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記憶とリアルのゆくえ

文学社会学の試み

編:亀山 佳明

紙版

内容紹介

◆「現代」とはどういう時代なのか?
 文学が社会の中での行為である以上、社会の影響を受けるのは当然でしょう。 そこから、小説が近代社会に合致したなジャンルであることも肯われ、ルカーチのマルクス主義的反映論も出てきます。逆に、登場人物の描かれ方、行動などから「社会」への示唆を得ることもできます。ジラールの「欲望の模倣理論」などです。本書は、両方向を取り入れて、現代の様々な「文学」を題材に「文学社会学」の新しい可能性を探ったものです。伊藤整の文学論を手がかりに「自我の放棄」を扱った作田先生の力作論文、円朝を題材にした「芸能の社会学」、村上春樹の個人主義の問題、寺田寅彦における追憶の問題、終末期医療と身体論などの様々な考察のなかから、現代社会の重要なテーマ――記憶とリアルの回復――が浮かび上がってきます。

目次

記憶とリアルのゆくえ 目次
まえがき 亀山 佳明

寺田寅彦における追憶の形式 近森 高明

分身と記憶─古井由吉「朝の男」をめぐって 亀山 佳明

村上春樹と個人主義のゆくえ 松浦 雄介

『ボヴァリー夫人』から『アンナ・カレーニナ』へ 織田 年和
 ─三者関係論と二つの不倫小説

管理される生と生きられる身体のあいだに 西山けい子
 ─『ウィット』に描かれる終末期医療

かけわたす人、円朝 工藤 保則

文学からの社会学─作田啓一の理論と方法 岡崎 宏樹

日本近代文学に見られる自我の放棄 作田 啓一
 ─伊藤整の枠組に従って

日本近代文学に見られる自我の放棄(続) 作田 啓一
 ─リアルの現れる場所

あとがき 亀山 佳明

ISBN:9784788514652
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:272ページ
価格:2600円(本体)
発行年月日:2016年03月
発売日:2016年03月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA