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日本の心理療法 自我篇

編:秋田 巌
編:小川 佳世子

紙版

目次

日本の心理療法 自我篇 目次
はじめに(各篇共通)


自我篇――非・西欧的〈わたくし〉をめぐって

第一章 能の〈わたくし〉をめぐって  小川佳世子
はじめに
 『草枕』と能
 ●「憐れ」という表情 ●『草枕』について ●「わたし」ということ、「近代」ということ
 ●能におけるワキの問題 ●漱石と能 ●「物狂能」としての『草枕』 ●『草枕』の美の特色と能
 ●『草枕』という小説 ●現在の〈わたくし〉
能の〈わたくし〉
 ●能の種類について ●能の中の〈わたくし〉 ●井筒 ●姨捨 ●山姥 ●融 ●江口
 ●能における舞と物狂能の結末について ●物狂能の結末および面についての考察
 ●草木国土悉皆成仏
おわりに

第二章 仏教の存在論と日本的じぶん認識  手嶋英貴
序説――本稿の問題意識
 ●「わたし/I」と「自己/self」 ●原日本的じぶん認識――存在論的「自己」の不在
 ●仏教の存在論と日本的じぶん認識
古代インド思想界におけるじぶん認識
 ●バラモン教のじぶん認識――「わたし」から「自己」へ
 ●ウパニシャッドの存在論とじぶん認識――一元論の「自己」
 ●サーンキャ説の存在論とじぶん認識――二元論の「自己」
仏教における存在論とじぶん認識――「自己」から「自己=わたし」へ
 ●説一切有部の存在論とじぶん認識――実在的多元論の「自己」
 ●唯識説の存在論とじぶん認識――仮設的一元論の「自己」(仮象の「自己」)
 ●中観派の存在論とじぶん認識――中なる「自己」
 ●法身説の存在論とじぶん認識:人格的一元論の「自己=わたし」
仏教受容初期における日本的じぶん認識の変容
 ●『万葉集』成立期の仏教教理学と日本的じぶん認識
奈良時代後半から平安時代前半に伝来した仏教の存在論
 ●華厳の存在論 ●法相の存在論 ●天台円教の存在論
 ●東密(真言密教)の存在論 ●台密(天台密教)の存在論
平安時代以降の日本的じぶん認識 
 ●草木成仏説の日本的展開――人格的自然一元論の形成 ●日本的じぶん認識の諸相
おわりに――現代日本の死生観の底流 

第三章 ポーランドと非・西欧をめぐって――視覚芸術を中心に  加須屋明子
はじめに
ポーランドの視覚芸術
 ●政治的・社会的背景 ●第二次世界大戦後の芸術家たち ●ミロスワフ・バウカ 
ポーランドにみる非・西欧的な〈わたくし〉

第四章 和太鼓演奏における「私性」
     ――非我と無我を経て:息的主体とその在り方  清源友香奈
はじめに
本稿における西欧的自我について
 ●本シンポジウムにおける発表の位置づけ ●心的な構造としての自我(ego)
和太鼓演奏における体験――演奏者の語りを通して
 ●我を出さないこと――非我的体験 ●息を合わせること――無我的体験
 ●息的主体 ●西欧的自我と和太鼓演奏者の体験
 ●和太鼓演奏における「私性」 ●日本人の心――非西欧的〈わたくし〉とは
同期現象より――息的主体に思いを馳せるために
息的次元に開かれていながら、個で在り続けるということ
おわりに

自我篇――ディスカッション

終 章 水の我  秋田 巌
はじめに
 ●日本人の自我と西洋人の自我 ●日本人にとって自我は自明か? ●最深層では同じ
西洋との「文化差」
 ●西洋人の自我 ●耳と口 ●「骨格」 ●文化的無意識 ●中世的自我 
日本人の「我」
 ●「和食」という「神社」 ●物事を完成させる ●水の我 

おわりに
事項索引
人名索引

■装幀 虎尾 隆

ISBN:9784788514935
出版社:新曜社
判型:A5
ページ数:224ページ
価格:2800円(本体)
発行年月日:2016年10月
発売日:2016年10月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM