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「若者」の時代

著:菊地 史彦

紙版

内容紹介

若者たちは、社会から何を求められ、いかに遇されたのか。
彼らは、どのような栄光と失意と屈辱を体験してきたのか。

復興期から高度成長期、停滞期を経て格差の時代へ――
歌謡曲、映画、記録、TVドラマ、文学、マンガなどを素材に、戦後社会を走り抜けた「不機嫌な魂」の多彩な軌跡を追う。

目次

序章 反抗までもう一歩
1 美空ひばりの不機嫌な踊り子
2 若者たちに求められたもの
3 〈社会意識〉と若者の戦略

第1章 忘れられた歌姫―青山ミチの存在と闘い
1 十三歳のデビュー
2 歌に書き込まれた宿命
3 ライヴァルは弘田三枝子
4 失踪する少女
5 ポリドール時代の試行錯誤
6 和製ポップスから「艶歌」へ
7 「艶歌」という偽史

第2章 転がる卵のように―集団生活と戦後都市
1 駅のホームから始まった物語
2 卵たちへのまなざし
3 差別的な就職先
4 流転のドラマ―森進一への軌跡
5 出奔の衝動―永山則夫への軌跡
6 列島を旅する「艶歌」
7 戦後都市の応対―吉永小百合が演じたもの
8 最後の集団就職列車が走った頃

第3章 端境期のセヴンティーン―六〇年安保のさなかで
1 安保と三池―一九六〇年のふたつの軸
2 戦後と民主主義の曲がり角
3 十七歳のテロリスト、山口二矢
4 「偽モノ」への嫌悪
5 リング状の十七歳―ファイティング原田の本気
6 勝った男・転じた男・負けた男―原田・斎藤・青木
7 加賀まりこのスタイル
8 「反惰性」と「非日常」の美学
9 六月の記憶―干刈あがたと奥浩平の安保
10 時の中の時、六月十五日

第4章 舞い降りたバリケード―高校闘争一九六九
1 次はウチだ!
2 「期待される人間像」
3 学校郡に対する憤懣
4 私自身への闘争
5 バリケードは舞い降りた
6 教師だった父との衝突
7 父はどこからやって来たか
8 教師としての戦後史
9 一九六九年の思想
10 父と子の「戦後民主主義」

第5章 学園はいかに夢見られたか―学校意識の変容
1 「学園」の出現
2 学園ドラマの原型と変貌
3 恋する少女たちの行方―ラブコメに向かって
4 「自由」と「民主」の幻想
5 「学園」の終わりの始まり―学校ぎらいの出現
6 暴力におおわれた時代
7 不安な学園物語
8 分かりにくい若者たち―薬師丸ひろ子の身体性
9 「ゆとり」が生んだ廃墟
10 河のほとりで―岡崎京子の風景

第6章 〈遠郊〉の憂鬱
1 閉ざされた殺人者―市川一九七四
2 切り裂かれた田園―宇都宮一九八〇
3 窮乏化する地方経済
4 ローカリズムと不良文化―ヤンキーたちの伝説
5 ジャスコのある風景
6 ロードサイドからイオンモールへ
7 地元のユートピア
8 〈遠郊〉の捉え方
9 ヒーローはいかに地元で死ぬか

終章 東北と若者たち
1 『山びこ学校』の時代
2 遠ざかる山びこ
3 浜通りにやってきたもの
4 「原子力ムラ」への異議
5 “これからの戦後”を生きる
6 若者文化と戦後史

あとがき

引用・参考文献

著者略歴

著:菊地 史彦
1952年、東京生まれ。76年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、筑摩書房入社。89年、同社を退社。編集工学研究所などを経て、99年、ケイズワークを設立し、企業の組織課題やコミュニケーション戦略を中心にコンサルティング活動を行なう。現在、株式会社ケイズワーク代表取締役。国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員。著書に『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー)、『情報文化の学校――ネットワーク社会のルール・ロール・ツール』(共著、NTT出版、1989)がある。

ISBN:9784798701561
出版社:トランスビュー
判型:4-6
ページ数:342ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2015年03月
発売日:2015年03月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS