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佐伯千仭著作選集 3

責任の理論

著:佐伯 千仭

紙版

内容紹介

本著作集は、刑法、刑事訴訟法、刑事思想、刑法史全体にわたり巨大な足跡を残した佐伯博士の膨大な著作のなかから、佐伯説を代表する著書・論文を精選し、加えてこれまで論文集等には収録されなかった諸論文からも主要なものを選び6巻構成で収録した。第3巻である本巻は、責任の理論に関する代表的な論文を収録した。

目次

はしがき

第一章 期待可能性の思想の史的発展
 第一節 序 説
 第二節 フランクの責任概念の新構成と附随事情論
    一 はしがき
    二 フランクの附随事情責任要素論(その一)
    三 フランクの附随事情責任要素論(その二)
    四 フランクに対する批判とフランクの説の発展
 第三節 ゴールトシュミットの規範的責任要素論
    一 はしがき
    二 責任問題としての緊急避難論
    三 故意に於ける規範的責任要素
    四 過失に於ける規範的責任要素
    五 責任阻却原因の本質とその法解釈
    六 ゴールトシュミットに対する批判とその反批判
 第四節 フロイデンタールの期待可能性の理論
    一 はしがき
    二 責任の倫理的要素=非難可能性
    三 過失と非難可能性
    四 故意と非難可能性
    五 フロイデンタールに対する諸批評とその擁護
 第五節 エベルハルト・シュミットによる期待可能性の思想の一応の完成
    一 はしがき
    二 シュミットの規範論及び責任論
    三 期待可能性の標準に関する見解の動揺
    四 期待可能性の理論と犯罪徴表説との結合
    五 むすび――独逸刑法学界に於ける期待可能性の思想の浸透

第二章 ナチス独逸に於ける期待可能性の思想
    一 はしがき
    二 リープマンその他のナチス先駆的批判とナチス刑法論の抬頭
    三 シャッフスタインの期待可能性の思想批判
    四 シャッフスタインの批判の検討とナチス的期待可能性論の誕生
    五 むすび――ナチスも遂に期待可能性の思想を否定し得なかった

第三章 期待可能性の思想の普遍性と我刑法の立場――若干の比較法的考察
    一 はしがき
    二 仏刑法に於ける期待可能性の思想に通ずる諸観念
    三 英米刑法に於ける期待可能性の思想に通ずる諸観念
    四 我国の古法及び現行刑法に於ける期待可能性の思想に通ずる諸観念
    五 むすび――期待可能性の思想の普遍性と歴史的社会的背景

第四章 我学説及び判例と期待可能性の思想
    一 はしがき
    二 我学説と期待可能性の理論
    三 我判例と期待可能性の理論
    四 むすび――期待可能性の思想の現在に於ける意義

第五章 期待可能性の理論と法規範の構造
    一 はしがき
    二 ベーリング、ゴールトシュミット、特に後者の義務規範論
    三 メツガー、E・シュミットの法規範論――評価規範と命令規範
    四 シャッフスタイン、ラレンツの法妥当論とその吟味
    五 むすび――宮本博士の主観的違法論との対決

第六章 期待可能性の標準
    一 はしがき
    二 個別化的標準(フロイデンタールその他)
    三 一般化的標準――平均人論(E・シュミット、コールラウシュその他)
    四 一般化的標準の批判
    五 むすび――自説の展開

第七章 期待可能性の体系上の地位――責任阻却原因及び責任の加重減軽事由
    一 はしがき
    二 違法及び責任の実質とその評価方法
    三 責任阻却原因(一)――原則型と例外型
    四 責任阻却原因(二)――実定法的及び超法規的責任阻却原因
    五 責任の加重減軽事由
第八章 一身的刑罰阻却原因
    一 はしがき――我国に於けるこの問題の取扱い
    二 独逸の従来の学説に於ける一身的刑罰阻却原因
    三 独逸近時の刑法理論と一身的刑罰阻却原因
    四 一身的刑罰阻却原因の違法阻却原因への還元
    五 責任阻却原因たる一身的刑罰阻却原因と客観的責任要素の問題
第九章 期待可能性に関する錯誤
    一 はしがき――問題の意味と範囲
    二 独逸刑法上の減軽事由とその錯誤に関するダニエル、シュミット、マルテンスの理論
    三 客観的責任要素に関するコェーラー、ヘーグラー、ティヤフェルダーの理論
    四 むすび――我刑法典及び刑法草案と責任の推定

第十章 共犯の従属性と期待可能性の理論
    一 はしがき――共犯の従属性の種々の意義
    二 我現行刑法上の通説と異説
    三 通説の実定法上の根拠と一身的刑罰阻却原因
    四 刑法改正草案に於ける共犯の従属性

第十一章 期待可能性と性格の危険性
    一 はしがき
    二 期待可能性と性格の危険性の結合の前史(フォイエルバッハ、ビルクマイヤー)
    三 グリューンフートによる両者の結合の遂行
    四 その後の学説の状態(シュミット、コールラウシュ、メツガー、ボッケルマン)
    五 カデッカによる期待可能性の危険性の徴表への解消
    六 我国に於けるこの問題の論議
    七 む す び

補論 終戦後の判例と期待可能性の理論――高等裁判所の判例を中心として
    一 はしがき
    二 判例の概観
    三 期待可能性なしという理由で無罪を言渡すことに対する反対論とその検討

著者略歴

著:佐伯 千仭
佐伯 千仭:元立命館大学名誉教授、中川 祐夫:龍谷大学名誉教授、浅田 和茂:立命館大学大学院法務研究科教授、井戸田 侃:立命館大学名誉教授・弁護士、久岡 康成:立命館大学名誉教授・弁護士

ISBN:9784797226034
出版社:信山社
判型:A5変
ページ数:610ページ
定価:16000円(本体)
発行年月日:2015年07月
発売日:2015年07月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNF