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私的補習ルールの国際比較

著:マーク・ブレイ
著:オーラ・クウォ
他訳:森 いづみ

紙版

内容紹介

塾=私的補習教育のアジア圏の実態とそのルールについて、みんなで考えよう。
本書は、正規の学校教育の外で、主要な教科を対象とした有償な補完的教育が盛んにおこなわれているアジア29か国・地域での実態を明らかにしたものである。日本では学校外での私的補習をする場として「塾」を挙げられるが、アジアの国・地域では様々な様相を呈している。受験競争目的や、学習の遅れた生徒への補習のみを対象としたものではなく、各国の公教育だけでない私的補習教育を含めたあらゆる教育形態を視野に入れ、健全で公教育的な教育のあり方を提言し、広く議論されることを訴えた関係者必読書。

目次

日本語版刊行に寄せて……………………………………………………… i
はじめに …………………………………………………………………… iii
日本語版の出版にあたって……………………………………………… vii
図表・コラム一覧 …………………………………………………………xviii
略語一覧 …………………………………………………………………… xix
謝  辞 …………………………………………………………………… xx
本書の概要………………………………………………………………… xxii
第1 章 イントロダクション……………………………………… 3
政策分析と専門家としての対話 6
研究の枠組み 8
私的補習教育の特長と分類 8
規制、法律、ガイドライン、行動規範 10
私的補習教育の規制内容 11
本書の構成 13
第2 章 何の/誰のためのルール作りなのか?……………… 16
私的補習教育の規模と広がり 16
教科と形態 21
提供者と形態の多様性 25
第3 章 なぜルールが必要なのか?……………………………… 28
社会的不平等 29
社会経済的な不平等 30
ジェンダーの不平等 30
人種/民族的な不平等 31
農村/都市の不平等 32
正規の学校教育への余波 33
腐 敗 34
消費者と講師の保護 35
課 税 37
第4 章 異なる関係者に対して、どのようなルール作りをするのか? …39
補習教育を提供する企業 39
登録の条件 39
モニタリングの要件 45
私的補習を提供する教師 48
私的補習を提供する学生およびその他の自営業者 51
インターネットによる私的補習 52
第5 章 どのようにルール作りができるのか?……………… 54
必要な人材の配置 55
情報にもとづく選択のための消費者教育 57
自主規制を奨励すること 60
パートナーシップを築くこと 61
学校とのパートナーシップ 62
教職員組合とのパートナーシップ 63
他の政府組織とのパートナーシップ 64
地域団体とのパートナーシップ 65
メディアとのパートナーシップ 65
第6 章 結 論…………………………………………………… 68
公共の利益に向けて 68
バランスを保つために 73
国際比較から学べること 76
資料1 オーストラリア個別指導協会 (ATA)行動規範
(コード・オブ・コンダクト)… ……………………… 79
資料2 学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準…… 90
参考文献…………………………………………………………… 104
日本の学習塾の今日的状況と今後の展望:訳者解説に代えて…… 121
1. 学習塾の特徴と形態 121
(1)学習塾の基本的特徴と両義性 122
(2)学習塾の諸形態と今日的な動向 123
2. 学習塾に関する調査の現状 125
(1)行政機関による学習塾に関する調査 125
(2)民間機関による学習塾に関する調査 126
3. 本書の意義と日本への示唆 127
(1)私的補習に関する現状の理解の深化 127
(2)日本の私的補習に関する研究の進展 129
4. 本書から学習塾のあり方を考える 130
(1)学習塾の規制やルール作り 130
(2)私的補習と公共的な利益の関係 132
おわりに …………………………………………………………………… 139
索  引 …………………………………………………………………… 143
著者・訳者紹介…………………………………………………………… 147

著者略歴

著:マーク・ブレイ
2018 年より華東師範大学(ECNU)教育学部教授。香港大学(HKU)名誉教授。ケニアおよびナイジェリアの中等学校教師として勤務後、エジンバラ大学、パプアニューギニア大学、ロンドン大学で教鞭をとる。1986 年にHKU に移ってからは、教育と研究に加えて教育学部長(2002-06 年)を含むさまざまな管理職を歴任した。2006 年から2010 年の間に、ユネスコ国際教育計画(IIEP)研究所の所長
としてパリに赴任した。これまで香港比較教育学会(CESHK)、比較国際教育学会(CIES)、および世界比較教育学会(WCCES)の会長を歴任した。
著:オーラ・クウォ
香港大学(HKU)を退官後、2018 年より華東師範大学(ECNU)教育学部教授。30年にわたり教師教育に携わってきた研究者で、専門は、専門能力開発および教授法の学習過程に関する研究。これまで香港で小・中学校教師として勤務し、1981 年にHKU に着任。ユネスコやその他の持続可能な開発のための教育機関に関する任務に従事してきた。
他訳:森 いづみ
東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター准教授。立教大学社会学部助教、同データアーカイブ研究センター助教を経て、現職。研究分野は教育社会学、比較教育学。博士(教育学)。
主要著作:「国・私立中学への進学が進学期待と自己効力感に及ぼす影響―傾向スコアを用いた分析―」(『教育社会学研究』第101 集、27-48 頁、2017 年)、「米国における補習政策の背景と展開―学校外部に目を向けた格差縮小の試み―」(『比較教育学研究』第45 号、115-139 頁、2012 年) 。

ISBN:9784798915685
出版社:東信堂
判型:A5
ページ数:184ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNG