調査は速やかに行うべきである 
5 世間の常識と会社の常識とのズレに注意 
6 企業の有事とは―「会社が不祥事を知ったとき」 

おわりに 

参考文献一覧 

公益通報者保護法 
公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン 
公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)

著者略歴

著:山口 利昭
1960年生まれ 大阪大学法学部卒業 1990年弁護士登録
山口利昭法律事務所代表弁護士
企業のコンプライアンス支援、企業不祥事発生時の調査業務、有事対応、その他コーポレートガバナンス構築支援等、企業法務を中心に活躍。上場会社や学校法人の内部通報制度の外部窓口、社内窓口支援等も務める。消費者庁公益通報者保護制度の実効性検討会委員。
大東建託株式会社社外取締役、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社社外監査役等現任/日本内部統制研究学会理事、日本コーポレートガバナンス・ネットワーク理事/公認不正検査士協会(ACFE)理事
「内部告発・内部通報 その光と影」(経済産業調査会)/「法の世界からみた会計監査」(同文館出版)/「不正リスク管理・有事対応」(有斐閣)/「ビジネス法務の部屋からみた会社法改正」(レクシスネクシス)など著書多数。
著者が管理人を務めるブログ「ビジネス法務の部屋」は多くの管理部門担当者に読まれている。

ISBN:9784806530091
出版社:経済産業調査会
判型:A5
ページ数:270ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2017年11月
発売日:2017年11月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ