山田宏一映画インタビュー集 映画はこうしてつくられる
著:山田 宏一
内容紹介
ラウル・クタール、アンナ・カリーナからゴダール、サミュエル・フラーまで、
19人の映画人を著者が「映画作りの秘密」について、真剣に、ときに親密に、機微にわたって聞き、採録された
最高に面白いインタビュー。これは稀有な記録である。
最初は1965年のパリで、まだ『男と女』の世界的ヒットで有名になる前のクロード・ルルーシュに
オープンリールの小型テープレコーダーで制作会社の片隅を借りて取材したところから始まる。
それから50年ぐらい、日本に来た監督や俳優など、折をとらえてインタビューした数は何十人になるだろうか。
これはインタビューの名手として定評のある著者のインタビュー傑作選であり、一つの総括である。
各種雑誌や新聞、パンフレットに発表されたものが多いが、そのほとんどが今回、保存しておいたテープを
聞き直して、加筆し、捨てられていた一部を復活し、完全版にしたという。
すべてのインタビューの共通のテーマは、「あの映画はどうやって作ったの?」ということであり、
「映画とは何か」の本質へ、率直にストレートに向かっている。
とくに面白いのはジャン・ルノワールから戦後のフランソワ。トリュフォー、ジャン゠リュック・ゴダールに至る
フランス映画の歴史、移り変わり、人脈的つながりなどがさまざまなエピソードを通じて浮かび上がるところであり、
映画を中心とした社会的背景がよく見えてくる。19人を並べると以下のような名前である。
クロード・ルルーシュ(監督)/マルセル・カルネ(監督)/アラン・レネ(監督)/ジャン゠リュック・ゴダール(監督)/バルべ・シュレデール(監督)/ジャン゠ポール・ベルモンド(俳優)/アレクサンドル・トロ―ネル(美術)/ピエール・ブロンベルジェ(プロデュ―サー)/ルイ・マル(監督)/クロード・ミレール(監督)/サミュエル・フラー(監督)/イヴ・ロベール(監督)/サム・レヴァン(スチールマン、写真家)/ルネ・リシティグ(編集、修復)/シャルル・アズナヴール(歌手、俳優)/マドレーヌ・モルゲンステルヌ(プロデューサー)/キム・ノヴァク(女優)/アンナ・カリーナ(女優)/ラウル・クタール(キャメラマン)。
これはインタビューと称しているが、取材からテープ起こしまで細心に手作りされた著者の映画評論そのものと言っていい。
目次
●クロード・ルルーシュ(監督)
映画はキャメラだ
●マルセル・カルネ(監督)
『天井桟敷の人々』はこうしてつくられた
●アラン・レネ(監督)
スペクタクル(見世物)としての映画の宿命
●ジャン= リュック・ゴダール(監督)
映画は撮れるものなら、どこで撮ったっていいではないか
●バルベ・シュレデール(監督)
エリック・ロメールとともに――「六つの教訓物語」はこうして生まれた
●ジャン= ポール・ベルモンド(俳優)
『勝手にしやがれ』はこうしてつくられた
●アレクサンドル・トローネル(美術)
プレヴェール/カルネ(詩的リアリズム)からビリー・ワイルダー(ハリウ
ッド)まで
●ピエール・ブロンベルジェ(プロデューサー)
ジャン・ルノワールからジャン=リュック・ゴダールまで
●ルイ・マル(監督)
ジャズ、映画、ヌーヴェル・ヴァーグ
●クロード・ミレール(監督)
『小さな泥棒』──フランソワ・トリュフォーを追いかけて
●サミュエル・フラー(監督)
批評家は地獄へ行け
●イヴ・ロベール(監督)
独断と孤高の芸術家よりも単なるユーモア作家としてみんなといっしょに笑
い合えるほうがいい
●サム・レヴァン(スチールマン、肖像写真家)
スチールマンとして、肖像写真家として──ルノワールからBベBベ まで
●ルネ・リシティグ(編集、修復)
失われた映画を求めて──映画の編集と修復
●シャルル・アズナヴール(俳優)
ヌーヴェル・ヴァーグと即興──『ピアニストを撃て』はこうしてつくられた
●マドレーヌ・モルゲンステルヌ(元トリュフォー夫人)
『あこがれ』から『大人は判ってくれない』へ──フランソワ・トリュフォー
監督のデビューまで
●キム・ノヴァク(女優)
めまいのように──女優とセックス・シンボル
●アンナ・カリーナ(女優)
ジャン=リュック・ゴダールとともに
●ラウル・クタール(キャメラマン)
ゴダールの映画術──ヌーヴェル・ヴァーグと映画の革命
ISBN:9784794224019
。出版社:草思社
。判型:4-6
。ページ数:568ページ
。定価:3600円(本体)
。発行年月日:2019年09月
。発売日:2019年08月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF。