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岡崎京子論

少女マンガ・都市・メディア

著:杉本 章吾

紙版

内容紹介

◆少女マンガに関する本格的批評書◆

少女マンガは現在では、日本の表象文化において重要な位置を占めています。本書はそのなかでも特異な位置を占め、『ヘルタースケルター』の映画化などで今なお注目を集める岡崎京子を取り上げ、彼女が何をめざし、どのような問題提起をしてきたのかを明らかにします。とりわけ一九八〇年代から九〇年代にかけての岡崎の作品群(『pink』『リバーズ・エッジ』から『ヘルター・スケルター』まで)が、高度消費社会によって生み出され、その社会に反応していく少女・女性像をどのように提示したのかを、郊外・団地、コンビニ、美容整形、性・身体などをキイワードに、背景となる時代状況の再検討とマンガ・テキストの丁寧な分析から照らし出します。著者は筑波大学研究員。

目次

岡崎京子論─目次

序 章
一 少女と少女マンガ
二 少女と消費社会 
三 〈少女マンガ〉の拡散と多様化 
四 岡崎京子 
五 本書の構成 

第一章 〈少女マンガ〉をめぐる言説空間
一 〈少女マンガ〉言説の歴史化の試み 
二 〈少女マンガ〉言説の黎明期─石子順造の少女(マンガ)論 
三 「ぼくら」と〈少女マンガ〉─「〈わたし〉語り」世代の〈少女マンガ〉論 
四 「わたしたち」の〈少女マンガ〉─「少女」共同体の前景化 
五 〈少女マンガ〉をめぐる言説空間の〈ねじれ〉と問題 

第二章 郊外化された〈少女マンガ〉
─『ジオラマボーイ・パノラマガール』論
一 ニューウェイブとの出会い 
二 「郊外」という舞台設定 
三 内閉化する郊外家庭空間 
四 ボーイ・ミーツ・ガール≠ボーイ・ラブズ・ガール 
五 演技空間としての「郊外」 
六 「少女」という心性の肯定 

第三章 消費社会と女性─『pink』論
一 都市空間のなかの女性 
二 〈消費〉の内面化 
三 「かわいい」帝国/消去される外部 
四 「脱出」の頓挫 
五 〈消費〉への礼賛/批判 

第四章 「少女」の「繭」としての東京─『東京ガールズブラボー』論
一 八〇年代は「スカ」だったのか? 
二 「東京」≒「トーキョー」 
三 反復する物語構造 
四 「スキゾキッズ」の「逃走」と「内閉」 
五 「部屋」という「少女」の「繭」 
六 「少女」と八〇年代 

第五章 「文学性」の脱構築─『リバーズ・エッジ』論
一 「文学」的マンガとしての『リバーズ・エッジ』 
二 マンガにおける「文学性」─〈少女マンガ〉と〈内面〉性 
三 言葉にみる〈内面〉の位相 
四 「顔」にみる〈内面〉の位相 
五 「噂」として流離する〈内面〉 
六 「つながりの社会性」のなかの〈内面〉 

第六章 〈内面〉と代弁/表象のポリティクス─「チワワちゃん」論
一 代弁/表象される〈内面〉 
二 「公」と「私」の対比 
三 代弁の頓挫 
四 代弁のモンタージュ化 
五 ゆらぐ解釈 
六 問題化される若年女性─女子高生・ブルセラ・〈内面〉の欠如 

第七章 〈美〉の共同体を越えて─『ヘルタースケルター』論
一 消費社会における〈美〉 
二 〈美〉の神話的イメージ 
三 美容整形と身体の断片化 
四 〈少女マンガ〉と〈美〉 
五 感情移入の抑止 
六 「タイガー・リリィ」≒「ミニ・タイガー・リリィ」 
七 メキシコへの越境 
八 〈少女マンガ〉への両義性 

終 章
一 各章のまとめ 
二 「少女」表象の両義性 
三 喪失されたものとしての「少女」 
四 グローバリズムのなかの少女・女性 
五 おわりに 

註 
あとがき 
初出一覧 
主要参考文献 
索引 

装幀─難波園子

ISBN:9784788513068
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:384ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2012年10月
発売日:2012年10月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:XA