運命の謎
著:三浦清宏
紙版
内容紹介
小島信夫と歩んだ文学人生
異才の小説家・小島信夫の導きによって文学と生き方に目覚めた著者が、高度成長期の活況、小島との出会いと居候生活、小島文学誕生の舞台裏、みずからの文学修行と見えない世界への関心、そして「長男の出家」での芥川賞受賞にいたる〈出来の悪い弟子〉の道のりを豊かに語る。
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私は懐かしい、楽しい気分で仕事をした。しかし話す内容を原稿として書いているうちに、これは単なる回顧録ではない、小島信夫という人物を通じて、自分がどう変わっていったか、どういう影響を受けたのか。それにはどういう意味があり、どう評価すべきなのか。いったい、自分にとって、小島信夫とは何者だったのか。そう考えるようになってきた。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 運命の出会い
序章 話の発端(私の芥川賞授賞式における小島さんの一言)
第一章 アメリカ・アイオワ大学での出会いと当時の小島さん
第二章 帰国、小島さんと再会
第三章 小島家に下宿してから出るまで(小島さんの再婚、私の結婚)
第四章 出来の悪い弟子(1)――「自分を書く」ことに迷い、坐禅や心霊研究に走る
第五章 出来の悪い弟子(2)――小島文学の最盛期と私の芥川賞受賞
Ⅱ 小文
「自分」を書け
小島信夫の文体・覚え書――「アメリカン・スクール」から「返照」を経て
小島さん、済みませんでした
交霊会の小島さん
あとがき