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「変化を嫌う人」を動かす

魅力的な提案が受け入れられない4つの理由

著:ロレン・ノードグレン
著:デイヴィッド・ションタル
監:船木 謙一

紙版

内容紹介

売り込みや報奨では、人は動かない。
利点の訴求ではなく、「抵抗」の解消で人は動く。
[フィリップ・コトラー推薦]

“新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。”
「ウォールストリート・ジャーナル」ベストセラー

魅力的なはずのアイデア、製品、サービスが、相手に受け入れられないのはなぜか?
それは魅力が足りないからではない。相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるからだ。
著者らは抵抗を4つ(惰性・労力・感情・心理的反発)に分類し、それぞれの正体を分析、
それらへの対処法を、事例を使って具体的に伝授する。

「惰性」:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求。
「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト。
「感情」:提示された変化に対する否定的感情。
「心理的反発」:変化させられるということに対する反発。

アイデアのメリットをアピールするよりも、魅力をさらに増やす努力を重ねるよりも、
抵抗を減らすアプローチの方が、ずっと効率的で低コストであることが示される。


“マーケティング担当者は、顧客に新しい製品やサービスを採用させる手段として、機能やメリット、宣伝に頼ることがあまりにも多い。だが、本書を読めば分かるように、これはマーケティングの公式の半分に過ぎない。新しいものを取り入れようとする消費者の欲望を抑え込む4つの主要な「抵抗」を突き止めた本書は、マーケティングの世界に大きな貢献をしている。本書は、これらの「抵抗」を予測する方法を示すだけでなく、「抵抗」を克服する方法まで教えてくれる。新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。”
――フィリップ・コトラー

目次

1.魅力的なアイデアが成功しない理由
弾丸があれほどよく飛ぶのはなぜか
魅力の増大ばかりに注力する人々
買いたいのに「購入」ボタンを押せない顧客
新しいアイデアの受け入れを阻む4つの「抵抗」
イノベーションを解剖する
読んでいただきたい方々
倫理規範についての注意事項
誠実な戦略か、人を惑わせるような戦略か/意図は何か

2.魅力アピールに専念するのはやめよう
月平均132台の車を売る自動車販売員
自動車ディーラーのうんざりさせられる売り込み
進まないのは「燃料」が足りないせいと思い込む
人を動かす「燃料」には2つのタイプがある
「促進型燃料」とは何か
「回避性燃料」とは何か
人の心を支配するのは「燃料」より「抵抗」
「燃料」に頼る施策は高くつく
「燃料」となるメリットは誰にでも分かる
「燃料」が「抵抗」を増幅し事態悪化を招くことも
私たちを「燃料」思考にさせる脳の癖

3.「惰性」
人は変化より不変を、未知より既知を好む
見なれたものを好む「単純接触効果」
人は知っている商品を購入する
人生観や政治的規範より強い「既知」の力
「惰性」はいかにしてイノベーションを損ねるのか

4.「惰性」を克服する
よく知らないものを知っているものに変える
新しいアイデアに慣らすことで「抵抗」を和らげる
戦略その1:何度も繰り返す
戦略その2:小さく始める
戦略その3:伝達者をオーディエンスに似せる
戦略その4:提案を典型的なものに似せる
戦略その5:喩え(アナロジー)を使う
選択肢の提示に相対性を取り入れる
戦略その1:極端な選択肢を追加する
極端な選択肢の実例──契約期間と教員採用
戦略その2:劣った選択肢に光を当てる
劣った選択肢戦略とおとり選択肢のでっちあげ
カエルも劣った選択肢に影響を受ける
相対性に関する失敗はいつ起きるか
「慣性」を克服する方法のまとめ
アイデアに慣らすための戦術/相対化するための戦術

5.「労力」
カニも人も最小の労力で最大の成果を得たがる
最小努力の法則はいたるところに見られる
最小努力の法則は友人関係にも認知にも影響
「高い価値」より「少ない労力」が優先される
「労力」の計算は少しのことで大きく変わる
私たちは「労力」の影響を軽視している
入学志願者を増やすためにシカゴ大学がしたこと
コラム│「労力」に価値が見出される状況

6.「労力」を克服する
「労力」を減らして人々を救った事例
「労力」の2つの側面──「苦労」「茫漠感」
ロードマップの作成で「茫漠感」を制した事例
「イノベーション」をロードマップに落とし込む
その行動を取るべきタイミングを設定する
行動の簡素化で「苦労」を減少させる
コラム│人々が作る近道「けもの道」
必ず知っておくべき2つの簡素化テクニック
「ノー」と言いにくくする/デフォルトにする
コラム│UXデザイナーのように思考する
「労力」を克服する方法のまとめ
ロードマップを作成する戦術/行動を簡素化する戦術

7.「感情」
「ケーキを焼いた感じがしない」という問題
「感情面の抵抗」──出会い系アプリの事例
コラム│感情とは何か
「ジョブ理論」に基づいて感情について考える
ペット持ち込み不可のDVシェルターの事例
機能面の価値が「感情面の抵抗」を招いた事例
リーダーが優秀な部下を重用しない理由
製品情報収集のセルフサービス化の弊害

8.「感情」を克服する─価
探していないものは目に入らない
「感情面の抵抗」の発見は市場を拡大させる
「感情面の抵抗」が明瞭に表れることは少ない
「なぜ」にフォーカスする
コラム│理由を聞き出す質問の方法
行動観察者になれば「本当の理由」に近づける
アメリカン・エキスプレスの若年層顧客獲得戦略
コラム│行動観察者のマインドセット
外部の人を引き入れて「感情面の抵抗」を予測
顧客を従業員として雇う
コラム│「感情面の抵抗」に効く一般的な治療薬
「感情面の抵抗」を克服する方法のまとめ
「なぜ」にフォーカスする/行動観察者になる/外部の人を引き入れる

9.「心理的反発」
変化させられることに対する「抵抗」
自由が奪われると感じると「心理的反発」は起きる
相手の誤りを示す証拠が強力なほど態度が硬化
説得されていると感じるだけで「抵抗」は強まる
「心理的反発」が発生する要件は何か
アイデアが基本的な信念を脅かす場合/変わることへのプレッシャーを
感じる場合/オーディエンスがのけ者にされていた場合

10.「心理的反発」を克服する
変化を無理強いするのはやめよう
相手が自分を説得するのを助ける「自己説得」
メモ・カードの力──自分の目標を書き出す
偏見を弱める──ディープ・キャンバシング
「イエス」を引き出す質問をする
朝鮮戦争で米兵捕虜が受けた洗脳の仕組み
コラム│決定事項を「実験」と捉える
トップダウンではなく全員参加だとうまくいく
利害関係者たちとともに作る──コ・デザイン
自己説得の3つのルール
ルール1:自己説得は目安箱方式では無理/ルール2:メンバーに
コミットメントを発表させる/ルール3:参加を実質を伴ったものにする
「心理的反発」の大きさを測る問い
「心理的反発」を和らげる2つのテクニック
「イエス」を引き出す質問をする/コ・デザイン

11.3つの事例研究
「抵抗レポート」を使って分析し戦術を考察
研究事例その1:石油から起業への転換を成功させたドバイ
ドバイ未来財団/「抵抗」を克服する/失敗への恐怖を克服する/成果
研究事例その2:短期間での大麻合法化
「抵抗」を克服する/成果
事例研究その3:住宅購入時のハンデをなくす
もともとは「燃料」主体だったフライホームズ/
成り行き任せの行動観察調査/「抵抗」/
ポイント付与から顧客の「進歩」にピボットする/「抵抗」を克服する/成果

謝辞
監訳者解説
原注

著者略歴

著:ロレン・ノードグレン
ロレン・ノードグレン(Loran Nordgren)
ケロッグ経営大学院の経営学教授。新しいアイデアの採用を促す作用や妨げる作用を持つさまざまな心理的力について探求する研究や教育に携わる。研究者として、また教育者として数々の賞を獲得。世界中の企業とともにさまざまな行動変革の課題に取り組んできた。そのプロセスをロレンは「行動デザイン」と呼んでいる。
著:デイヴィッド・ションタル
デイヴィッド・ションタル(David Schonthal)
イノベーション&アントレプレナーシップを担当するノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院教授。数々の賞を獲得。学外では、デザイン、イノベーション・コンサルティング、ベンチャー・キャピタルの分野で活動。これまでに世界各地で生み出した新製品と立ち上げた新サービスは200を超える。
監:船木 謙一
船木 謙一(ふなき・けんいち)
株式会社日立製作所イノベーション成長戦略本部コーポレートベンチャリング室室長。産業機械、情報機器、電子部品、日用品、アパレルなど複数業種で、業務プロセス刷新や新システム導入を伴う15の改革プロジェクトを経験。最近は研究や事業開発のオープンイノベーションとして、スタートアップとの協創を促進。改革とオープンイノベーションに共通する鍵は、人々が変化を受け入れるか否かであるという結論に至り、本書にたどり着く。経営工学分野で著述、講演、各種受賞、客員研究員、非常勤講師など。2019年より現職。博士(2001年、工学)。

ISBN:9784794226242
出版社:草思社
判型:4-6
ページ数:312ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KJS