はじめての物理数学
自然界を司る法則を数式で導く
著:永野 裕之
絵:辻 恵子
内容紹介
『大人のための数学勉強法』『ふたたびの微分積分』など多くの著書で理系・文系を超えたファンを持ち、塾生(社会人女性)が「どうして私のわからなかったところが先生にはわかっちゃうんですか?」と思わず尋ねるほど、数学が苦手な人のことを熟知している永野裕之先生。その永野先生がつねづね思っていたのが「高校では数学と物理をいっしょに学ぶのが本質的だし、絶対お得なのに」ということ。予備校生時代に初めて出会った、微分積分を使った物理の授業での感動を、もっとたくさんの人に知ってほしい。そうした思いから、微分積分を知らない人が一から学ぶための理想の内容を、このテキストにまとめました!
■本書の特徴
・単なる計算だけではない、微分積分の本質を、ニュートン力学の具体的な問題から知ることができる。
・高校生から学べるよう、必要な知識はその都度戻って説明している。
・計算過程はどの本よりも詳しく展開、迷子にならないための細かなコメント付き。
・わからなくなったり、勘違いしそうなところには詳注で著者ならではの解説付き。
■数学と物理をいっしょに学ぶことの意味(「はじめに」より抜粋)
◎数IIB、数III と進んでいくと高校の数学も高度になってきて、計算はどんどん煩雑になっていきます。何行にもわたる数式変形をやっていると「あれ? 何をやってたんだっけ? 」という気持ちになりませんか? でも、物理はそういうことがありません。どんなに計算が複雑だったとしても、結果はなにかしらの現象を説明しているからです。微分積分を通して物理法則が導ける経験を積むと、得られた数式の意味を考えるようになります。これが数式を「読む」力を育てるのです。
数学(特に微分積分)と物理は並行して学ぶことでお互いの理解を高めることができます。「物理数学」というタイトルを付けたのは、本書がこの相乗効果を狙った本であることをアピールしたいからです。
◎数学や物理は生涯学習に最も適した学問です。紙と鉛筆と参考書があれば、それぞれのレベルに合わせて、いつでも好きなときに好きなだけ学び直すことができるからです。本書には私がふだん塾で行っている授業の様子がそのまま再現されています。それは、数学や物理を学ぶ王道の勉強法であると同時に、ものごとがわかるようになるための最短・最適の方法です。これを身に着けることが人生にもたらす恩恵は計りしれないでしょう!
目次
はじめに
第1章 微分
1-1 「限りなく近づく値」それが微分・積分のはじまり(微分係数)
物理への展開……瞬間速度
1-2 原因、そして、原因の原因まで捉える(導関数)
物理への展開……位置・速度・加速度
1-3 ある極限のための新しい角度の表し方(三角関数の極限)
物理への展開……等速円運動の加速度
1-4 「小さきもの」×「小さきもの」は無視できる(積の微分)
物理への展開……運動方程式と角運動量
1-5 「見かけの力」の正体(三角関数の微分と合成関数の微分)
物理への展開……コリオリ力と遠心力
第2章 積分
2-1 科学史上の大発見(微分積分学の基本定理)
物理への展開……等加速度直線運動
2-2 記号の王様ライプニッツの功績(置換積分法)
物理への展開……エネルギー保存の法則と運動量保存の法則
第3章 微分方程式
3-1 現実をモデル化し未来を予測する術(微分方程式とモデル化)
物理への展開……単振動
3-2 「解ける」微分方程式の基本形(1階微分方程式~変数分離形~)
物理への展開……空気抵抗を受けて落下する物体の運動
3-3 オイラーの公式で「解の公式」を手に入れる (2階線形同次微分方程式)
物理への展開……減衰振動